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転移国家日本 明日への道  作者: 銀河乞食分隊
前章 日本、転移の理由と転移先を知る
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国内

国内の様子です。と言っても首相官邸と海軍ですが。

チュートリアルですね。

 天照大御神様の御降臨で大変幸せだったウェーク島に対して、大変は同じでも大変な思いをしたのが大阪南である。

 ウェーク島と南鳥島は幸せな思いをしたが、それ以外の日本は普通であった。せいぜいちょっと良い朝食が並べられていただけだった。

 


首相官邸


「どういうことだ、みんな眠っていたとは」

「そう言われましても、原因が分かりません」

 首相補佐官がうろたえる。

「首相大変です」

「なんだ、料理長」

「食堂にこんなものが」


 表題の書かれた封筒だ。


 日本は異世界に転移しました。

 この朝食は神々からの贈り物です。


「なんだこれは」

「そう言われても、朝、準備のために食堂に行きましたらすでに用意されていました。そしてこの手紙です」

「首相」

「今度はなんだ」

「海軍からです。緊急だそうです」

「大高だ」

「高野海軍次官です。おはようございます」

「要件は?緊急なのだろう」

「はい。食事に毒は無いそうです」

「それが緊急か?」

「緊急です。全国で朝食が用意されていると言うことです」

「全国だと」

「はい、神様がやったそうです」

「誰が確認した」

「ウェーク島と南鳥島の基地で確認しました」

「離れ小島じゃ無いか。どうしてだ?」

「ウェーク島が日本で一番最初に朝が、いえ、日が昇るところだからと天照大御神様の御降臨が有ったそうです。南鳥島はおこぼれに預かったそうです」

「おい、寝ぼけないでくれ」

「至って正常です。でなければ、この食事の意味が分かりません。それぞれ手紙が添えられています」

「こちらにもあった」

「人数分あると思います。朝食をとりながらでも目を通してください。大変おいしかったです」


「NHKに緊急放送を頼め。朝食の安全は海軍が確認したと」

「良いのですか」

「かまわない。食中毒が出たら、海軍の責任にする」

「直ちに手配します」


 自分で責任を取らなくて良いことだと、行動が早いな。この補佐官は。首相がぼやく。


「我々も食事にしよう。おいしそうじゃ無いか」

「神々の用意した食事です。どんな味か楽しみです」

「そうだな、料理長。楽しもう」


 朝食は贅をこらした物では無いが、大変おいしかった。

 

 問題は手紙の内容だった。



 日本が異世界に転移した。


 転移した世界(星)の名前は「ランエール」


 神は実在する。ただしめったに人の前には出ない。


 周辺の簡易な地図を添えた。樺太のオハ・ウェーク・台湾・対馬を結んだ線は概ね従来の水深である。深くなっているところはあるが、浅くなっているところは無い。


 かなり地形が変わっているので地図は作り直しだね。全体的に大きくなっている。


 一日は地球時間で二十五時間です。時計も作り直しだね。


 南アタリナ島は、南鳥島の南にある大変な当たりの島なので、当たりな島、アタリナ島、南鳥島の南にあるので「南アタリナ島」と名付けた。気に入ってくれると嬉しい。なにが当たりかは島を調査してみてくれ。ついでに大きくなった島も入念に調査することをおすすめする。

 なお、絶対に南アタリア島と呼んではいけない。


 後ほど説明するために、セレステ、カレラ、ジョリー、アタラの4人を送るので、詳細はその4人に聞けば良い。


                 神より



 信じて良いのだろうか。大高は一国の最高責任者として悩む。朝食を食べてしまった以上、信じるしか無いが。



 

海軍省次官室


「とにかく艦隊は、出撃待機だ。空母をウェークにまわせ」

「どの空母をまわしますか」

「どいつが行ける」

「二航戦が行けます。一航戦は呉で乗組員の休暇中です。集合は早くて四日見てください」

「二航戦は横須賀だったな。よし。出せ」

「護衛は如何しますか」

「後は艦隊に任せる」

「了解です」


「次官、軍令部からです」

「高野だ」

「軍令部総長、島田だ」

「如何しました」

「なぜ艦隊を勝手に動かす」

「軍令部が遅すぎます」

「なんだと」

「すでにウェークからの一報は入っています。それから何時間たっていますか。なにをすればこう遅いのか理解に苦しみます」

「それはだな状況を分析していたのだ」

「外の様子も分からないのに状況ですか?」

「グ・・・」

「とにかく艦隊に任せましたので、下手な口出しはしないよう願います」

「貴様、軍令部が無能とでも言うのか」

「とにかく遅いのですよ。もう艦隊のほうは動き出しました。今更口を挟んで行動の邪魔をしないで頂きたい」

「分かった。覚えていろよ」

 ガチャンと激しく切れた。

「捨て台詞も二流だな」



横須賀鎮守府


 二航戦の出港準備で忙しかった。予定に無い緊急出航だ。果たして全員集まるのか。


「護衛は直衛艦で行きます。訓練が明日からで予定が入っていました。すでに全乗組員が揃っています」

「巡洋艦は付けられないか」

「能代がいますが錬成中です。あと五戦隊は洋上訓練中で硫黄島までの往復に昨日出たところです。五千五百トン級なら空いていますが」

「どいつが行ける?」

「十二戦隊、名取・由良・鬼怒です。九戦隊が熊野と鈴谷なら一日待てば出撃可能です。最上と三隈は乗員の休暇中です」


 夏期休暇の時期と重なってしまっている。乗員も集まらないだろう。


「十二戦隊と直衛艦のどれだ」

「秋月、夏月、三日月、凉月の四隻です」

「二航戦の集まり次第だな。二航戦はなんと言っている」

「明朝、〇八:〇〇には出航可能とのことです」

「分かった。少し余裕を持たせよう。明朝〇九:〇〇に出航となせ」

「了解。二航戦、一二戦隊、直衛隊は明朝〇九:〇〇に出航。発令します」

 


 五戦隊は迷子だった。


 転移の時、洋上にいた船舶は本土が見える辺りまで移動しておいたのだが、「軍艦は行動能力が高いから別に良いんじゃ無いか」「保護するのは民間の船舶だけで良いだろ」と言う意見があり、「そうだね。偵察がてら、異世界の海を体験してもらおうか」「そうしよう」といういい加減な意見で、軍艦は遭難しない程度の保護とされた。


重巡足柄


 朝みんな寝ていた。信じられないことに軍艦の乗員が全員である。それでも先任曹長の叱咤で全員が朝の日課を始めた。


 航海科が行ったことは、洗顔の前に天測だった。何しろ全員寝ていた。現在位置が分からなかった。周囲に島も見えなかった。昨夜まで確認出来ていた僚艦も視認出来なかった。

 しかし曇天で、太陽が分からないため観測は諦めた。


 艦は、取り舵固定で最低舵効速度で動いていた。下手に舵を戻せば、どこに向かうか分からなかったのでそのままとした。


 航海長は諦めて全員に洗顔を命じた。


 艦長は、朝起きて信じられない時間だった。〇八:一二だった。従兵も来ない。如何したのかと訝っていると机の上にいつもより豪華な食事が用意されていた。おかしい。手紙に気がつき開封し読んでみた。


 

  日本が異世界に転移した。


  転移した世界(星)の名前は「ランエール」


 神は実在する。ただしめったに人の前には出ない。


 周辺の簡易な地図を添えた。樺太のオハ・ウェーク・台湾・対馬を結んだ線は概ね従来の水深である。深くなっているところはあるが、浅くなっているところは無い。


 かなり地形が変わっているので地図は作り直しだね。全体的に大きくなっている。


 一日は地球時間で二十五時間です。時計も作り直しだね。


 南アタリナ島は、南鳥島の南にある大変な当たりの島なので、当たりな島、アタリナ島、南鳥島の南にあるので「南アタリナ島」と名付けた。気に入ってくれると嬉しい。なにが当たりかは島を調査してみてくれ。ついでに大きくなった島も入念に調査することをおすすめする。

 なお、絶対に南アタリア島と呼んではいけない。


 後ほど説明するために、セレステ、カレラ、ジョリー、アタラの4人を送るので、詳細はその4人に聞けば良い。


 船は安全な海域に動かしておいたから座礁の心配はないよ。舵は取り舵で固定。最低舵効速度だよ。


                 神より



 もう一度目を通す。もしこれが事実だとすれば本艦の現在位置は分からないことになる。それより飯は如何するか。旨そうな匂いが漂っているが。

 今頃になって従兵がやってきた。かなり気まずそうな顔をしている。聞けば兵員室でも当直を含めて全員寝ていたそうだ。


「艦長、緊急電が入りました。失礼します」


 と言って、ノックの後すぐに扉が開いた。通信科のひよっこ少尉だ。緊急の際にはこちらの返事を待たずに開けて良いと言ってある。ちゃんと指示は守られたようだ。


「読め」

「はっ、「発 ウェーク島守備隊司令 宛、洋上に有る全船舶、食事は安全 我確認済み 手紙を読め」以上です」

「本物か?」

「周波数は国際緊急周波数で周辺船舶宛に出されています。通信をして確認を取りましたが、ウェークからです」

「うむ、わかった。貴様どう思う。信じていいか?」

「私は信じていいと思います。その・」


 ぐー、と音が聞こえた。少尉が腹を抑えている。


「わかった、体は正直だな少尉。ご苦労。俺は艦橋に行く」

「は、失礼します」


 顔を真っ赤にして去っていった。 

 まあ洗顔をするか。それから艦橋だな。

 艦橋に向かう途中で主計長に会った。どうやら探していたようだ。


「艦長、炊烹所からですが、食事が用意されていると言うことです」

「その件で今から艦橋に行く。付いてこい」


 艦橋に行くと注目を集めた。すがるような目つきだ。

 一通り敬礼と挨拶を済ませ、さっそく要件に入る。


「さて、みんな驚いていると思うがどうやら事実らしい」


 艦橋に通信科の椎名兵曹長が入ってきた。


「艦長、横須賀から緊急電です。読みます」

 ベテランは仕事が早いな。

「発、横須賀鎮守府、宛、洋上行動中全艦、食事は安全、なお、周辺の安全が確認されるまで当該海域にとどまれ」

「確認しましたが、偽電ではありません」

「ご苦労」


「良し、飯にしよう。みんなの腹の虫がうるさい」


 艦橋内のみんなが笑う。艦内放送にして


「こちら、艦長だ。ただいまより食事とする。手紙が添えられているが、読むのは後にしろ。以上」


「貴様らも飯だ。行ってこい」


「艦長こそお先に」


「良いのか砲術、貴様が一番腹が減っていそうだが」


「気にしないでください。どうぞお先に」


「すまんな」


 食事は旨かった。



南アタリア島と呼んではいけません。宇宙から監察軍の砲艦が墜落してきます。


海軍の夏期休暇は、全員一斉では無く、戦隊内で艦単位で日をずらして休暇を取ります。冬期休暇も同じです。


次回 九月七日 〇六:〇〇

   九月八日 〇五:〇〇

   九月八日 〇六:〇〇


九月十日より次章です。 いよいよ西の陸地に向かいます。 


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