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転移国家日本 明日への道  作者: 銀河乞食分隊
第一章 日本 外地進出
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国内編 四式爆撃機 キ-61 彗星

本編が書きかけばかりで、進みません。



 転移後、航空機の新型機開発はペースは落とされた。状況が分からないため、開発しても何の役にも立たない可能性があったからである。

 輸入液冷エンジンを搭載した海軍の彗星と陸軍のキ-61は一時開発中止とされた。金星エンジンへの転換も検討されているという。


 重要視されたのが長距離飛行出来る機体であった。

 陸軍の重爆や偵察機は搭乗員が地文航法しか出来ないため、樺太、北海道、本州、四国、九州、沖縄、台湾のみである。それでも拡大した国土の空撮には大いに役に立った。

 海軍の搭乗員は当然だが洋上でも平気で、陸軍担当場所以外の空撮を行っていた。ただ水偵は単発機であるため、南西諸島や伊豆七島の島伝いに行動できるところとされた。

 

 切り札と言えるのが二式大艇だった。四千海里という長大な航続距離と、中で搭乗員が寝ることの出来る広い機内スペースは四発機と言うこともあり。長距離飛行での安心感に繋がっていた。

 特徴として他の飛行艇では離着水出来ないような波高でも離着水出来ることだった。

 欠点はお値段が高いことと、月産八機という生産力。さらに浮き上がってしまえば高性能であるが、離着水の難易度が高く搭乗員の養成に時間がかかると言うことだった。

 次点で九十七大艇であるが、三千海里の航続距離は良いものの自動操縦装置に難があり長距離飛行時の搭乗員の負担が大きかった。この機体は離着水も容易で内部に搭乗員が寝ることの出来るスペースがあった。この機体も四発機で長距離飛行での安心感は高かった。


 陸上機は、九十六陸攻、一式陸攻とも燃料タンクを増設して飛んでいたが、二千五百海里が限界だった。


 この現状に、陸軍と海軍は共同で四発陸上機の開発に乗り出した。一社単独指名だった。

 その会社は川西。二式大艇の会社である。ただ、主脚は中島に任せるとされた。


 甲案は金星の四発で爆撃機としてよりも哨戒機としての能力を重視したものだった。

 航続距離 偵察過加重で三千海里から四千海里

      攻撃過加重で二千海里

 乗員 五名から八名

 爆弾 最大三トン 

 爆弾は弾倉式で機体内収容

 偵察過加重時には、爆弾倉内に燃料タンク増設

 雷撃は考えず

  

 防弾は従来と同等

 防御機銃は上面に二十ミリ動力銃塔装備の事

 前方、側面、後方は開発時に軍との協議を持って決定



 乙案は火星の十八基筒版である木星発動機四発で爆撃機としての能力を重視したものだった。

 航続距離 偵察過加重で三千海里から四千海里

      攻撃過加重で二千海里

 乗員 七名から十名

 爆弾 最大六トン 

 爆弾は弾倉式で機体内収容

 偵察過加重時には、爆弾倉内に燃料タンク増設

 雷撃は考えず

  

 防弾は従来と同等

 防御機銃は上面に二十ミリ動力銃塔装備二基、及び下面に二十ミリ動力銃塔一基の事

 前方、側面、後方は開発時に軍との協議を持って決定

 


 中島の魁を押す声も一部にはあったが、川西が嫌ったことで無しになった。川西は火星を十八気筒化した木星の方が高性能であり、直径もわずかながら小さいことから使いたかった。

 またしても中島は三菱にやられたのである。


 だが、軍は現状を考えた結果、木星でも無く魁でも無い、甲案を採用した。

 とにかく長距離偵察能力であった。

 結果、要求性能は航続距離重視になった。


 乙案だと高性能ではあるが、機体規模が二式大艇並かそれ以上になりそうだった。価格も高価になることは安易に予想され、百機単位で揃えたい軍にとっては問題だった。


 発注先の川西は陸軍とは縁が無く、海軍からの発注となった。


 十七試陸上攻撃機

 以下の要求項目を満たせば、機体形状は川西の自由とする。


 発動機

 金星六十四型 

 離床出力一千四百馬力

 一速公称出力一千三百五十馬力/高度三〇〇〇m

 二速公称出力一千二百二十馬力/高度五八〇〇m


 上の発動機を四基使い四発機とする。


 航続距離

 偵察過加重 四千海里 増加タンク使用 爆弾無し

 偵察    三千海里 爆弾無し

 攻撃過加重 二千海里 爆弾二トン搭載


 爆弾

 二トン搭載

 航空魚雷は装備せず

 

 防弾は二式大艇同等とする。

 搭載機銃

 機体上部に二十ミリ動力銃塔一基

 尾部に二十ミリ機銃一基 手動操作

 前部と左右にホ-一〇三を単装で装備


 離着陸容易であること

 機内に睡眠可能な搭乗員休息所を設けること 

 速度は特に要求しないが、以上を満たした上で優速を希望する


 川西は転移後、不要不急機種開発中止のあおりを受け、十四試水偵(紫雲)十四試水戦(強風)が開発中止になってしまい、会社を支えるのが二式大艇のみとなってしまった。

 これには海軍も何らかの手当をせざるを得ず、四発機の開発経験豊富と言う理由で十七試陸攻が一社指名で発注される遠因にもなった。


 四発機なら中島も経験は有るが、アメリカ製機体の失敗作をつかまされた上に失敗作のデッドコピーで、開発自体失敗したものであった。十七試陸攻を海軍が中島に発注をしない原因でもあった。


 川西は菊地原技師を中心にオール川西で開発に臨んだ。

 方針は、早期開発を望まれているようなので、新たな翼系の開発はしない。技術的に検証されていない新装備の搭載もしない。胴体は二式大艇の設計を流用するなど、出来る限り既存の設計を流用する。

 などの、設計方針の元、開発が進められた。

 唯一、前輪式降着装置のみが新技術として採用された。

 結果、胴体は二式大艇の船体部がない感じの胴体が出来た。やや下目の中翼配置だった。

 主翼は、二式大艇の主翼と同じ平面形を採用し、断面もほぼ同じだった。金星エンジンに合わせたほか、機体規模に合わせて縮小している。

 主翼の強度には特に注意が払われた。川西には引込脚の経験がなく、中島が降着車輪を制作するので、想像出来る以上の強度を持たせた。

 設計は日本時間十七年年末に完了し、年明けから試作が始まった。


 試作は順調に進み、十八年夏、試作機が完成。

 強度試験が済み、地上滑走も終わった。

 ジャンプ飛行も問題ない。

 いよいよ主脚を格納しての飛行試験である。

 直進性は問題なかった。ここら辺は日本における四発機のオーソリティーである。

 順調に試験飛行を重ねたある日、ちょっと着地をミスして、まだ主車輪が着くまえにエンジンを絞り過ぎてしまった。

 結構な衝撃があり、機内では「何やってんだこいつ」な目で操縦員を見やった。

 一方、着陸を見ていた面々は真っ青になった。

 胴体が主翼後方から垂れ下がってしまっていた。折れたとも言う。

 

 「川西中折れ事件」である。

 

 直ちに原因の究明がなされた。

 分かったのは操縦員のミスと、機体設計の不備だった。

 操縦員のミスは、誰にでもあり得るとして不問だった。厳重注意ですんだ。むしろ今で良かったとも。

 設計陣は自ら導入した前輪式であり、強度は問題ないはずだったが折れた。

 怒られたのは当然である。


 その後設計をし直し、十八年冬に新たな試作機が完成。

 前輪周辺の強度不足とか、機首上げ時の挙動に不安があるとかの不具合を潰していき、十九年夏、初号機が軍に納入された。


 四式爆撃機十一型  海軍・陸軍、共用であり重爆とか陸攻とかの呼び名は使わなかった。

 

 発動機

 金星六十四型 四基

 離床出力一千四百馬力

 一速公称出力一千三百五十馬力/高度三〇〇〇m

 二速公称出力一千二百二十馬力/高度五八〇〇m


 最高速度 四百五十km/h(二百四十三ノット)

 航続距離

 偵察過加重 七千四百km(四千海里)増加タンク使用 爆弾無し

 偵察    五千km(二千七百海里)爆弾無し

 攻撃過加重 一千三百km(七百海里)進出+全速三十分+一千三百km 爆弾二トン搭載 


 搭載機銃

 機体上部に二十ミリ動力銃塔一基

 尾部に二十ミリ機銃一基 手動操作

 前部と左右にホ-一〇三を単装で装備


 乗員

 操縦二名

 偵察・航法二名 爆撃手・前方銃手兼任

 通信二名 側方銃手兼任

 機関一名 側方銃手兼任(搭乗整備員)

 銃手二名 動力銃塔専任・尾部銃座専任


 主契約 川西

 副契約 中島


 川西の生産力が小さいため、中島でほとんどが生産された。一:四程度で有る。

 自動操縦装置は優秀で乗務員の疲労低減に効果があった。

 偵察と通信が従来よりも多いが、地図が不備であることと、通信が地球の七割程度しか届かないことを考慮に入れてである。

 

 制式後に輸送機型も開発された。

 非武装として、人員十四名 貨物三トン(専用コンテナで爆弾倉を改造した貨物室に搭載)

        人員のみなら三十人

        貨物のみなら四トンが搭載可能とした。


 後に中島は輸送機型をベースにした民間用旅客機を開発する。



 キ-61は川崎航空機の技術維持のために、金星または誉に換装することとなった。生産数が少ない屠龍と若干の補助機では会社が経営出来ない。潰れてしまうと、同じ開発力を持つ会社が勃興するとは限らない。良い会社が有るのなら、潰れて欲しくないと言うのが陸軍の本音で有る。

 発動機換装後は、次世代双発戦闘爆撃機の開発が発注される。


 彗星は、ディッツ帝国登場で危機感が出た海軍から、金星または誉への換装が指示された。九九艦爆は採用後五年経っておりさすがに古かった。


 誉は十八年末の時点において審査中で有るが、潤滑系の不具合が改修出来る見込みであり、百オクタンガソリンの供給も確立されたことから制式化される見込みである。


 誉は、開発中になにがなんでも金星よりも小さく作れという社長命令が出た。

 結果、直径は金星よりもきっちり二十ミリ小さく出来た。

 離床出力で一千九百馬力という魁と変わらない出力であるが、小さい直径による空気抵抗の軽減で高速な機体が出来そうである。この出力は基本であり、さらなる向上が見込まれている。


 中島は鍾馗の後継機となる誉エンジンに合わせた戦闘機や艦上偵察機を開発中である。


中島連山ではありません。でもやっぱり折れました。


次回 11月12日 05:00予定

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