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神の介入 

やはり自分で書いてみて前話がしっくりきませんでしたので、仕切り直しです。

最後の付け足しが助かりました。良く書いた自分。



 ランエールは怒っていた。

 人間を魔王化する事自体は、自分の世界で実行なら問題にもしないだろう。

 だが人様の世界でやるとは、信義に悖る。

 しかも、なんだあのGスレイバーとか言う奴は。神が人々を隷属化すること自体禁止事項だ。奴の作ったアイテムだ。当然抵触する。いくら使用は一回限りとしても酷すぎる。


 ランエールは魔神プレイをしている神、サイティックスの世界に行く前に様々な神々と折衝していた。

 地球が無くなったため日本にくっついてきた八百万の神々、イギリスにくっついてきたケルト神達。ファイオールの元いた世界の神。

 他にも魔神プレイを嫌う神や隷属化を嫌う神等とも折衝をしていく。


 ランエールが旅立ってから半年が過ぎた。


 その間にも、ガミチス帝国の対外戦の準備が進んでいる。

 デストラー達は日々軍備の進捗具合を聞かされている。それもウィルヘルム五世自身が自信たっぷりに聞かせるのだ。微に入り細に入り。

 デストラー達は健康を維持させるために離宮の一角に押し込まれていた。私が世界平服をするのを悔しがるが良い、それまでは死なせぬよ。と言って。

 周囲は全員、ウィルヘルム五世の奴隷と言ってもいい。逃げることは困難だった。一度逃亡を試みた空軍参謀長が手足を折られご丁寧に治療されたことが有った。

 今は動くときでは無い。もっとも動けないのだが。必ず機会がある。それを信じよう。ウィルヘルム五世が言うには偵察に出ていた潜水艦も帰ってきた。その乗り組み員は全員監禁していると。

 おかしかった。そのような末端は奴隷化するのでは無いか?それが疑問だった。

 ウィルヘルム五世は答えた。


「アレを使えたのは一回限り」と。「だがそれで十分であろう。私が帝国を支配するには十分だ。そして世界征服する。ワーハッハッハ」


 確実におかしかった。ここまで酷い判断をする人間では無かったはずだ。何故だ?疑問は残る。







 ランエールはサイティックスの世界に来ている。他の神々を伴って。


「サイティックス、神が人々を隷属化することは禁止事項だ。隷属化のための道具を人々に与えることもな。よもや忘れたとは言わせん」


「僕はやっていないよ。奴が勝手にやっただけだ」


 ジュッ 

 サイティックの耳の上で髪の毛が一瞬で蒸発する。


「誰さ、今いきなり攻撃したのは。ハゲるじゃ無いか」


「しらばっくれるな。私の世界でウィルヘルム五世が使った隷属化アイテムはお前が持たせたのだろう。そのせいで人間性まで変わってしまった」


「証拠を出して貰おうか」


「証拠はこれだ。お前一回使い切りで跡形も無く消える設定で作ったんだろうが、此奴らは目標が無くてうろついていたぞ。もちろん全部回収したがな」


 その場に黒光する薄っぺらいカサカサいって動く奴を積み上げる。都合五千万匹くらいを。


「「「「ウギャー。やめろ。そいつらをここに出すな」」」」


 さすがに全神どん引きである。まだ動いているから、そこら中に散らばっていく。神は浮き上がって回避するが此奴ら突然飛ぶのである。

 神も回避する。


「コンチキショー。停止停止。止まれこのやろー」


 カサカサが全部止まった。


「ほう?止まったね。我々の停止命令は効かなかったぞ。どういう事かな。きっちり説明して貰おうじゃ無いか」


「え?な・ん・の・こ・と・で・しょ・う」


「まだしらばっくれるかな」


「だって僕のせいじゃない」


「こいつはお前が作った物に違いないよな。出なければ停止命令を聞くわけも無い」


「えーと(まずい)」


「さあ、答えて貰おうか」


「それは・・・、さいなら~」


 突然逃げを打つサイティックス。


「甘い」


 サイティックスはアリアンロッドとプイスに回り込まれた。


「な!」

 

 向きを変えるサイティックスだが、新たな進路上では


「ドスコイ!」


 建御雷が待ち構えていた。見事な突っ張りである。


「うげ」吹き飛ばされた。


「この数の神相手に逃げ切れるわけ無いでしょうが」


 倒れたサイティックスの頭をウリウリと踏みつけるランエール。サイティックスの部下達は到底勝ち目がないので見ているだけだ。如何に神望が無いか良くわかる。


「うう、ごめんなさい」


「いやあ、全く心がこもっていないね」


 神が隷属化アイテムを使うことを酷く嫌っているササマイル神が言う。


「いいかい、人が自ら作り出して人に使う分には問題にしない。これは人の問題だからだ。もちろん余りにも酷ければ多少の介入は行う。世界を余り酷くしないためにね。これは多くの神々の指針である」


「だからアレは僕のせいじゃない。ウィルヘルム五世が勝手にやったことだ」


「うん、確かに勝手にやったことだ。だが、あのGスレイバーを作ったのは君だろう?違うかい」


 今度はササマエダ神が問う。


「そうだよ。お土産に持たせたんだ」


「どうしてそんなお土産を?」


「そりゃー、面白そうじゃ無いか。イタイ、イタイ、イタイ」


 ひときわランエールの足に力が入った。


「それで?」


「それで?って?」


「何をしたかった?」


「ほんとに面白そうだったから。イタイ、イタイ、止めてグリグリは」


「お前人々を元に戻せるんだろうな」


「え?なんで?」グリグリ

「ウギャー。痛いから止めて」


「戻せないのか」


「ウィルヘルム五世の額に制御用の宝玉がある。それを破壊すれば隷属化は解ける」


「本当だろうな」


「本当です。足どけて」


「まだだ。人々の目が赤くなったのは?体に付いた傷は?」


「普通の目に戻ります。ウィルヘルム五世自体にはとても魔王の器量はない。Gスレイバーの影響です。傷は消えません」


 グリグリグリ


「イダダダダ」


「精神的な影響は」


「それは・・・」


 グリ!グリ!


「アダダダダ」


「精神的な影響は?」


「完全には無理です」


「無理だと?」グリグリ


「痛たたた。えーと、アレです。五年から十年ほど影響が残ります」


「じゃあ、隷属化されていたときの記憶は有ると」


「有ります。なんとなくおかしかったな程度の。ただ完全に無くしてしまうと精神的におかしくなる。さすがにそれは望まない」


「ほう。何故だ?」


「だってそれやって存在を消された神がいるじゃない。僕はもっと色々面白いことをやってみたい」


 グリグリグリグリ


「イダイ、イダイ、止めて」


「ではウィルヘルム五世自体はどうなる。額の宝玉を壊した後だ」


「当然死にます」


「死ぬんだ」


「あれ、脳ミソに深々と刺さってますからショックで死にます」


「まあ奴はどうでもいい。壊した後で本当に隷属化はなくなるんだろうな」


「無くなります。ただ命令された事項は続行しようとしますけど」


 ゴリゴリゴリ


「いだだだだだ」


「奴が命令したのは世界征服だ。自分が魔王だといってな。奴がいなくなっても続行するのだな」


「はい。命令の効果が無くなるまでは」


「それが五年から十年と言う事か」


「そうです」


「ウィルヘルム五世自体には全く期待していないが、デストラーならまともな魔王になるだろう」


「え?」


「どうせお前のことだ。隷属化が解けた後で指導者になった者を隷属化した者達の意思で強制的に魔王にしようとか思っているのだろう」


「・・なんで」


「お前、管理神としてはまだ新神だな?」


「もう一万年はやっていますよ」


「たったそれっぽっちか。お前を取り囲んでいる神々は平気で数十万年やっている神々ばかりだぞ。魔神プレイから破壊神までやり尽くしているわ」


 出鱈目である。そこまでやったのは一部だ。酷い濡れ衣だと文句が出る。


「へ?」


「その程度のトラップなどやり尽くしたのだよ」


「えーと?」


「だからといってお前を許すわけではない。皆、人を隷属化しないという事は徹底していたからな。隷属化してしまえば面白くないのだぞ」


「は?禁止事項では?」


「数十億年も交代でやってきたんだ。中にはもう存在自体飽きて消えた神もいる。色々やってきてその結果だよ。禁止事項というのは」


「え~と、皆さんやったことがあると」


「この中には隷属化した事のある神々はいない・・はず?」


「少しの人数ならやった神はいるが、民族丸ごとはないな」


 ササマエダ神が言う。


「じゃあ少数なら・・」


「厳重注意くらいだっただろうな」


「僕、やり過ぎました?」


「「「うむ」」」


「は~ああ~あ」


「分かったなら、これより罰を与える」


「既にグリグリされたいますが」


「これは俺の八つ当たりだ。気にするな」


「酷」


「ふん。人の世界で好き勝手やった奴が何を言う」


「お前の罰は禁固一万五千年と、解けた後で最下級神からのやり直しだ」


「ちょっときつくないですか」


「気にするな、たった一万五千年だ。行き先は選ばせてやる。熱いとこと寒いとこ、どっちがいい?」


「熱いのにが手なんで、寒い方が」


「熱い所[希望]と」


「酷くないスカ?」


「罰だぞ、休暇じゃないんだ」


「どんな所なんでしょうか」


「どこでしたっけ?」


「ん?ああ、大丈夫。フレアは届かないから」


 ルーが答えた。


「あのー、ルーさんて太陽神ですよね。じゃあフレアというのは」


「まあその通りだよ」


「寒い所でお願いします」


「いわゆるコキュートスだな」


「ほどほどの所がいいっス」


「罰なのだよ。執行部隊はもう少したら来るからな」






「さて、皆さんありがとうございました」


「気にしなさんな。助け合いだよ。いつか世話になるかもしれん」


「その際には助力を惜しみません」


「頼むよ」

「じゃあね」




 神々は解散した。


 あとはウィルヘルム五世を潰すだけだ。デストラーは運が悪かったな。どのみち開戦はしたのだろうがこれでは不本意だろうな。

 ガミチス人達に付いた傷は治してやるか。せっかくランエールに来たのだ。そのくらいはやってやろう。ゴキに喰われた痕ではいやだろうからな。

前話を消すのもためらわれましたので、こういうお話になりました。

一応ハイファンタジーだし、いいのじゃないかなと。


次回 四月五日 05:00予定

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