ファイウォール公国に関する纏まらない考え 大英帝国の誰か編
纏まってないです。
最後の行に重大記述が。
捜索隊が東西南北と出ていったが転移後1年もしないうちに西で接触したファイウォール公国は技術水準は我が国よりも少し遅れている程度でなかなかの脅威である。
交渉の内にさほど侵略性の高い国では無いことが分かり現在国交を樹立。聞けばファイウォール公国も転移してきた国だと。
転移は我々よりも2年先輩だった。
ファイウォール公国の西にランエール固有の文明があり、余りにも違う文明に戸惑っていると。
我が国が混沌獣素材の研究を始めたのは、ファイウォール公国で聞いたからだ。通常の素材とかけ離れているという。エルフとかドワーフとか居ないかな。トールキン先生出番ですよ。
ファイウォール公国は地球で言えば旧ロシア帝国並の広さを持っている。うらやましいことだ。ほとんどは未開拓で手付かずの台地だ。
この国は公国という名前から判るように大公が国を治めていた。公国は元々一つの王国で幾つかの自治領とも言える領地に分かれていたそうな。
それが内乱になり最後のに残ったのが東のファイウォール公国と西のノートン辺境伯領であり、残りは滅びたという。やはり海に面しているところが強かったようだ。ノートン辺境伯がファイウォール大公に膝を折りファイウォール公国となったという。
人口は東の住みやすい地域に偏っている。総人口五千万人の内四千万人が東側の海岸付近に住んでいる。
大きなオーストラリアと言ったところか、旧ロシア帝国が西と東が入れ替わったというか、そんなところだ。
西海岸との連絡はろくに整備されていない道路とも言えないような道と地球で言えばユーラシラ大陸をインド航路で回り込むというとんでもない苦行だと聞く。
そのために国土支配の実効性を保つためと西に住む国民の離反を招かないよう鉄道を建設中であったという。そこで転移が起こったので鉄道は途中までで工事が中断していた。
複数の国家が出資する共同事業だったため、単独では工事が出来なくなっていた。航路自体はこの転移でかなり距離が短くなったが遠いことには間違いなく、鉄道は是非開通させたいと。
彼の国の鉄鋼生産は国民の需要を満たすような量は生産できず、輸入に頼っていたという。
そこで我が国の誇る鉄鋼産業が息を吹き返すチャンスとばかりに政府を動かし、超長期の借款という形で鉄道事業を引き受けたわけだ。他にも鉄は輸出され始めた。
だが事は簡単では無い。軌道の規格が当然だが違う。ファイウォール公国の鉄道規格は1500ミリであった。鉄道車両の幅も当然違いイギリスの標準軌車両よりも広い。
うん、頑張ってくれ鉄道省。
ファイウォール公国では鉄鉱石が余り産出されず(信じられないだろうが)70%を輸入に頼っていたという。
石炭も同じくらい輸入されていたと。
石炭産業もチャンスだった。
どうも近隣に有力な産出国があり価格も安かったため国内の探鉱を余りやっていなかったようだ。
これからは必死になってやるのだろう。
我が国もオーストラリアとカナダでの探鉱は頑張っている。
そこで問題発生。鉄鋼を輸出したくても合金の元になるクロム・モリブデン・マンガン・ニッケルなどが我が国では余り採れないのだ。もちろんオーストラリアと暖かくなってツンドラが溶け出して大変なカナダでも探鉱は続けられているが、はかばかしくない。
ファイウォール公国が有ると言ってきた。鉄と石炭は探した範囲に無かったが、それらは転移前にかなり大規模な鉱床が有り有力な輸出国だったと。だから借款は安くしてね。値切られた。
石油もあるだと?国内需要にややプラスくらいなので節約すれば供給も可能。増産のための設備増強をしているとな。分かりました。お安くしましょう。その代わり、石油も安くして下さい。
アルミ原料のボーキサイトは一切産出されないようだ。オーストラリアが笑う。
様々な交渉の末、資源の政府間バーター取引と借款という形の鉄道建設が始まった。
転移当初、石油不足から一般船舶のみならず海軍艦艇も少数の軽巡洋艦と駆逐艦以外は動かされていなかった。維持のためのボイラーも火を落とした。駆逐艦が域内活動。長距離偵察はもっぱら軽巡洋艦の仕事だった。石炭炊きの旧式船舶は別であった。
空軍も少数の哨戒機以外は飛び方を忘れないように燃費の良い練習機だけが飛んでいる状態だった。しかもひとり当たりの時間は短い。
石油は市民生活が優先された。神倉庫に有る分を使い終わったら終わりである。なんとしても見つけなければならなかった。
カナダにオイルサンドがあることは分かっているが今の技術では石油にする事はコスト的に困難だった。それに有る場所は温暖化で大地が溶け出していて地面が落ち着くまで開発もままならない。最後の手段である。
そこへファイウォール公国であった。向こうも無い物は神倉庫からケチって取り出していたようである。
同類だった。
ファイウォール公国の軍備は陸軍中心で海軍は沿岸海軍だった。これは元の世界では強大な海軍国があり無理して海軍を強くする必要は国力からも無理だったという。内陸で他国と衝突しても負けないだけの陸軍を揃えるだけで一杯だったという。
お互いの貿易関係者が顔を突き合わせて無い物探しをした。
お互いに無いかほぼ無い物
綿・絹
お茶・紅茶・コーヒー
砂糖
胡椒など香辛料各種、ただし有る物も有る
オリーブオイル
幾つかの鉱物資源
生ゴム
余っている物
羊毛
食肉・肉製品
乳製品
皮
酒
電気製品
軍用機
自動車
足りないものは神倉庫に頼るしか無いが
イギリス連邦で輸出可能な物
鉄鋼 ただし、高度な合金は合金の元はファイウォール公国から
石炭 国土が炭鉱の上に有るような物だ我が国は
各種薬品・医薬品
工作機械・工具
アルミ地金・タングステン(ただしフィラメント以外はほぼ軍事利用であり一定量以上の輸出はしないことになっている)
香辛料
ファイウォール公国から輸出できる物
石油
レアメタルの内数種類
各種薬品・医薬品
工具
穀物
香辛料
香辛料と言っても南方系の各種というわけでは無い。
オーストラリアで大規模な油田が発見され十分な供給が開始さるまでファイウォール公国の石油には大変お世話になる事になる。
砂糖についてはイギリス連邦に新しく出来た南方の島でサトウキビの栽培を始めたが、今は種を増やす段階だ。商業ベースになるまで何年かかるか。
ファイオール公国では甜菜を大々的に栽培し始めたという。
コーヒーはお互いに種は標本として持っているくらいで、栽培可能と思っていない。お茶も同じだ。商業ベースに乗るまで何十年掛かるのか。
生ゴムは東インド大陸でインドゴムノキの栽培を行っているが、パラゴムノキから採れる樹液の量と性質の違いから今までと同じ物が出来ない。
お茶は東インド大陸を探しているが見つからない。種から少しずつ増やすしか無いのか。
コーヒーも同様だ。南の多島海にも見つかっていない。
綿も同様だ。種はあるので地道に増やすしか無い。
絹は絶望的である。
そして転移後10年目の1951年、東インド大陸南端沖で遂に出会った。
時はガミチス帝国との戦いが始まってから1年が過ぎたときだ。
遂に出会います。
本文ではもう少し掛かります。
次回 3月26日 05:00予定