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山東半島 スタンピート 激突

予想外の拡大を見せるスタンピートの発生

更に新顔見参


日本軍は防衛可能なのか

 山東半島奥地で発見されたスタンピートの発生はいきなりだった。

 航空偵察では現地に混沌領域は確認されていなかった。

 開拓地から三百キロも奥地であり、地上部隊での探索は行われていない。

 二日に1回の割合で行われている哨戒飛行で発見された。

 発生場所は三ヶ所で続々と混沌獣が出てきている。

 おかしかった。

 数が異常なのだ。東鳥島での実績からして通常一千程度と言われるスタンピートの群れが三群合わせても多くて三千程度のはずだ。

 これは移住者達が持ち寄った知識からも裏付けされている。

 だが、ケンネルやオークの大きさと面積から類推された数は五千を超える。


挿絵(By みてみん)



 移住者支援部隊司令官真田少将は四式爆撃機による通常偵察に加えて百式司令部偵察機による詳細偵察を決めた。

 十回ほどの偵察結果から得られた結果はダンジョンの存在と三ヶ所のダンジョンが混沌獣を吐き出していることだった。

 多くはケンネルであったが他にもオーク、ハイシシ、グレーボア、ハイシカ、ハイキョン、グレーウルフ、ハイドック、など多数の種族で構成されている。

 写真で確認されている上位種はケンネル、オーク、モスサイだった。

 不思議なのは散開していくのでは無く柳素湾方向へと向かっていることだ。一日三十キロほどの速度で接近してきている。

 最初の発見から九十キロはこちらに近づいてきた。

 真田司令官は航空機による対地攻撃で数を減らすことを考えたが、上位種が行方不明になる可能性を指摘されてしまった。

 上位種の単独行動など悪夢である。群れの真ん中にいるから対処出来るのであった。


 急遽開拓地からスタンピートの群れまでの直線上にある平原を決戦場とし、そこで迎撃戦闘を行うことにした。

 そこは新たな開拓先候補でありブル道は出来ていたし先行して開拓用機材が少数だが置かれていたので都合が良かった。直ちに臨時野戦飛行場の設営に入らせた。


 山東半島には現在陸軍一個師団が展開している。

 移住者支援部隊は四個師団であったが、移住者支援と開拓要員で二個師団分を占めていた。戦闘能力のある部隊は二個師団だ。

 真田は二個師団全力で迎撃を決意。陸軍には万が一の取りこぼしの対応をお願いした。

 平原は開拓地から百キロ以上離れており戦車と装甲車を先行させることになった。十五榴と十加は砲兵陣地を設営し運用するとした。これも牽引で出発した。重砲はいざとなれば放棄して後退も許された。

 残りの歩兵は全員トラックで輸送となったが、台数的に間に合わない部隊もいるだろう。軽輸送車も駆り出して歩兵や物資の輸送に使う。


 スタンピートの群れが百三十キロ以上こちらに近寄ってきているが未だ勢いは衰えなかった。これも変だった。通常四十キロ以上混沌領域から離れなると急速に弱体化するはずだった。ダンジョン産混沌獣は違うのだろうか。


 これはカラン村や移住者達が持ってきた文献にも記載が無いという。南大陸のダンジョンは少なく探索も余りされていないので、こちらが知らない事例なのかもしれないと言う。

 時間的に間に合うかどうか分からないがギルガメス王国連邦の統一ギルドに問い合わせることにした。



 真田少将は緊急事態であるとして陸軍と協議。東鳥島で活動中の陸軍部隊や冒険者から精鋭を抽出に成功。またギルガメス王国連邦で活動中の陸軍部隊や冒険者からも抽出が成功した。

 ただ、最初の激突には間に合わないだろうとされている。

 


 現在決戦予定地まで六十キロと迫ったスタンピートの群れ。変化が起こっていた。偵察に行った司令部偵察機が低空飛行をしているときに迎撃を受けたのだった。高度差から届くものではなかったが、物を投げるという行為は初めてであり、驚きを持って迎えられた。

 今後はある程度の距離から一方的に射殺と言う事が出来なくなるかも知れない。これは犠牲者の増加に繋がる警戒すべき出来事であった。

 更に今まで確認されていなかった混沌獣とその上位種がいた。

 オーガである。

 上位種はモスサイよりも小さいのであるがモスサイ並みの統率力とモスサイ並のパワーがあるという。

 更に知恵が混沌獣とは思えない程有ると言う。これは通常のオーガでも同様だ。恐らく投げたのはオーガであろうとされた。

 オーガの能力だが古い個体ではケンネル上位種を上回る事例も文献では見つかった。

 では上位種はどれだけ強力なのか。


 何故発見できなかったのかと紛糾したが、中高空からの偵察写真では判別できなかったことが挙げられた。ちょっと大きいオーク程度にしか見えない。

 低空での写真撮影で明らかになったその姿は日本人が考える[鬼]に近かった。肌の色は灰色だろうが。

 

 日本軍が平原に第一陣、戦車五十両、装甲車六十両、歩兵三個連隊、砲兵一個大隊、工兵二個大隊他を展開し終わったところで、スタンピートの群れの戦端が平原に現れた。

 冒険者達の第一陣も日本軍と共にやってきている。ただここまでの規模のスタンピートは見たことが無かったらしく、どうしたらよいのかしきりに相談をしていた。


 奴らはここまで来るに更に数が増えていた。何故か知らないがここから二十キロほど離れたところに混沌領域が発見されている。そこからも混沌獣が供給されている。

 総数は七千を超えていると見られる。更に後方からダンジョンから出た奴らが続いている。どれだけいるのだろうか。


挿絵(By みてみん)


 途中で爆撃してしまえばいいとの声には「統率が取れて一直線に来てくれるのだ。わざわざ散らさなくてもいいだろう。後が面倒になる」との声が多くダンジョンからの溢れ出しが無くなるまではここで迎え撃つことになった。



 工兵はバックホーやブルドーザーを駆使して阻止線となる堀を掘っている。堀で阻止できるのはスタンピートの数的主力であるケンネルとオークくらいだが、数を減らせるのはいいことだった。

 地雷は効果が有るだろうが不発弾と残弾の問題が有った。ここは開拓地になる予定だ。

 堀の中にはガソリンを入れた薄い袋が幾つも入れてある。たまったら火を付けよう。


 四十キロほどある平原の半分程度まで進んできた奴らは人が見えた途端に雄叫び・咆哮を上げ突進してきた。



 まずは航空機による対地攻撃が始まる。後方から飛んできた一式陸爆による機銃掃射と小型爆弾による爆撃だ。これでケンネルは相当数減らすことが出来るだろう。

 砲兵はまだ打たない。せっかく向こうから素材が来てくれるのだ。大物は傷つけたくない。たいした魔石しか取れないケンネルやオークが纏まって来るようだったら出番だ。おそらくは掘は埋まるだろうから乗り越えてきた奴らを砲撃することになる。

 戦車砲の射程にはまだ入っていない。一式中戦車と九十七式中戦車の混成部隊だ。一式中戦車の七十五ミリ砲はサイモスに通用するがオーガの上位種に通用するかどうかわ辛いところが不安のタネだ。三式軽戦車もいるが装甲車と供に歩兵部隊の援護だ。


 頼りの銀級冒険者もオーガなど文献でしか見たことが無いという。

 後は切り札か。カラン村の村長とケイルラウにアビゲイルだ。ただ三人とも実戦から遠ざかっているので自信は無いと言っている。アビゲイルが時々混沌獣とやっているのだが、上位種や大型混沌獣などの強力な存在の相手を十年以上やっていないという。

 不安で一杯。



 奴らは速度に勝るハイシシやハイシカ、グレーウルフを先頭にやって来る。グレーボアもいるが数が少ない。

 普段混沌獣の相手をしているとあの毛皮欲しいなとか肉が旨いよなとか思うが、ここは殲滅の一手だ。


 奴らは堀を飛び越えてくる。阻止線を超えた。三式重機関銃が撃ち始める。気の速い歩兵は四式小銃を構えて狙撃を始めた。一式自動小銃を装備した部隊はまだだ。

 装甲車は所々に移動トーチカとして存在している。三式重機関銃を撃ちまくっている。


 次々に倒れる混沌獣だが、それを踏み越えてやって来る。遂に一式自動小銃や二式軽機関銃も撃ち始めた。一式自動小銃の七ミリ弾や二式軽機関銃の三〇三ブリティッシュでは威力不足なのだが大軍を前にこらえきれなかったのだろう。


 後方でケンネル達が堀にはまったようだ。炎が上がる。

 次々と積み上がる混沌獣の死体。それに伴い射線も上になる。

 やがて後退命令が出た。数百メートル後退して第二阻止線まで下がる。


 もう夕日になってきた。いつまで来るのだろう。






戦闘シーンは苦手ですよ

相変わらず


遂に出ました オーガ 上位種まで

どれだけ強いのでしょうか

近代兵器は通用するのか

おそらくアビゲイルで無いと対抗出来ないかな


次回 一回お休みします 書くのが間に合いません

書きかけのストックさえも尽きました


二月二十日 05:00予定



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