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東インド大陸沖海戦 5

航空攻撃開始


数字を日本主役の時以外はアラビア数字にしてみました。

「敵編隊急速接近中、速度上げました。推定時速400キロで接近中。接触まで14分」


 時速400キロってJu86の最高速度より速いじゃ無いか。敵の方が高性能という報告はったがこれほどなのか。


「上げられる戦闘機は全部上げろ。Do/SVもだ。急げ」

「Do/SVもですか」

「元は戦闘機だ。雷撃機や爆撃機の相手は出来るだろう。やれ」

「はっ」


「一部更に増速。500キロを超えます」


 戦闘機だけか?それとも報告にあった高速艦爆が入っているのか?


「戦闘機隊には高速目標を優先させろ。間に合わない奴は遅い方だ」

「了解。指示出します」


 不味いかもしれん。空母戦隊を指揮するマンネハイム中将は思った。

 レーダーでは60機から80機の編隊が2個確認された。

 1個は戦艦へ、そして1個はこちらへ向かってくる。艦隊の上空援護にアルナヘイムの機体をこちらの上空援護はアイギスラントの機体だ。両方とも20機しかいない。Do/SVも入れて30機にもならない。


「7分前だ。燃料注入止め。今入れただけの燃料で発艦させろ」

「燃料パイプ、ガソリン抜き取り急げ。間に合わなければ洋上投棄でいい」

「甲板士官、格納庫側壁解放」


 艦長が指示している。整備長や飛行長は不満みたいだが艦を危険に晒すわけにはいかない。

 最後の3機は自力発艦していった。カタパルトを使うよりも発艦時間が早いらしい。先日のドック入りで油圧式カタパルト1基が装備されたが、雷撃機以外のベテランは自力発艦をしたがる。

 愛用の双眼鏡で見ると、どちらのだろうか、火を噴いて落ちていく機体が見えた。願わくば敵機で有って欲しい。


「マンネハイム司令。発艦完了。出せる機体は出しました。私は防空指揮に上がります」


 艦長が報告してくれた。


「ヨツン艦長、頼む」


「お任せを」






「速いぞ、こいつ」


 改良されて速度の上がったJu98を持ってしても追いつけない。なんだあの爆撃機は。


「アイギス5番抜かれた」

「3番もだ」


「3番5番は低空で進入してくる雷撃機を目標に変更、急げ」


 戦闘機隊隊長の声が聞こえる。


「「了解」」


「ヨハン。どうする」

「どうするもないだろう。シュルツ」

「いやいや、戦闘機を相手するか、突っ切って雷撃機に行くかだよ」

「さっきやったけど相当素早いぞ」

「俺は相手出来なかったんだよ。そんな素早いのか」

「俺としては戦闘機相手は不味いと思う。それに母艦を守ることが優先だ」

「だな」

「よしちょうどあそこに見える。戦闘機がこっちに向かってくるけどな」

「動力降下で敵編隊の横へ出て横から突っかける」

「それで行こう。行くぞ着いてこい」

「了解」


 3番ヨハンと5番シュルツの2機編隊は動力降下で一気に速度を上げ敵護衛戦闘機の弾幕を突破した。少し当たったが火が出てないからいい。

 斜め前上方で方向転換、横上方への位置取りに成功した。更に護衛戦闘機が向かってくる。先程すれ違った奴も切り返してくるだろう。やるしか無かった。撃ちまくりながら敵戦闘機と相対する。すれ違った。


「グ」

「ヨハン」

「無事だ」


 敵雷撃機の編隊は後部機銃が見えるが上手いこと射界から外れているようだ。撃ちまくるぞ。高度200メートルで撃ちまくりながら敵編隊を抜けた。

 やったのか?当たったのは分かった。ただ戦果確認する余裕など無い。追撃してくる敵戦闘機と海面まで100メートルではな。

 周囲を見回すが敵戦闘機はいない。残弾もほぼ無い。残弾表示器が赤だ。後10発も無い。これ以上の戦闘は無理だ。まあ敵のケツについて妨害くらいは出来るか。




 あいつはよくやっているでは無いか。ヨツン艦長は2機の雷撃機を撃墜した機体を見て思った。そいつらの目標はアイギスラントのようだった。

 さて上か。

 仰ぎ見る大空には敵急降下爆撃機が接近中だった。護衛のGA級が上げる対空砲を物ともせずに近づいてくる。

 

『艦長、レーダーです。上空の編隊分離。こちらへ20機』


「分かった」


「5時上空敵機」 

「面舵用意」

 

 一拍おいてから少し動いたか?奴らもそろそろ来るか。


「面舵一杯」

「敵急降下!」


 艦が向きを変えだしたのと奴らが突っ込んでくるのがほぼ同時に行われた。 

 速いな。Ju86の比では無い。どれだけ速いんだ。

 懸命に撃ち上げるが、艦が運動中と言うこともあり見当違いの方向に向かう火線もある。

 おお、2機落ちたぞ。


「投弾、投弾」


 1発目、左舷前方200。2発目左舷100。3発目右舷至近弾。4発目後部エレベーター前に吸い込まれた。爆炎が上がり衝撃が来て轟音が聞こえる。次いで同じように1発。

 2発喰らったか。


「応急、格納庫後部急げ」

「敵急降下4機」

「舵そのまま。機関両舷前進全速を維持」

「急降下ー」


 対空砲火が弱い。さっきのでやられたか?


「1機撃墜」

「投弾」


 1発目は外れるな。2発目と3発目か。

 1発目右舷後方200か。2発目左舷至近弾。3発目右舷至近弾。

 良かった。命中は無しだ。


「雷撃機来ます右舷8機」

「撃ちまくれ。近づけるな」


 せめて魚雷に正対させねば。舵を戻す機会を窺おう。

 至近弾のせいか、いっそう対空砲火が弱くなっている。不味いな。護衛の対空砲火と合わせて、それでも3機は撃墜した。

 5機が横へ間隔を開けて突入してくる。

 今か。


「舵戻せ。当て舵。機関そのまま」

「魚雷投下」


 ケツを見せてしまったが。横腹よりはいいと思う。5機が通過する。こちらを悔しそうに見た気がする。すれ違いざまに1機撃墜した。


「雷跡、両舷」

「針路このまま。機関そのまま」


 雷跡が左に二本、右に三本か。左の一本が近いが。敵機は見えんな。

「レーダー、敵機はどうか」

『レーダーです。去って行きます』


「左舷雷跡二本消えました」

「右舷雷跡三本消えました」


「機関前進20ノット」


 飛行甲板からの煙は収まったか。


「応急長。どうか」

『艦長、消火完了。飛行甲板後部に穴です。格納庫後部もかなりやられました。後部エレベーターが支柱破損。直撃したようです。エレベーターは上がった状態で固定。こいつは艦内作業では無理です。左舷後部5番対空砲に直撃。6番対空砲も破損。使用不能。爆風の多くが側壁の解放口から抜けた模様。敵の爆弾の威力が分かりませんが思ったよりも軽微です』

「着艦は可能か」

『穴を塞げば可能です。あと一時間下さい。』

「分かった。善処してくれ」

『了解』


 修理完了まで機体を降せないか。アイギスラントは可能なのか?

 アイギスラントは可能という返答が有ったが、機体の整理が追いつかないので時間が欲しいと言っている。


「レーダーに反応、接近中の編隊有り。敵と思われる」


 何だと。敵の第二次攻撃隊か?


「機数、40機前後の編隊が2個」


「飛行長、上空の戦闘機だが戦えるのはどのくらいだ」


「艦長、状況は良くないです。弾切れの機体が多く、燃料も切れそうな奴がいます」


「つまり迎撃は出来ないか」


「アイギスラントから上がる機体だけですね」


「そうか。君からアイギスラントの飛行長へこう言ってくれ。アイギスラントの防衛に努めよと」


「この艦は?」


「アイギスラントは無傷に近い。あちらを守りたい」


「了解しました」


「上陸船団の護衛空母はどうされますか」


「向こうも見つかっている。こちらの決着が付けば狙われるだろう。その時に取っておけと」


「分かりました」



 空母部隊は至近弾1発が損害の全てだったアイギスラントを守るべくアイギスラントを中心に輪形陣を組んだ。


 その努力は報われた。だが前回の攻撃で6隻から4隻に減った護衛の駆逐艦と至近弾と直撃弾で大幅に対空火力の落ちたアルナヘイムには自らを守る力は無かった。

 護衛駆逐艦は更に1隻沈没。1隻中破。アルナヘイムには直撃弾1発と魚雷2発が命中。当たり所が悪く傾斜が収まらなくなった。空母としての能力を失ってしまう。速力も20ノット程度しか出せなくなった。



 イギリス航空隊に攻撃された水上砲戦部隊はその数で撃ち落とそうとしたが、英日艦隊からの砲撃もあり集中できない内に航空機の接近を許し損害を出してしまった。

 上空直衛機は奮闘したものの、同じ数の戦闘機では爆撃機と雷撃機への手出しは難しかった。ファイアブランドに2機、ノッケンに3機の損害が出たが残り全機突入が成功。

 日本攻撃隊が受けたよりも分厚い対空砲火の前にファイアブランド雷撃機10機、ファイアブランド爆撃機2機、ノッケン6機の損害が出る。

 その中で駆逐艦2隻、軽巡1隻、重巡1隻、戦艦2隻に爆弾命中。

 戦艦を狙った雷撃機は集中的に狙われ投雷出来たのはわずかに8機。

 それでも3発の命中を記録した。 

 ハウスラーに2本、マルティン4世に1本である。



 航空攻撃終了後、英日艦隊の突撃が始まった。

 






戦艦同志の砲戦は次回。

損傷艦3隻でまともなのはライオン1隻。

ライオンの主砲射撃方位盤にはアレが。


次回 六月二十三日 05:00予定

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