ディッツ帝国 反攻 航空撃滅戦 反響
少し短いです。
ガミチス帝国東方戦線D方面軍司令部では突然の出来事に騒然としていた。
今までは守勢だった奴らが突然きつい反撃をしてきたのだ。
前線で陸上集団を支え敵航空戦力を押さえ込んでいた飛行場集団の内、二箇所が完膚なきまでに破壊された。
一箇所は他に造り直した方が早いとまで言われる損害を受けた。
基地は造れば良いがそれまで戦線を支えられるかどうかが問題になった。不味いことに東方戦線司令長官ドメル中将は本国へ報告と各種折衝のため帰っている。
取り敢えず一報は入れたものの、返答がいつ有るのか分からない。それまで敵が待つとも思えなかった。
彼等が出した答えは、フェザーン周辺の航空戦力を前線に移動。更に後方、ベルフィスヘルムで錬成中の部隊をフェザーンまで前進させ後方予備とする事だった。
翌日から前線へ移動した戦力は戦闘機各種四百機、単発戦術機百五十機、双発爆撃機二百機、四発爆撃機五十機だった。
これは空戦や地上撃破で消耗した戦力に匹敵した。
また地上でも攻勢を掛けられていた。
飛行場攻撃が成功した翌日、陸軍も規定の防衛線を踏み出しガミチス軍へと襲いかかった。集積していた砲弾が無くなる勢いでの砲撃をガミチス前線部隊に対して行った。偵察機によってかなりの部隊配置が暴露されており、狙いは正確だった。
地上支援機が前線配備の戦車や自走砲に対して攻撃を行い、多くは地上撃破された。地上支援機として日本から供与された(使わない機体を集めてきた)一式陸爆が小型爆弾をばらまき、屠龍が戦車を狙い撃ちする。シュニッツァー4v3も戦闘爆撃機として参加している。
ガミチス陸軍は航空支援を要請するも支援空軍部隊の拠点であった5番飛行場を撃破され、迅速な支援は出来なかった。後方から飛んでくる機体はかなりの数が迎撃されてしまった。
逆にディッツ陸軍は散々砲弾を喰らわせた後から、戦車を前面に出した混成部隊を進出させてきた。
戦車はガミチス側の記録に無い新型で、前線に多く配備されている50ミリ対戦車砲Td5045では至近距離でないと歯が立たなかった。そのため前線は次々と突破され一部では後方まで侵入を許した。
一部部隊の踏ん張りで敵を後退させたが、危ういところで有った。
その日の戦闘は終わった。
翌々日、整備と補給が終わった航空部隊が再びガミチス前線飛行場を襲う。今度は1番飛行場を狙ってきた。
5番飛行場は現在放置されている。4番飛行場は整地がかろうじて終わったところだった。格納庫など望むべくもない。緊急着陸場ならともかく出撃拠点としては使えなかった。
1番飛行場は4番飛行場と同じく鉄道から近く、破壊しても復旧は早いと思われた。規模は五箇所の中で一番大きく滑走路が四本、駐機場、格納庫とも多数という中核飛行場だった。
今度も四箇所の基地からの出撃だったが時間差は5分と、ほぼ無く空中分進合撃とも言えた。
出撃機数は後方からの補充も有り前回と余り変わらない。ただクライスB3爆撃機は数が足りずに減っている。
日本戦闘機隊は今度は陸軍が直衛、海軍が制空だった。
前回の強襲は一箇所に戦力を集中したディッツ側の作戦勝ちであったが、今回は不味いことに後方から補充のためやって来た機体とかち合わせしてしまった。空中指揮機から各制空隊は前進し敵戦闘機隊を撃破するよう指示が有った。
烈風が一気に高度を上げていく。局地戦闘機の紫電よりも上昇率は高かった。
指揮機から知らされた敵機の数は迎撃機が百五十機強、増援と思われる機体が二百機余りだった。
こちらはディッツ空軍、日本陸海軍合わせて戦闘機だけで四百機を超え五百機近い。全て対戦闘機として使うわけにも行かず、迎撃に向かったのは三百機程度だった。
激烈な空戦が展開された。
『隊長、二時に敵機多数』
一中隊二小隊隊長坂井大尉が報告してきた。
「どこだ?坂井よく見えるな。先導せよ」
『了解。追随されたし』
「こちら笹井だ。一中隊は迎撃に向かう。二中隊はここで待機。すり抜けてきた機体を迎撃せよ」
『了解。残しておいてください』
二中隊隊長岩本大尉が答えた。
「努力はしよう」
残す機は無い。と、笹井中佐は思うが機数が多い。すり抜ける機体は有る。岩本はまだ撃墜していないからな。熱くなって無理をしなければ良いが。
笹井の大隊が装備する烈風の反応は早い。水平旋回半径よりも素早く姿勢変更を行うことを主眼として機動性を重視した機体となった。機体は誉に合わせコンパクトに纏められている。
設計者は零戦と同じだと言うが大分感じが違う。十年の月日は大きいようだ。
迎撃機達は烈風を先頭に突っ込んでいった。
すり抜けてきた敵機は岩本中隊同様、予備戦力として待機していた戦闘機隊に阻止される。
が、やはり機数的に完全阻止は無理で有り、百機以上の敵機が迎撃網をすり抜けてきた。
オスカー2と疾風の一部が編隊を離れ迎撃に向かう。
突破しようとする敵機と守ろうとする味方戦闘機のせめぎ合いは、味方戦闘機に軍配が上がった。機数、性能で上回る。それでも三十機ほどが爆撃隊に取り付いた。最後の直衛機との戦闘で有る。
結局,敵戦闘機はろくな戦果を上げられないまま撃退された。三百機以上で迎撃してきた結果は爆撃機撃墜十三機だった。他に戦闘機八十機ほどが撃墜された。味方の戦果は相変わらず出鱈目だ。総撃墜数五百機以上になる。
迎撃網を突破した爆撃隊は1番飛行場に対して高度七千からの高高度爆撃を敢行した。まだ対空砲火多数があり、五千以下の高度では損害が大きくなると懸念されたためだった。それでも百五十機以上の爆撃機が一機当たり二トン、三百トン以上の大小爆弾を投下。爆撃後の偵察で滑走路二本が使用不能と判定された。
地上では、再び戦線突破を図るディッツ陸軍が戦車を先頭に侵攻していた。
長さか投稿間隔かを考えて、投稿間隔を取りました。
航空戦の戦果報告はどの国でも出鱈目ですよね。
多分迎撃側のガミチスでも撃墜五百以上とか報告していそうです。
次回 七月九日 05:00予定