1.プロローグ
「いや!!…お願い殺さないで!!」
少女は叫ぶ。しかし、青年は淡々と言い放った。
「正直、あなたは何も悪い事はしていないので、僕としては殺したくは無いんですけどね?この星に増えすぎた人間の数を管理するためには、こうして何人か人間を消すしか無いんですよ。それが淘汰職の任務なのです。せめて、楽に逝けるようにしますよ!」
青年は手に持っていたナイフを少女の胸に突き刺した。
ブシャリ!!
鈍い音と鮮血が飛び散り少女は動かなくなった。
血にまみれた青年ーー宏太。彼は人間では無い。しかし、彼は一体何者なのか?宏太自身、気が付いたらこの星に生まれていて、気が付いたら淘汰職と言う使命を果たしていた。淘汰職は地球に増えすぎた人間を効率よく減らすために作られたと宏太は理解していたが、それを誰に教わったか、また淘汰の対象になる人間を誰がどのように決めているかなども全く知らない。
ただ、淘汰の使命がやってくると、頭の中に淘汰の対象となる人間と、その人間がいる位置や経歴が頭の中に浮かぶのだ。そして、それと同時に宏太の脳内は「はやく使命を果たさなければいけない」と言うある意味殺意とも取れる感情に支配される。宏太は何回かこの殺意に逆らおうとした事もあったが無理だった。それに任務を果たした時の感覚はとても気持ちよく感じられた。
宏太は今日も使命を果たすために目的地へと向かう。