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転移国家日本 明日への道  作者: 銀河乞食分隊
第一章 日本 外地進出
26/219

南へ、東へ

政府は未知の文明に接触を決めたようだ。


本日の投稿は一回です。

 政府は上村から聞き取った結果とカラン村で入手した情報を突き詰めて、南の大陸を偵察してみることにした。

 国内の日本住血吸虫症患者は依然として多く、月に10人程度の治療数では患者間の不公平感が大きくなってきていた。

 また大怪我用の魔法陣は他の病気や怪我にも有用であり、さらに有用な魔法陣を入手出来れば良いと考えている。

 

 いきなり南の国に接触交渉は無謀と言うことで、まずは偵察と言うことになった。


 また南アタリナ島を起点に東へも捜索の手を伸ばそうとしていた。


 これには海軍が待ったを掛けた。

 艦艇や人員の遣り繰りがつかない。かなり無理が生じる。

 現在でも国内海図整備にかなりの人員・艦艇が関わっており、またシベリア大陸派遣部隊や南アタリナ島派遣部隊もあり、困難であると。


 政府は海軍に対して、海図整備に関しては外国航路の商船に乗っていた船員が余り気味であるのでそれを充てるとした。

 空母も翔鶴級四隻が部隊配備、瑞鳳級六隻も部隊配備された。何が不足かと迫る。


 結局海軍が折れ、条件付きで南大陸の偵察と南アタリナ島東海域の捜索を行うことになった。

 南大陸は大陸を発見するまで最大四千海里南下。南アタリナ島東海域の捜索は三千海里進出までとされた。


 南大陸捜索部隊である、南遣艦隊が編成された。


 旗艦 大和


 第一戦隊一分隊

  大和 武蔵


 第三航空戦隊

  翔鶴 瑞鶴

   第一直衛隊 

     秋月 夏月 三日月 凉月


 第八戦隊

  利根 筑摩


 第一水雷戦隊 

  阿賀野


  第二十一駆逐隊

  夕雲 巻雲 風雲 絹雲


  第十駆逐隊

  初風 雪風 天津風 時津風


  第十二駆逐隊

  嵐 荻風 舞風 秋雲 


 他艦隊補給艦二隻、艦隊油槽艦二隻、出雲丸


以上の編成だった。


 出雲丸は万が一交渉という事態になっては困るので、外交団が乗っている。出雲丸が選ばれたのは日本最高級の貨客船と言うことと、カラン村での実績を考慮されてのことだった。

 出雲丸は病院船も兼ねていた。


 

 東海域捜索部隊も編成され、東遣艦隊とされた。こちらは規模は南遣艦隊より小さかった。何しろ神様情報で文明のある大陸まで一万キロ位と言うことは判明している。ただ神様情報だけに一万キロなのか一万キロ以上なのかは教えてくれなかった。

 その間に海域にハワイのような都合の良い島が無いか、文明との接触がある可能性もあるかどうかの捜索だった。


 旗艦 甲斐


 第一戦隊二分隊

  甲斐


 第七航空戦隊

  凍鶴 黒鶴

   第二直衛隊

   影月 冬月 春月 初月


 第九戦隊一分隊

  最上 熊野 


 第二水雷戦隊

  能代


  第二十二駆逐隊

  長波 巻波 高波 大波


  第十一駆逐隊

  浦風 磯風 谷風 野分  


 他、艦隊補給艦一隻、艦隊油槽艦一隻、新田丸


 こちらも、万が一接触という事態になってもいいように外交団を乗せた新田丸が随行する。

 新田丸は出雲丸に比べると二回り小さく、客船としての格も低いがそれでも日本では高級船舶だった。

 こちらも新田丸が病院船を兼ねている。


 両艦隊はいずれも最上・熊野以外は建造5年以内の新鋭艦で構成された。古い船でも陽炎級駆逐艦である。

 見知らぬ世界、見知らぬ海での長期洋上行動と言うことで船体の小さい陽炎級駆逐艦は乗員の疲労が懸念された。そのため随行する出雲丸や新田丸での休養が許可された。


 艦隊を構成する船には、すべて電探が装備された。出雲丸と新田丸にも装備された。出雲丸と新田丸には長波受信設備も追加された。


 長波は日本から七千海里離れても受信可能なはずと海軍通信所は言う。本来一万海里でも交信可能なのだが、中波や短波がこの星ではなぜか減衰してしまい、七割程度の交信距離だという。恐らく長波も影響を受けるはずだという。


 

 南遣艦隊は台湾・高雄軍港に寄港後、南下するとした。

 東遣艦隊は伊豆大島沖で終結後、南アタリナ島で最後の補給をして東へと向かう。


 

 東遣艦隊も南遣艦隊も艦載機で前路啓開をして進む。日本としては前人未踏の地で有り、どこに座礁するような危険箇所があるのか分からなかった。



 東遣艦隊司令は前方の密雲を見て前進を諦めたらしい。艦載機も雨で飛行が危険になり帰ってきたという。

 東遣艦隊司令が艦隊を単縦陣にして速度を落とし、百八十度回頭で後退すると指令が来た。勿論平時であり航行灯は点けている。


 この熊野は一万トン級の大型軽巡だから、かなりの大型低気圧でも耐えられる。駆逐艦も夕雲級は二千七百トンの大型駆逐艦だし、最新の艦型だ。大丈夫だろう。問題は陽炎級で構成された十一駆だろう。

 司令はどうする気なのか。 


 羅針儀は従羅針儀も磁気羅針儀も信用出来ないが、一応北だろう方向に針は向いている。天測がデータ不足で出来ない今、当てにするしか無かった。

 長波もどこまで届くか分かっていない現実が、艦隊を慎重にさせている。


 暗くなると共に雨が降ってきた。かなり南方であり、寒くは無かったが見張り員には雨具着用と安全帯使用を言い渡す。見張り員以外は艦内に退避させた。雨で滑って海に落ちたのか、行方不明になる奴が海軍全体で何年かに一人くらいだが出る。そんな馬鹿らしい事態は招きたくなかった。


 かなり海が荒れている。でかい三角波も見える。第四艦隊事件を体験した者にとってはいやなことを思い出させる波だ。

 艦隊司令から、十一駆を甲斐の後方に配置換えすると連絡があった。この波では先頭で針路を保つのはきついかもしれない。それにでかい船なら夜間悪天候でも見失わないだろうという配慮なのだろうか。九戦隊の前方で艦隊の先頭に立っていた十一駆が針路をずらし速度も落としている。

 かなりつらそうだ。がぶっているし、舵やスクリューが見えるときもある。


 最上が艦隊の先頭に立った。甲斐から十一駆が位置についたと連絡があった。日が暮れてきた。雨天の夜間航行だ。これほどいやな物は無い。電探は雨と波で役に立たないという。最上の航行灯が雨に霞んで見える。

 航海科からいやな報告が上がってきた。気圧が960ミリまで下がってきたという。先ほどまでは970だったはずだ。

 この星は地球より20ミリくらい気圧が低いらしいが、それでも地球相当で960ミリなら大型の低気圧だろう。

 再度艦内に固縛の確認をさせると共に、非常時に備えさせる。


 艦隊司令から速力を十ノットまで落とすよう指令が来た。同時に各艦艦首を風に立てるよう言ってきた。針路の保持は諦めたようだ。

 船の間隔は一千メートル取ってある。衝突するようなヘボはいないだろうが、二隻の艦隊輸送艦と新田丸が気になる。艦隊輸送艦は、艦隊と偉そうな名前が付いているが基本ただの高速貨物船を海軍仕様にしただけに過ぎない。新田丸など純然な民間船だ。二水戦の能代と二十二駆が付いているから滅多なことは無いと思いたい。


 時間的に夜明けだがまだ周囲は暗かった。依然、雨風とも強いと言うよりも強くなってきている。見張り員が甲斐が大きく見える。此方へ接近しているかもしれないと言う。

 確かに大きく見える。電探は相変わらず役に立っていない。

 甲斐から、駆逐艦が風と波で進路が安定せずにふらついているので艦の間隔を開けよと通信が入った。


 その日の午後、ようやく雨風とも弱くなり、明るくなってきた。嵐を抜けたようだ。雨が止み、夕焼けが見えた。風はまだ強いし波も高いがこれからは収まっていくのだろう。

 甲斐から各艦に状況を知らせるよう通信が来た。また隊列を横隊で整えるように言ってきた。

 電探で見ると艦隊はかなり乱れたようだ。

 各艦とも航行に差し支えるような被害は無かったが、多少の被害はあったようだ。


 翌朝、嘘のように晴れ渡った空へ前路啓開や哨戒のための航空機が飛んで行く。現在位置は不明だが、羅針儀では東へ向かっているらしい。

 再び空母を中心とした陣形に戻り、東進する。


 南アタリナ島から大凡一千五百海里東進したが、島影も見えなかった。あの嵐で艦隊がどれだけ進路からずれたのか分からなかった。航海長も大凡の位置しか分かりませんという。


 甲斐から通信が入った。哨戒機が島影を見つけたようだ。艦隊を二分するという。

 甲斐と凍鶴に影月・冬月・能代・二十二駆は艦隊輸送艦と艦隊補給艦を伴って、そのまま後一千五百海里東進するという。


 九戦隊と十一駆は黒鶴・春月・初月・新田丸を伴って島を偵察に向かうよう命令された。艦隊司令は九戦隊司令が取るよう指示された。

 黒鶴搭載機が帰還したのを見計らって、島に向かう。進路から北方に百五十海里と言うことだ。

 

 武器使用は九戦隊司令が責任を持つので、使用前に必ず連絡を入れるよう通信が入った。


 黒鶴搭載機から艦隊に向かう大型の海棲生物らしきものを発見したと通信が入る。速度は二十ノット程度と見られると。距離は二十海里くらいらしい。進路は此方へまっすぐだという。

 九戦隊司令は進路を百二十度変針と変針後速力を二十ノットに増速という指令が来た。

 続報で、体長五十メートル前後と通信が入った。

 大型水性生物は直進していると続報。

 どうやら躱せそうだ。

 正体の分からない相手とは接触しないに限ると思う。


 別の哨戒機から通信が入った。艦隊進路前方十五海里に大型海棲生物らしきもの発見と。やはり二十ノットくらいで此方へ直進しているという。


 九戦隊司令は対潜戦闘用意の命令を出した。同時に六十度転進をする。黒鶴と新田丸を守らなければいけないが、対潜戦闘が可能なのは十一駆と春月・初月の六隻だけだ。戦闘は避けたかった。

 大型水性生物を最初に発見したものを甲、艦隊前方にいるものを乙とした。

 既に甲斐に向けて通信をしてある。


 「ワレ、大型海棲生物ラシキモノト遭遇。戦闘ノ可能性アリ」



大型海棲生物とはなんぞや。


次回 十月一日 05:00予定

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