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転移国家日本 明日への道  作者: 銀河乞食分隊
第一章 日本 外地進出
43/219

カラン村 大変な日々の始まり

上位種の脅威を知るカラン村の面々


さらに上村に重大案件発生

 写真を見た人間は、

「ほんとだな。大型混沌獣の上で指揮を執っているのか」

「初めて見た」

「俺もだ」

「では続けます。その集団を半包囲にしてから、こいつで三十七ミリですね。三十七ミリは大型混沌獣、二十ミリは上位種と、上位種と大型混沌獣を最初に狙って撃ったと言うことです」

「その後は、各種兵器で滅多打ちです」

「上位種は倒せたのか」

「倒せたのは、ケンネルと大型混沌獣です。上位種は生き残ったと」

「それで?」

「傷を負っていましたが、ケンネルを食べ回復したと」


-----------------------------------

 突然、死骸の中から立ち上がってきた。

 黒いケンネルだった。二十ミリ対戦車銃を喰らって生きている。

 口に何か咥えているようだが、ケンネルの手か?

 あいつ仲間を食ってやがる。

 此方を向いて、笑いやがった。

「撃て、あいつが倒れるまで撃て」

思わず口にしていた。あいつはまずい。総毛立つ。背中がムズムズする。

二十ミリが命中する。後ろへ後ずさっただけだと?

さらに命中する。駄目だ、倒せない。腕にも当たったが、吹き飛ばせず、腕が暴れただけだった。

重機関銃が撃ち始めた。駄目だった。十三ミリなど気にしていないような気がする。

機銃弾の中で、仲間の腹に手を突っ込んで何かをつかみ出して食った。

砲声がひびいいた。三十七ミリ速射砲だ。

やった。後ろに吹き飛ばしたぞ。腹に命中したようだ。体をくの字にして飛んで行った。

駄目だ、まだ動いている。周囲にある死体を食べ始めた。

もう一発、三十七ミリ速射砲が撃った。頭に当たった。首がねじれる。

倒れた。

勘弁してくれ。まだ動いている。

起き上がった?ふらついているが、脳ミソこぼれてるじゃ無いか。

突然突撃を始めた馬鹿がいる。おい止めろ。そんな化け物相手に突撃するな。どこの馬鹿だ。

少佐と大尉じゃないか。あの突撃馬鹿。しかも小銃に銃剣じゃ無くて、スコップだと?

「「おおおおお」」

 二人でスコップを振り回して攻めている。あれ?上位種の化け物に通用している?三十七ミリ速射砲を数発喰らって生きている化け物だぞ。上位種は二人の攻撃をさばくのに必死なようだ。

 やがて、大尉の一撃が頭蓋骨に突き刺さった。脳ミソがこぼれていた所だろう。

 ようやく倒れた。おい大尉。まだグリグリしているのか。とどめを刺すのはわかるが、

 ようやくスコップを抜いた。周囲の地面に突き刺して血を拭っている。必死に見える。何かあったのだろうか。

 大尉の肩を少佐が叩いて何か言っている。

-------------------------------------


「以上です。不要な部分は省略しています。現場の感想が多いですが、実際はもっといろんな事が書かれていました」

「日本軍の戦闘が想像出来ないのでなんとも言えんが、雰囲気は分かった」

「この少佐と大尉という奴は、仲良く出来そうな気がする」

「俺もそう感じた」

「会ってみたいな」


「今度機会がありましたら。上の方には要望を出しておきます」

「頼む。こういう奴は嫌いじゃ無い」


 上申すれば通りそうだが、混ぜると危険?


「その大尉だが、なぜいつまでも倒れた相手の脳ミソをグリグリしている?」

「実はまだ生きていたそうです」

「「は?」」

「再生が始まっていまして、スコップが抜けなかったそうです」

「再生だと?」

「上位種ゆえか」

「そうだな、普通の混沌獣は再生などしない」

「アビゲイル、上位種とやったことがあるのだろう?どうだった」

「中型の奴は皆で寄って集って倒したからな。良くわからん。恐らくとどめは刺せたのだろう」

「小型は?」

「一気にやったから、分からん」

「参考にならん奴」

「悪いな」

「いや、頼もしすぎるぞ」


「まあ再生のおかげというかで、かなり状態の良い素材がとれたのだと思います」

「そうだな、それしか無いか」

「では今後も、一度倒しかけてから再生させてとどめを刺すか?」

「どうなんでしょうか。現場にやれと言われても、やらないでしょうね」

「まあ分かるな。下手に完全復活されては面倒だ」

「やはり殺しきるしかないと思います。現場では損害を出したくないので」

「そうだな、軍隊だったな」

「冒険者ならやるだろうが」

「やるな。余裕さえ有れば」

「冒険者ですか?」

「ジンイチは知らないか?」

「話してないだろ」

「はい、初めてです」

「そうか、冒険者というのはだな、あれだ」

「おい、しっかり説明しろ。お前、冒険者だろうが」

「すまんな。主に混沌獣の素材調達や混沌領域での薬草採集などを引き受ける。駆け出しはいろいろの雑用だな。あと、国家間の戦争になると傭兵として雇われて参加する事もある」

「良くわかりませんが、要するに何でも屋と」

「早い話、そうだ」

「身も蓋もないな」

「だって、しょうがないだろ。事実なんだから」


 そんなこんなで、上位種の脅威が伝わった?と思う。


 それからは狩りに誘われたり、村の人達・主にタマヨの相手をしたりして過ぎていった。


 そんな日々を送って一週間後、日本から荷物が届いた。

 荷物は大型混沌獣の素材だという。

 例の保存袋に入っているが、状態はどうなのだろう。

 写真を見せたが、恐らく「サイモス」だろうと言うことだ。


 実物を見たケイルラウは、サイモスで間違い無い。大型上位の混沌獣で比較的おとなしいが、人を見ると襲ってくるのは同じだ。かなり灰色が濃いが上位種では無く長く生きた強い個体だと言う。

 これなら三十日くらい劣化を抑えられる魔法陣を描けそうだとも。

 肉は、焼くと旨いと言う。


「でも狩ってから、二十日くらい経つが」


「前にも言ったが、混沌獣の大物は肉の劣化が遅いのだ」


「今が食べ頃かもしれん」


 一部は駄目になっていたが、可食部は多かった。焼き肉は旨かった。ミソ焼きが旨い。

 カラン村の皆と駐屯地の兵隊に振る舞った。好評だった。




 正和十九年二月

 上村の元に重大な報告書がやってきた。機密の赤判が押されている。滅多にない書類だ。開けるのが緊張する。ここに来るまではこんな赤判関係無かったのにな。と思いつつ閲覧する。

 見事な官僚的言い回しで、経験不足の上村には難解だった。


 要約すると

 南遣艦隊が南方でディッツ帝国と接触した。

 ディッツ帝国は日本と同じく転移してきた国家

 転移時期は日本より一年ほど前

 科学技術は推定だが日本と同等と思われる

 南の大陸を制圧したらしい


 この後がカラン村に関わってくる事柄だった。今後の面倒な事態を考えると上村は退役したくなってきた。


 制圧されたのは、カラン村住民が暮らしていた帝国を征服した共和国だと思われる。

 制圧の結果、獣人・エルフ・ドワーフ等肉体的特徴がディッツ帝国国民と違う者については市民権を得られず、都市や農村部から追放された。現在は難民となっている模様。

 ディッツ帝国陸軍内部に、国民以外は不要と主張する勢力があり、それら住民を邪魔者として処分する可能性が指摘されている。処分とは殺害のことと思われる。

 日本政府はそれら住民の受け入れを決定。

 総数は推定百五十万人とみられるが、さらなる増加は必然とみられる。

 現状、教育程度が分からないが農業・漁業・林業ならば日本への適応は早いと見込まれている。

 内部に冒険者がいれば、東鳥島で冒険者生活を送って貰いたいと考える。

 受け入れ先は、日本本土、台湾、沖縄、南アタリナ島、東鳥島、シベリア大陸を想定している。


 他にもいろいろ書いてあったが、重要な項目はそれだけだった。

 そして上村は、機密指定報告書閲覧後開封のこと、とされた命令書を開封した。

 どうせろくでもない命令に違いないと思いながら。


 やはりろくでもない命令だった。

 上村中尉は

 カラン村住民と新規受け入れ住民との良好なる関係を追求せよ。 

 新規受け入れ住民に対する事例に対応するために、カラン村住民と新規受け入れ住民に関する事柄のみ大佐相当の権限を与える。


 思わず命令書を握りつぶしたのは悪くないと思う。俺は中尉だぞ。なに大佐権限だよ。要するに面倒なのを投げただけだろう。こんちくしょうめ。

 おっと落ち着いて続きを読むか。


 副官として中村大尉及び和田主計中尉を出向させる。階級が釣り合わないことから上村中尉を期間限定で大尉とする。

 大尉となる期間は、新規受け入れ住民の受け入れ終了までとする。

 新規受け入れ住民とは南大陸、ディッツ帝国より受け入れた住民のことである。


 命令書を破りそうになったのは悪くないと思う。


 直属の上官はシベリア大陸派遣軍司令官真田昌幸少将。


 真田少将に面会しなければ。上村は思った。


 事態は動いていた。真田少将より召喚命令が来たのである。


「上村中尉はいります」

「入れ」

「失礼します」


 入室して敬礼する。ここはシベリア大陸派遣軍司令部司令官公室。

 参謀長の唐沢玄一大佐もいた。


「よく来たな、上村君」

「そうですな。君でありますね」

「なんでしょうか」

「臨時大尉で大佐権限など、どう扱って良いのか分からん」

「全くです。上村君、分かるかね。一時的とはいえ私と同じ立場と言うことだ」

「想像も付きません。そのことで伺おうと思っていた所です」

「そうだな、曹長から野戦任官で中尉か。任官したのは私だが」

「あの時は驚きました。まだ死んでいないのに特進かと」

「だが私の判断は間違っていなかったという結果になっている」

「自分がまだ中尉のままのせいでしょうか」

「それもあるが、些細な問題だ。君はカラン村との関係を実に円満にしてくれた。それだけでも野戦任官した私の評価にも繋がった」

「そうですな。他の人間だったらどうなっていたか」

「過大な評価、ありがとうございます」

「まあ、茶でも飲みながら相談しよう」


 唐沢大佐が従兵にお茶の用意をさせる。お茶はおいしかった。




難民の受け入れに向けて動き出す日本

カラン村の実質的な受け入れ責任者は上村なのか?


次回 十月二十六日 05:00予定

南の帝国の話になります。

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