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東大陸 エンキドダンジョン 秋津口通路

ダンジョンですね。ちょっと風変わりにするかも。


 翌日から気を取り直し、ひたすら通路のみを進んだ。

 部屋は覗くだけで入らない。これは日本軍の四人も後続が来るまで入らないとした。

 部屋1は復活しているかどうか分からない。

 部屋2は復活していない。一日おいても復活していない。

 部屋3、4、5もまだ復活していない。


 通路を進み5の部屋を過ぎた交差点だが直線の向こうが曲がり角になっているので最初の左を意識してか皆で右が正しいと右へ曲がる。


 進んで交差点で左がすぐに突き当たりで部屋が有り6とした。次の部屋を7、8としたがその後の部屋が大部屋だった。

 この大部屋は後で冒険者も手伝うとして特部屋とした。特1である。大部屋というだけで普通の混沌獣が多い部屋なのか特別な部屋なのかは分からない。


 A通路ばかり行っても問題が有るとして、B通路を進んだ。

 B通路の混沌獣部屋がまだ復活していなかった。「これはダンジョンで違いがあるから」とはムカライの言である。

 B通路の湿原はずぶ濡れの記憶がよみがえるのだろう。日本軍の四人も後続に任せると言った。

 中には色々見えたが、1ではミズスマシカクセイが見えた。こいつの攻略は難しい。ムカライといえども苦労した。簡単な攻略法はあるらしいが、苦労しても見つけられず最後は力業だった。

 2ではヘビと蛙とナメクジが見えた。女子一同がナメクジを見た途端に逃げ出した。大物だと二メータもあるナメクジだ。不気味すぎる。

 混沌獣部屋2は進んでいたら行き止まりが混沌獣部屋だったのでやむなく交戦。

 ここでのアイテムは何故か保存袋のみだが、嬉しいことに弁当入ればかり六個が出た。


挿絵(By みてみん)


 この区画で始めの二日を入れて十日間掛かった。あの二日以外は部屋に入らずだ。広い明るい通路は歩きやすくていいのだが罠を見つけるのに時間が掛かる。その分進行も遅い。

 当然ダンジョン内で寝泊まりをするのだが、拡張袋と保存袋、消臭と滅却の魔道具のおかげでそれ程不快では無い。ただ通路でのキャンプである。かなりの緊張感はあった。

 日本軍のベッカー軍曹はさすがベテランで慣れている。「こんな快適な野営は無い」と言っている。普段は訓練で野営するのだが水とトイレが困るそうだ。どうするのか聞いたところ、水は煮沸してから濾過して飲む。トイレは穴を掘って埋める。冒険者達はげんなりした。

 隠し部屋が二部屋有り日本軍には見つけ方と入る場合の注意点を教える。隠し部屋は通常の部屋よりも高度なアイテムが出ることが多いが、内部は悪辣な場合が多いとも。

 部屋2が復活するのに四十八時間掛かることが分かった。混沌獣部屋もそうだった。他の部屋もそうだろうと考える。

 B通路を進むには必ず通過しなければいけない混沌獣部屋1。再びアイテム奪取である。今度は保存袋小{百分の一}が四個と傷ポーション{弱}が三個手に入った。もう出る混沌獣が分かっているので最初から入っていった。

 グレーボア二頭とハイシシ六頭をほぼ無傷で手に入れた。他の奴はアイテムになった。


 最初の区画の通路探索だけでギルドが決めた調査期間が終わってしまった。

 ギルドでは、エンキド口とケネディ口は一層・二層の調査が終わり解放したという。一層・二層とも草原だという。若干二層の方が広い。一層ではハイシシが最上位、二層の最上位がグレーボアと言う現在の状況だ。ケンネルもオークも出ていない。

 現在は三層へと調査の手を伸ばしている。

 ケネディ口は一層の草原で出てくる混沌獣は最大でハイシシであり、こちらもケンネルもオークも出ていないという。

 ケネディ口の草原部分は調査終了で解放された。洞窟部分は秋津口同様苦労しているようだ。


 再びダンジョンに侵入する一行。

 通路の罠は一度発動すれば二度と発動しない罠もあるが、復活する罠もある。冒険者達は日本軍に教えて見極める力を付けさせるという理由で、自らは発動させなかった。面倒だったのである。

 B通路をこれ以上奥へ行くのはいやだったので、D通路を選んだ。

 何だろうか、通路の色や明るさが微妙に違う?

 

 D通路区画の通路探索だけで二週間掛かった。行き止まりが多く、最後にはこの野郎となる面々だった。特にD9通路が酷い。

 区画というのは奥へ行けそうなD1・D2・D3通路の途中で色が変わっているためだった。

 同じ色の部分を仮称・区画とした。

 ムカライも初めてで戸惑う。


 探索中に日本軍四人の中では上因少尉に探索者系の素養が発現しそうだった。

 リーダーにはベッカー軍曹が向いているのだが、階級の問題で次点の鈴出満少尉がリーダーをやることになった。

 土尊少尉は何だろう?


挿絵(By みてみん)

灰色=入室条件不明


 ここには入室条件不明な部屋が三部屋有った。部屋の前に行っても出入り口があるのに入れない。たまに有る部屋だった。日本軍に頑張って貰おう。

 湿原3では木の渡り板があるのでサクリエスに渡って貰う。向こうに通路が見えたのだ。通路は任されている。行かない訳にはいかなかった。

 通路の向こうは怒れたことに行き止まりで隠し部屋の気配も無かったという。ただ、自分よりも上位の探索なら見つけられるかも知れないとも。

 湿原の水面からは植物が顔を出し、魚影らしき物も見えたという。


 D通路、仮称・D区画の通路探索を終え地上に出た。途中で一回地上に出て休息を取ったが、さすがに皆疲れた顔をしている。


 ギルドで報告をするとケネディ口の洞窟は一層部分が終わり、二層部分に取り掛かってていると言う。

 こちらよりも通路の罠が少ないし部屋数も少ないらしい。

 アイテムの質は変わらないという。

 このダンジョンは素晴らしい。ギルド長は言った。

 エンキド口三層は草原が二層よりも直径で倍くらい広く森林部分も有ると言う。初めて鹿系混沌獣ハイキョンが出た。ハイキョン自体は小型上位種でたいしたことは無いが、油断すると大量に増える。増え方はケンネル以上でゲズミやウザミ並の増え方をする。

 こいつら何故か好物が布であり、下級冒険者はドカンとどつき倒された後、衣類をムシャムシャやられるという。そこで満足して何故か冒険者を殺すこと無く去って行くことも多い。残されるのは半裸・半殺しの冒険者である。ゲズミ・ウザミも近くに居ることが多く囓られて死んでしまうこともある。

 生き残っても下級冒険者には新たに装備を買い直すという難問が待っている。その前に恥ずかしい姿で帰るという恥辱が待っているのだが。

 

 ギルドでそんな風に情報交換をしていると、日本軍が数人入ってきた。一人は何故がスコップを背負っている。

 それを見て四人は立ち上がり敬礼をする。答礼した数名のうち最上位と思われる男が「まあ座っていろ」と言うので、素直に座る。


「ギルド長、連絡ありがとうございます。ようやく顔を拝めました」


「いや、言われるほどでも無い。全員無事ですよ」


「ギルド長、会議室に行きますね」


「はい、どうぞ」


「では冒険者の皆さん、ギルド会議室に向かいます」


 会議室に着いた一行。四人よりも上位者がいるらしく再度敬礼している。

 応援に来た日本軍だった。


「ようこそ冒険者の皆さん。お疲れの所申し訳ないが集まって頂きました。我々は応援に来た日本軍です。私はダンジョン部隊指揮官、亜天慕楼アテンボロー少佐です」

「同じく、毘天大尉」

芸鈴具ゲーリング中尉です」

尾頭オットー中尉」

「宮田中尉」

「原田少尉です」

「砂田二曹です」

「フィリップス二曹です」

「向井三曹です」

「山田兵長です」

「ロンメル上等兵です」

「ポルシェ上等兵です」


「以上十二名が今までの四人と協力してダンジョン攻略に当たります。冒険者の皆様には引き続き護衛とご指導をお願いしたい」


「承りました」


「ありがとうございます」


「我々は到着後ギルドから様子を聞いていますが、厄介な物なのですか」


「普通のダンジョンと違う事が多くて戸惑っていますな」


「違うのですか。我々初心者には違いが分かりません。もしもこのダンジョンに慣れてしまうと他のダンジョンでは危険ですか?」


「危険ですな。今のところこのダンジョン、秋津口では中級下位の混沌獣しか出てきません。また、罠も殺しに掛かっている物ではありません。他のダンジョンでは容赦なく殺しに来る罠ばかりです」


「それはいけませんね。実は、山東半島の奥にダンジョンが見つかりました。三ヶ所です。ここで慣れてしまうと危険なのか」


「山東半島の奥で見つかったのですか」


「そうです。見つけたと言うよりも向こうから見つけて欲しかったようですが」


「どういう事ですか」


「三ヶ所ほぼ同時にスタンピートが起こりました。今、軍と冒険者が総力を挙げて撃退中です。開拓地までは三百キロほど有りますので届くことは無いでしょう」


 ホッとする冒険者達。家族が居る者も多い。


「私はそう報告を受けていますし、現地から来た人間もそう言っています」


「では我々は手伝いに行かなくても良いと言うことですね」


「そうです。えーと、ペガサス、アレを出せ。派遣された現地の人の名簿だ」


「ただ今」と言って書類を出す。


「こちらが向かった冒険者の方々です。どうぞ」


 受け取って見つめる冒険者達。その顔には安堵と共に驚きが見えた。


「え?銀級一名、八級二名、七級九名、六級八名、五級十二名、四級四十八名、三級三十四名、凄いです。それに誰「ウソみたいな名前がありますな」?え?」


「こちらをどうぞ」


 そう言って渡されたのは手紙だった。

 今見て欲しそうなので見る。


「は?帝国魔道院の教頭と「常識知らず」が出た?心配するなだと!目立ちおって」


「どう言うことですかムカライ様」


「ああ。ダンジョンのスタンピートにカラン村の主戦力も向かったそうだ」


「「「カラン村の主戦力?」」」


「君達は聞いた聞かないかの世代だな。帝国魔道院の教頭エルクは私と同等の実力の持ち主だ。「常識知らず」は戦闘力では五級だが治癒に関しては八級相当だろう。他に「銀のロウガ」は七級だ。私が最後に会ったときはもうすぐ八級とか言っていたな。あとはロウガの相棒でミカヅキが居る。六級だが実力は七級相当だろう。切り札とも言えるのがアビゲイル。帝国近衛隊だ。おまけに龍属性ときている。ただ、もう十二年も前のことだ」


「でもその人達の年齢は?」


「教頭と「常識知らず」はエルフだよ。教頭は私と同じくらいだ。「常識知らず」には聞くなよ。怖いぞ。ロウガは三十くらいだったな。ミカヅキもそのくらいだった。アビゲイルは二十そこそこだったよ」


「帝国近衛隊ですか。話には聞いたことがあります。帝国きっての精鋭だと」


「それは間違いない。集団戦力としても個人能力としてもあれ以上を集めるのは難しいだろう」


 その後も話は続いたが、疲れているのだろう。誰かがあくびをしたのを機に解散となった。

 次の侵入は三日後と決まった。

ダンジョンの区画があのサイズなのはご都合主義です。

ミズスマシカクセイとハイキョンは混沌獣のページを追加で作り後ほど載せます。

山東半島の奥にもダンジョンがあってスタンピートの発生も有りました。

久々にカラン村に登場願います。

このエンキドダンジョンは後数話で終わります。


次回 二月十一日 05:00予定

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