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転移国家日本 明日への道  作者: 銀河乞食分隊
第一章 日本 外地進出
23/219

上村の帰国

ようやく日本に帰った上村


十月三日 後書きを少し変更しました。

対戦車銃の文です。史実に基づいた指摘がありましたので、修正します。

 上村中尉は、部隊責任者として最後まで交代対象にされなかった。部隊参謀の中村中尉と部隊主計参謀の和田中尉が交代で帰国し休暇を取ってから戻ってきた。上村が帰国出来るようになった。

 ようやく帰国出来る。娘はどのくらい綺麗になったのか。楽しみだった。

 カラン村では土産になるような物は無かった。上村から見て価値が無いように見えているだけで、実際はまだ出回っていないという理由でプレミアがついていた。

 そのことを両中尉から聞いて、慌ててカラン村で土産になりそうな女性向けの飾りを揃えるのだった。

 カラン村では通貨がほぼ流通していないうえに、日本の通貨などレートも決まっていないので使えるわけも無く、物々交換だった。上村も他の将兵と同じく、酒保で購入した物資を手に土産を探すのだった。

 酒保の横には出雲丸の乗組員が臨時店舗を作り、独自に持ってきた交易用物資を将兵相手に売りさばいていた。

 土産になりそうな飾りや置物・道具などは、わざわざ土産用に作り出す者もいる。元帝国民であった村人は、貨幣経済を理解しているだけ有ってたくましかった。


 上村が帰国する際に問題になったのがカラン村住民を招待する計画だった。

 結局

 まだカラン村住民をこちらが十分理解していない。

 防疫上受け入れ体制が整っていない。

 警備は如何するのか。

 等、こいつら何ヶ月も何やっていたという体たらくで、お流れになった。政府首脳部から現場に激しい叱責があったのは当然だった。


 


 上村中尉は帰国後、江戸県多摩が丘の自宅で1年ぶりに長期休暇を取っていた。妻と娘にはお土産が喜ばれた。

 ただ一ヶ月間と言われた休暇期間のうち、十日近くが陸軍や政府への呼び出しで潰れてしまったが。



陸軍参謀本部


 参謀本部の人間だけじゃ無くて、陸軍省と教育総監部の人間もいたのに驚いた。しかも少将まで居るじゃ無いか。俺に何を求めるのだ。


「上村中尉、歩兵銃が通用しないというのは本当だろうか」


 少将から直々に聞かれたぜ。緊張するな。


「はっ、中型下位の混沌獣になら通用しますが、それ以上の混沌獣ですと多数撃ち込んでやっと仕留めたなどと言うことも多々ありました」

「機関銃分隊が使った軽機関銃はどうか」

「あれは歩兵銃と同じ弾ですので」

「駄目か。なら、重機関銃はどうか」

「あれも歩兵銃に毛の生えた程度です。弾が三〇三ブリティッシュですから、多少威力が上がった程度です。持ち歩きに苦労するだけで、かえって邪魔という声もあります」

「そうだな。報告書にも書いた有った。報告書は都合良く書かれていることが多いのでね。改めて実際に混沌獣と戦った者の意見を聞きたかったのだ」

「ならば、言わせて頂きます」


 偉いさんは気を悪くするかもしれないが、どうせ冗談みたいな昇進なのだから、士官の位は失っても良かった。今後の安全のためにも言わなければ自分の命が危なかった。


「うむ、言いたまえ。実戦経験者の意見は貴重だ。君とあと数名がスペイン内戦と今回の遠征を経験している。貴重な意見だ」

「ありがとうございます。まず混沌獣は人間とはまったく違います。現在陸軍が装備している対人用兵器は通用しにくいでしょう。出来れば三〇三ブリティッシュ以上に威力のある弾が欲しいです」

「三〇三ブリティッシュ以上というと、何があったかな。兵站参謀」

「はっ、三〇三ブリティッシュ以上というと、航空機関砲ホ-一〇三に使われる13ミリ実包があります。それ以上ですと、九七式20ミリ対戦車銃になります」

「参謀、歩兵が振り回せるのか」

「無理です。据え付けて使用するしか有りません」

「大友少将よろしいでしょうか」

「何か、作戦参謀」

「はっ、報告書によると、誘い込んで十字砲火にさらしたと書かれています。据え付けた場所に誘い込めば据え付けでも可能なのでは無いかと愚考します」


 ほんとに愚考だぞ。それは。


「上村中尉、どうなのか」

「現地で遭遇したのはイノシシ型とシカ型だけで、他の混沌獣は見ておりません。イノシシ型には有効でしたが、シカ型はジャンプして戦線を突破されることもあり負傷者も出ております。安易に誘導するのは危険と考えます」


 おお、作戦参謀が鬼のような目でこっちを見ている。怖いな。


「では、中尉はシカ型には待ち伏せでそこに誘導するのは危険と考えるのか」

「実際、危険でした」

「イノシシ型なら通用するのだな?」

「今まで出会った中型下位のイノシシ型なら通用します。ただイノシシ型でも中型中位の個体ですと、小銃弾が通用しにくいので、こちらが蹴散らされてしまう危険があります。戦法を固定するのは危険です」

「危険だそうだぞ。作戦参謀」

「ですが実際に中型中位のイノシシ型やシカ型を狩っているでは無いですか。上村中尉はやっております。他の者にも出来るかと」


 こいつ、現場を知らないくせに。


「報告書にあるとおり十字砲火を浴びせましたが、それは混沌獣を視認してから風下に回り込んで時間を掛けて少しずつ近づいて、ようやく仕留めたものです。風上から近づけば気づかれます。また物音を立ててても気づかれます。混沌獣の聴覚・嗅覚は野生動物と変わり有りません。人間相手と同じ戦法は通用しません」

「では、中尉は混沌獣相手の教本を新たに作成する必要があると」

「必要だと思います」

「大友少将、よろしいでしょうか」

「なにか、香川中佐」


 教育総監部の中佐が発言した。


「確かに混沌獣対策の新たな教本は必要でしょう。上村中尉のやってきたやり方は猟師のそれです。我が国にも猟師はいます。彼等から意見を聞きましょう。そうすれば教本の作成も早く出来ます」

「そうしてくれるか。教育総監には本官からも話は通しておく。第一次派遣部隊から意見を広く聞き取り作成して欲しい」

「了解しました」

「今までは如何していた上村中尉」

「現地で簡単な教本を作り、後は現場で教えておりました」

「その教本なら、持ち帰った物があります。すでに提出されております」

「では、その教本をたたき台にするのだな」

「しかし、それでは現在の教本とまったく違う教育課程になります。現地で対応させるだけで良いのではは無いでしょうか」


 作戦参謀がまたいらん発言をする。


「香川中佐はどう考える」

「本官は、必要だと考えます」

「上村中尉はどうだ」

「我々は慣れる時間がありました。しかし今後、突然派遣された場合慣れる時間も無いと考えます」

「では教育は必要だな」

「はい」


 作戦参謀はもう何も言わなかった。ただ香川中佐とこちらを交互に睨んでいる。

 ではとどめだ。


「我々が現地で遭遇した混沌獣はイノシシ型とシカ型だけです。しかも、中型下位と中型中位の個体だけです。他の種類の混沌獣や上位個体には遭遇しておりません。しかし、他の部隊が小型混沌獣と遭遇戦になり負傷者が出ています」

「では今まで得られた情報から教本を作るのは意味が無いと」

「意味が無いわけでは無いでしょうが、まったく違う混沌獣に対応出来ない可能性が出てきます」

「それはまずいな。もっと深く調査が必要と言うことだな」


 香川中佐もそこまでは考えていなかったのだろう。考え込んでいる。そして


「教育総監部からも前線に人を出しましょう。戦訓を回収する必要があります。今までの戦訓は混沌獣相手には役に立たない可能性があります」

「そうしてくれるか」

「はい、事は慎重かつ迅速に進める必要があります。不完全な教本や作戦で危険を招くことは避けたいです」

「うむ、なるべくカラン村の住民と仲良くやれる人材を頼むぞ。今関係を悪くするわけにはいかない」

「了解しました」


 その後少し話をして解散になった。



陸軍兵器廠


「上村中尉、よく来てくれた」

「はっ、本官の意見で良いのでしょうか」

「かまわない、現場の意見は重要だ」

「参謀本部でも申し上げましたが、歩兵銃では威力不足で中型下位までしか通用しません」

「三〇三ブリティッシュを使う九十式重機関銃でも大差ないと言うことだったが」

「はい」

「13ミリでは歩兵が扱えんしな。対戦車銃では狙撃しかできんか」

「しかし対戦車銃は有効でした。ただ命中すると炸裂する場合が有るので、胴体に命中すると魔石が破壊されている事が有りました。破甲榴弾では無く、無垢弾のほうが混沌獣の魔石目当てなら適していると考えます」

「無垢か」

「炸裂するとなんです、周りがいろいろ大変で。あとは、食用に出来なくなります」

「食用に?」

「はい、弾片が入っている場合がありますので食用にするには危険と考え、魔石だけ取り出して処分しています」

「炸裂弾だと、魔石が破壊される場合があるし、食用にも出来ないと」

「混沌獣はおいしいです」

「旨いのか」

「旨いです」

「それでは、現場の士気にも関わるな?」

「それはもう」

「そうか、炸裂弾はまずいか」

「何か?」

「今な、13ミリ航空機関砲を重機関銃に転用出来ないか試験している」

「はあ」

「それが元はアメリカのブローニングM2だ。弾薬に炸裂弾を使えるように改造したものがホ-一〇三と言う航空機関砲になる」

「それなら威力は有りますね」

「玉が軽いし初速も遅いのでな、本家ほどの威力は無い。ただ当たれば本家には無い炸裂弾だからな。航空機には有効だろう」

「炸裂弾ですか。混沌獣相手では使いにくいですね」

「だが製造ラインは有る。一からブローニングM2を作るよりも手っ取り早い。炸裂弾は混沌獣相手では不要らしいので、炸裂弾抜きの重機関銃専用弾帯を作れば良いか。対戦車銃も破甲榴弾では無く、無垢弾を作れば良いな」

「出来ればその方が魔石の確保が楽になります」

「分かった。それで聞くが、やはり炸裂するとなんだ、グロいか」

「大変」

「よろしい。至急炸裂弾抜きの弾帯と無垢の対戦車銃弾の開発をしよう。今日は休暇中の所すまんな」

「いえ、参謀本部に出頭した帰りですので」

「そうか、少し待て」

 

 どこかへ電話している。


「貴公は江戸だな。一等は無理だったが二等の切符を出すように言っておいた。帰りは事務所に寄ってくれ」

「ありがとうございます」


 大阪に来るときは三等車だった。呼び出しておいて切符は三等かと思った。帰りは二等車か。二等車は椅子が広く乗り心地も良いという話だ。ありがたい。




軍パートです

政治パートは如何しましょう


九〇式重機関銃はヴィッカース重機関銃の空冷仕様です。弾は三〇三ブリティッシュです。


日本軍の対戦車銃は20ミリという大口径の銃でした。二脚というのは多分歩兵が持ち運ぶのに軽い方が良いと言う理由でしょうが、射手の体は大丈夫だったのでしょうか。昔読んだ記事では狙いが付けにくかったらしいです。


この世界では、混沌獣が阻止線を突破してきて銃手が逃げる間が無く負傷したと言うことと、高速で激しく機動する混沌獣に伏射や膝撃ちでは追尾困難という理由も在り、追尾しやすく、且つ、逃げやすいよう現地改造で立射が出来るように三脚にしてあります。運用に15人必要になっていますが威力と引き換えでと言うことです。


次回 九月二十八日 05:00予定 ほんと予定です。なぜならストックがつきました。

双龍の世界みたいな外伝なら有りますが、本文が有りません。

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