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東大陸 エンキドダンジョン 秋津口

旧エルラン帝国冒険者と日本軍四人がいよいよ入ります。

例によって作者ですのでと言う終わり方です。

 エンキドダンジョンのエンキド口とケネディ口は翌日早朝から再び調査に入った。今日も野営は無しの日帰りだ。

 日本軍が入るというか確保させられた秋津口から進入するメンバーは以下の面々だった。

 二チームで一クランという編成を執った。総勢一九人であり一チームには多すぎた。

 

クランリーダー

 ムカライ・フェルナンデス 銀級  通称 万能研究者


 チーム・研究者  七人 リーダー ムカライ・フェルナンデス

 ムカライ・フェルナンデス 銀級 魔法使い 多属性 エルフ

 ヘンリー・マクドォウガル 七級 重戦士      牛獣人

 ジャンニ・サクリエス   六級 探索       ネコ獣人

 ジャン・ポール・ベレナス 六級 剣士       普人族

 エマ・トンプソン     五級 魔法使い 土・水 普人族

 マイケル・サンダース   五級 盾        ドワーフ

 ロイス・マクマスター   五級 治癒       羊獣人


 付属 上因少尉、土尊少尉 推定三級相当


     

 チーム・姫  八人 リーダー マライア・エバートソン 

 マライア・エバートソン  七級 魔法使い 雷・水   キツネ獣人 

 モレノ・アルゼンティン  七級 剣士         狼獣人

 エドガー・ア・ランボー  七級 重戦士        クマ獣人

 ルイ・シモンズ      七級 盾          牛獣人

 ミラ・ルクレール     六級 探索         エルフ

 シリル・キャリー     六級 魔法使い 回復・治癒 羊獣人

 チャック・クリントン   五級 魔法使い 土・水   普人族

 マルコ・マラドーナ    五級 弓士         エルフ

 

 付属 鈴出満少尉、ベッカー軍曹 推定三級相当



 ギルガメス王国連邦の統一ギルドでは日本から冒険者がやってくると聞いていたのが、まさか自分達と同じ人種だとは思わなかった。

 大陸間での交流が無く「他に大陸が有る」という過去の勇者が記録した事以上の事は分からなかったからだ。

 冒険者証も種族固有文字こそ違っていたが、書式他共通語で書かれた事項は同じだった。日本には見せていない事項もある。他の大陸の人種と信じるしか無かった。

 入れる入れないで揉めたが、秋津口のみの出入りであるとされ認可された。

 

「臨時ギルド長、日本から来た連中の実力は大丈夫なんでしょうか?」


「あの冒険者証から見るとかなりの実力者だぞ」


「それ信じて良いのですか?」


「同じ書式だ。同じ魔道具で無いと書き込めない。過去どれだけの人数が不正をしようと無駄な努力をしてきたと思っている」


「まあそうですね。勇者ジャンヌとファウスト神に感謝でしょうか」


「四〇〇年前から変わっていない魔道具だ。とんでもないな。しかも先を見越したようにギルドの倉庫には山のようにある。シリアルナンバー付きでだ。冒険者証にもシリアルナンバーが付いている。不正な書き込みをすれば魔道具に警告が出る。インチキしようが無い」


「分かりました。確かにこちらのギルドに設置した魔道具でも読み込めましたし警告も出ません。青表示も多かったし認めるしか有りません」


挿絵(By みてみん)


 大きさは八〇ミリ✕四〇ミリ

 表面は全て表示され誰でも見ることが出来る。

 裏面は実行中依頼のみ常時表示

    成功率・賞罰・ギルド特記事項はギルド設置の魔道具でないと見えない

    ようになっている

    ただし、以下の場合は赤くなる

    成功率は三〇%以下の場合、赤字で成功率の表示

    賞罰はギルド資格停止寸前のような素行の悪さだと赤くなる

    理由までは表示されない

    ただしギルド設置魔道具なら、どこのギルドでも読む事が出来る


    又、以下の場合は青くなる

    成功率九〇%以上

    長期実行者無しの塩漬け依頼を多数受注すると賞罰欄が青くなる




「だから言ってるだろう。しかし、普人族が思ったより少ないな。それにエルフとドワーフがいる」


「エルフとドワーフが普通に冒険者しているなんて信じられません」


「我が連邦には少ないからな。特にドワーフの冒険者は珍しい」


「そうですね。カストロプ子爵領とカストロプ王国領の向こうには大勢いるんですけどね」


「おい、ここならいいが首都ギルドで言うなよ。誰が聞いているか分からん」


「はい、すみません。なんで嫌うんでしょうね」


「奴ら、自分よりも見た目が良かったり物作りの腕が良かったりするのが気に入らないらしいぞ」


「みみっちいですね」


「奴らが我こそはと言うのは大昔かららしい。それに元々エルフとドワーフは山奥の住人だからな。知っているか、ここに王国連邦成立以前に在ったという国を」


「なにか学校で教わったような気がします」


「ではこの大陸の西海岸があんな形なのは?」


「寡聞にも」


「知らないか。お前、上級職員になる時にみっちり教え込まれるからな。その時知ればいいさ」


「俺上級職員に志願してもいいのですか」


「構わんぞ。推薦が欲しければしてやろう。その迂闊さがもう少し減ればだが」


「非道いですよ」


「上級職員の責任に耐えられるかどうかだよ。今のお前では無理に思える。もう少し経験を積め」


「ありがとうございます」




 秋津少将は自分の名が冠された出入り口を睨みつけていた。どうしてだ。

 名前を消すべく頑張ってみたが、ハンマーで叩いたくらいでは掘られた字は削れなかった。小銃弾でもダメだった。

 聞いてみたら「ダンジョンの構造になっているのだろう。壊すのは無理だよ」魔法なら出来るのでは無いかと聞くと「昔、あんたみたいに自分の名前が付けられた人がいてな。魔法使いに頼んで地面が吹き飛ぶほどの大魔法でやって貰ったんだ。ダメだったらしい」夢も希望も無いな。

 これから永遠に自分の名前が付いたダンジョン口が残ると思うと憂鬱になってきた。


「秋津司令、東鳥島からの人員揃いました」


 副官の声が聞こえた。


「今行く」


 忌々しげに出入り口を見ながら。


「当地最高責任者の秋津少将だ。皆には遠路ご苦労だった。冒険者の方々もお疲れでした。後ろに見えている秋津口が日本だけに解放されています。冒険者の皆さんには内部の調査を願いします。それと我々の若い奴を鍛えてやって欲しい。内部調査は安全第一でお願いする。以上」


「リーダーのムカライだが今日はもう入ってもいいのかね」


「いいですが、時間がありませんので触りだけでしょう」


 副官が答えた。


「少しでも見ておきたい。何しろ出来たてダンジョンに入るのは初めてなのだ」


「ダンジョンの経験は?」


「数十回は有るな。だが、出来たては初めてだ」


 副官がこちらを見る。頷いてやる。


「では、余り遅くならないようお願いします」


「ありがとう。では行くよ」


 ムカライは後ろを向いて


「お前達、最後の装備の確認だ。チーム分けは頭に入っているな。チームに分かれて確認をしろ」


「「「はい」」」


「ムカライさんとおっしゃいましたな。皆の練度は如何なのでしょうか」


「秋津少将殿か。悪くは無いがいかんせんダンジョンの経験は少ない。心配しなさんな、慎重にやる。今日は少し入ってみるだけだ。一時間もすれば出てくる」


「失礼だが、帝国にはダンジョンは多かったのですか」


「少ないな。帝国より南の不毛の地には結構有ったが皆そこまでは行かない。だが、経験が積めんほどでは無い。ダンジョンはもっぱらベテラン上級者の仕事でしてな、ここにいる若いのは混沌領域がほとんどです」


「ベテランもおりますな」


「そうです。彼等には若い奴の面倒を見させる。私が全体の面倒を見る」


「お願いします。くれぐれもお気を付けて」


「任されましょう。全員怪我無しで帰ってきましょう」


 そう言ってカムランは冒険者達の方へ行った。秋津は、あの人百五十歳とか言っていたな。どう接すればいいのか分からん、と思った。



「おい、準備はいいのか」


「ムカライ様、準備は出来ております。ムカライ様は軽装ですが、よろしいのですか」


 マライアが聞く。


「大丈夫だ。この拡張袋に全部入っている」


 そう言って腰の袋を叩いた。


「二つ?ですか」


「予備は当然だろう。ほぼ同じ内容だ。こいつはダンジョンで手に入れた高級品でな、容量は一辺一〇メータだ」


「「「おお、でかい」」」


「あの、一辺一〇メータってどのくらいの大きさなんですか」


 鈴出満少尉が聞く。


「そうか日本人はまだ手に入れていないか。拡張袋の大きさは容量で示される。立方体だな。一辺は立方体の一辺だ」


「では、一〇メータ✕一〇メータ✕一〇メータなのですか」


「そうだ、これだけの大きさは滅多にないぞ」


「凄いですね」


「まあな。細かい説明は後でしてあげよう。今はダンジョンだ。行くぞ」


「「「おお」」」


 彼等はダンジョンに入っていった。秋津は敬礼で見送った。あの四人はびっくりしたように答礼する。



 秋津口の出入りは土の坂道だった。夕方より少し明るいくらいだ。


「坂じゃないか。これなら台車を持ち込めるな。でかい奴や重い奴の搬出が多少は楽だ」


「結構下るぞ。一〇メータくらい下ってないか」


「でもあそこかなり明るいよ。いよいよ内部ね」


「明るいと言うことは草原なのか?」


「皆止まれ」


 坂道が終わろうとするところでムカライが指示した。


「サクリエス、ルクレール、ちょっと見るんだ。一瞬だけだ。中が分からん。鏡は持っているな?」


「「はい」」


 二人は持ち手の付いた鏡を取り出した。鏡は日本製だった。


「よし、見ろ」


「「見ます」」


 二人は数回角度を変えて内部を鏡で見た。


「どうだ?草原だったか?」


「いえ、それが、その、レンガ風の壁が続く迷路ダンジョンです」


「なに?迷路というのか。この明るさで」


「間違いありません」


「そうか。すまんな、疑って」


「「いえ」」


「通路の幅と高さはどのくらいだった」


「五メータくらいでした。高さはすみません。確認していませんでした」


「これからは確認するようにな。五メータは広いな」


「「はい!」」


「皆聞いてくれ。私が入ったダンジョンで迷路型だと、せいぜいこの通路くらいの明るさだった。どうも通常のダンジョンとは違うようだ。事前に他のダンジョン口から入ったこの国の連中にも聞いてみたが、草原ダンジョンと草原と洞窟の融合型だったようだ。これは君達も情報収集したと思う。この入り口は迷路型だ。これから入ってみることにするが、普通よりも通路幅が広い。罠の警戒と解除に時間が掛かると思う。当初一時間の予定であったが私は三〇分で切り上げようと思うがどうだ」


「「「「異議無し」」」


「では、時計の時間を合わせるぞ。今は、一四:五〇か。今回は一五:三〇で上がる。では一四:五五分で会わせるぞ。ヨーイ・テッ」


「「「テッ」」」

  

 一行はサクリエスを先頭にゆっくりと迷路に入っていく。




迷路に入ったところで次回へ。

南大陸のダンジョンは南部に有る三〇〇〇メートル級山脈南の未開地に多めにあります。北には少ないです。地図は五十一話参照。

ギルドの魔道具はまたいずれ。ご都合主義です。


冒険者達も日本製腕時計装備です。


次回 二月一日 05:00予定

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