東インド大陸沖海戦 8
似たような戦力ならやはり双方ボロボロか。
音楽聴きながら書いたら、変なノリに。まあいいかと。
ささきいさおとか水木一郎とか。ヤマトとハーロクはよい。
大和司令塔の中では島崎司令長官と中川参謀長が居た。艦長から危険なのでと言われ、昼戦艦橋を追い出されたのだ。
「参謀長、こんな小さい窓では外が見えん」
「おまけに低いですからな」
「佐々木の奴、自分だけ良い思いをしおって」
「司令長官はここでデンと構え取れば良いのです」
「分かってはいるが、やはり艦橋へ行きたいものだ」
「正直、私もですが、昼戦艦橋よりもこちらの方が状況の把握は出来ますから」
彼等の目の前にはデカい戦闘情報表示台が置いてあった。兵棋演習で使うアレの小さい奴である。高さは膝くらいの高さで上から見下ろせるようになっていた。
確かに昼戦艦橋の海図台よりは良くわかる。脇の黒板には敵味方の損害状況が書かれているし。
佐々木艦長が気を利かせてか艦橋での主なやりとりは司令塔でもスピーカから流れるようになっていた。
『司令長官、敵戦艦戦隊がライオンに突っかけています。これなら追いつけそうです』
『砲術、一番二番、全門斉射でいい。脅してやれ』
先程敵戦艦戦隊まで一回撃ったのだが、被雷して水線下に空いた破孔の影響か大分逸れてしまった。今度は脅しと言っているから、周辺に着弾すればいいのだろう。
「参謀長、戦況は我が方が押しているでいいな」
「損害は多いですが、押していますな」
「空母の数で四対二だったし、敵の索敵機は遂に空母部隊周辺に現れなかったと言うな。当然の結果だが、何故こんなに損害が出たのだろう」
勝った気でいる島崎だった。
「やはり、空母が気になって攻撃隊を分割したせいでは?」
「だが、合同訓練もやっていないし、仕方が無かったな」
「今後の課題ですな」
参謀長も勝った気でいる。
『敵戦艦との距離近づきます。ライオンと反対側から攻撃します』
電探情報だと敵戦艦戦隊はライオンに右舷を見せないように運動しているという。大和はそれに乗じて挟み撃ちにしようというのだろう。さっきは混戦になってしまったが合わせて四隻だ。何とでも成る。といいな。
『取り舵。一万八千まで近づく』
『砲術、左砲戦。目標敵一番艦』
『撃ー!』
艦長は近づく気か。大和は近距離砲撃を考えて、一万五千から二万五千までの四十三センチ砲防御だからな。四十センチ砲なら致命傷には成るまい。
今度は砲術長の声まで流れてくる。やってくれる。艦橋がうらやましいぞ。司令塔の中では本当に見えんな。
『管制電探。近百五十近百遠百五十遠百五十。描頭三百五十前』
『大和二番。遠二百遠百五十近百遠二百、描頭三百前』
射撃管制電探だけでは無く、弾着観測機の無線まで聞こえてきた。
ん?ミルじゃないのか?
『修正完了。撃!ー』
おお、気合いが入っとるな。
『ライオンはさすが四十センチ砲だな。水柱がデカい』
艦長は何を言っとるか。
『大和二番。近百五十近百近百近百五十、描頭二百前』
『仰角百上げ、描頭二百下げ』
『修正完了。撃!ー』
『大和二番。近遠遠近。描頭良し、夾叉』
『次より全門斉射』
『撃ー!!』
さすがに十二門斉射だと司令塔の中にいても衝撃と轟音が伝わってくる。
『大和二番。夾叉。命中無し』
『撃!ー』
『こちら大和二番。敵二番艦、大和を目標にした模様』
『命中一、艦尾』
遂に命中が出たか。
『砲術、かまわん。敵一番艦を続けて砲撃』
『撃ー!!』
『大和二番。命中二、艦尾、後部砲塔。至近弾二』
『撃!ー!!』
気合い入りまくりだな。血管大丈夫か。
『着弾左舷二百右舷五十』
夾叉に近いな。敵の練度も高いと言うことだ。だが観測機の有る無しはきついだろう。
『大和二番。命中一、艦尾』
修正はしない気か。もうちょっとだな。いや止めておこう。
『撃ー!』
ん?衝撃か。結構きついな。人生で初の砲戦で被弾だ。
「参謀長、当たらんかったか」
「そのようですが」
『左舷高角砲被弾。左舷一番二番高角砲損傷。応答無し。周辺機銃座損傷』
『左舷高角砲付近で火災発生。消火急げ』
『三番高角砲。使用不能。退避します』
司令塔の直ぐ後方では無いか。今の一発で左舷対空火力半減か。戦艦の主砲は恐ろしいな。
『大和二番。命中三、艦尾、後部砲塔、後部砲塔付近』
『敵一番艦速力低下』
いいじゃなッ ゴ~~ン!!!
「参謀長」
「司令塔に当たりましたな」
「驚いたな」
「全くです」
『司令塔に被弾。被害無し。艦首錨鎖庫付近に被弾。左舷至近弾』
『撃ー!!』
『大和二番。命中三、後部砲塔爆砕、後楼に命中、中央部に命中』
『敵一番艦更に速力低下』
『砲術、目標敵二番艦に変更。最初から全門斉射でよい』
『目標変更します。最初から全門斉射。了解』
艦長も派手に行くな。
大和もまた被弾したか。
『艦首被弾。錨鎖甲板付近に被弾。艦首損壊、錨鎖甲板から前有りません。菊の紋章消失。艦首に至近弾。波被ります。一番砲塔に被弾』
『砲術長です。一番砲塔応答無し。艦長、前部弾火薬庫注水の必要も』
『こちら一番砲塔。砲塔長。衝撃で一時全員人事不省。火災は発生していません。一番砲、二番砲俯仰不能』
『艦長、一番砲塔外します』
『分かった』
『撃ー!』
『大和二番。二番艦への射撃。近百近近近後不明、全弾近。描頭二百前』
『修正五十上げ、二百後』
『撃ー!!』
『後楼に被弾。中央上甲板被弾』
『後楼、応答無し』
『大和二番。全弾近三百。描頭百五十前』
『何だと!砲塔何やっとるか!』
『砲術、撃ち方待て。トリムが狂ってきている』
『はっ。撃ち方待て』
『応急長、艦首で浸水の可能性がある。艦首が無くなったので波も多少被る』
『応急長了解。艦首、応急、如何した』
『艦首、応答せよ』
『艦長、艦首応急要員応答無し。向かいます』
『頼む』
『後部バラスト五百トン注水』
何か大変だな。クソ、また喰らったか。
『左舷中央に被弾。左舷高角砲四番損傷。左舷二番三番高射装置損傷。周辺機銃座損傷』
『左舷火災拡大』
『消火急げ』
司令塔の計器だとトリムは取れたみたいだが。それよりも左舷対空火器全滅じゃ無いか?
『砲術、撃ち方始め』
『撃ー!!』
『大和二番。全弾近、描頭百後落』
『艦首被弾二発』
『艦長だ。応急長。応急長、応答せよ』
『艦首火災発生』
『艦長。艦首応急、応急長他戦死。負傷者多数。火災対応出来ません』
『機銃員は艦首応急へ。機銃員は艦首応急へ。急げ』
大変だな。
砲術はローリングは読めるかもしれんが。ピッチングは読みづらいからな。艦首に波が被るか。
『撃ー!!』
『大和二番。命中二、中央部に二発』
『敵艦中央部より火災発生』
『敵一番艦、行き足止まりました』
ライオンは早くこちらへ応援に来ないのか。遅い。
「島崎司令長官。まさか艦首に纏めて喰らうとは」
「何発喰らった?」
「はっ、艦首付近に直撃三。至近弾二です」
戦闘情報表示台の脇で黒板に書き込んでいた兵が答えてくれた。
「よろしい」
『ライオン夾叉』
応援に来てくれたか。
『大和二番。全弾遠百から二百。描頭良し』
『撃ち方待て』
『艦長』
『砲術、波が被って艦の揺れが酷い。速度を落とす』
『了解』
『機関、速力二十ノット』
『速力二十ノット、了解』
司令塔にると良くわからんが、艦橋トップや昼戦艦橋みたいに高い所では良くわかるだろうな。
『砲術、撃ち方始め』
『撃ー!』
『大和二番。夾叉』
『至近弾一、被弾無し』
今度は喰らわなかったか。三回に二回は被弾している。敵もやる。
『撃ー!!』
『大和二番。中央部命中一。敵艦速力低下』
いいとこに当たったみたいだな。
『大和二番。敵艦撃ちません』
『撃ー!』
『大和二番。第二砲塔に命中一。至近弾二』
『敵大火災』
『撃ー!』
『砲術、撃ち方待て』
『撃ち方待て』
『艦長』
『敵はもうダメみたいだ』
『大和二番。敵艦停止。退艦始めました』
『砲術、主砲撃ち方止め』
『主砲撃ち方止め』
敵戦艦は一番艦がライオンと大和に挟まれて多数被弾、停止後総員退艦。もう見えない
敵二番艦は大和にかなりの被害を与えてくれたが、ライオンの応援もあり機関停止で同じように退艦中。
捕獲したいが無理だろう。
艦長が纏めた大和の被害は、艦首に多数被弾、錨鎖庫から前は大破。至近弾だと思った奴はどうも水中弾か吃水ギリギリの所に命中したらしい。そのため艦首水線下に破孔。大量の浸水を招いた。トリムが狂うわけだ。前進は危険なので後退でイギリスまで戻ることになった。
左舷高角砲群は全滅。日本に帰らないと修理不能。
バイタルタートには何も異常なく、四十三センチ砲防御の神髄が出た。
戦死傷者多数。これが一番痛いな。
応急中に砲弾が飛び込んできた艦首では大勢亡くなった。
遣英艦隊の被害は大きかった。
喪失
駆逐艦 葦 菱 藤 栃 榊
大破
軽巡 北上
中破
駆逐艦 葵
戦艦 大和
小破
重巡 利根 筑摩
駆逐艦 柿
一度イギリスに戻ることになった。
イギリス海軍も相当やられたらしい。
上陸船団の追撃どころでは無い。
戦艦2隻撃沈も被害甚大。
イギリスに戻ってドック入り。大和が入れるドックはあるのか。
クイーン・エリザベスとクイーン・メリーが有るので整備用ドックはあるはず。
次回 六月二十八日 05:00予定
更新怪しいかも知れません。