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共通②のA 主人変更しない



「私は貴女の侍女でいます」


勝手にしろというなら、私はイセリーの侍女のままでいることにした。

たしかにアスライラの侍女になったほうが、弱味を握ると言う目的を達成するにはいいだろう。


アスライラは個人的に嫌いで、必ずしも奴に使える必要があるわけではない。

ウソルは王位争いには関わらないが、立場が不安定。


間をとってイセリーが丁度いい。弱味を握らなくてもイセリーを女王にすればいいだけだ。

さらに言えば、この星で男の乗り換えはよくても、友情や主従は大切に思うよう。

友情など私の知ったことではないけれど、今は友情ごっこもしかたないことだわ。


「そう……」


と何やら紙に書いている。微妙な反応だわ喜ぶか嫌そうな顔をすると思ったのに。

特に文句は言われなかったのでいいか。


私は何もすることがないので、エルゼルをと話すことにした。

喋る相手がいないのだから仕方ない。イセリーの部屋で会話をすれば、見張りも一緒にできていいもの。


そういえば、イセリーはエルゼルには猫をかぶらない。

何度かこの部屋の見張りをしているし、男だからだろうか?


猫を被る必要などこの星にはなく。女に言い寄られた男は強制的に付き合うしかない。

同じ相手を複数で好きなると勝ち取るために決闘をする。

キャットファイトのような可愛いものではなく、治癒<チイユ>星送りなど日常茶飯事らしい。

しかし私は決闘を観に行かないし、戦うことになったこともないのでしらない。


エルゼルと話そうと思ったが、何を話そう。彼は私を女神アミテルナだと知っていが、イセリーは知らないのだ。

部外者には聞かれたくない話ばかりで、何も話せないわね。


エルゼルは私が話をするのを待っている。

ただの人間なら痺れを切らすだろうが、神や天使は人間より遥かに永い刻を生きている。

感覚で言えば人間でいう1年は神の一秒ほどだ。


なにか話題はないものか、部屋を見渡してみる。時計が3時をさしており、茶の時間であると気がつく。

話が浮かばないならティータイムにすればいいじゃない。


「そろそろお茶の時間ですね」


女神だった頃は紅茶が苦手だった。邪神ティードラァが大昔になにかやらかしたので、神々は紅茶を口にしなくなったためだ。

そんな私も今ではすっかり紅茶をシバいている。


「あら今日のキャンディはチェルスィだわ」

茶色い四角いヴァタァスキャッチ味。


「私はどちらかといえばヨグソトース味がいい。……というかチェルスィよりヴァルタァス・レジナオルのほうが美味しいと思わない?」


イセリーは私に話しかける。なんだかいつになくしゃべりるわね。


「そうですね」

正直食べ比べないとわからないのでこう言っておこう。


「お前は?」

エルゼルにも問う。


「噛み砕けますし。まあ違いなんて形だけじゃないですか?」

「やっぱり、私は牛乳の国がいいわ」

「ミルク系ならチョコ入りの特濃がいい」

「梅酒<シュメウール>飴がいいです」


案外好きな飴の話でもりあがってしまった。

―――



「ねえ聞いた?」

「ええ」


エルゼルに任せて城を歩いていると、丁度メイド達の噂話が飛び交っていた。


「まさか暗殺されるなんて」


名前は伏せられたが、誰かが暗殺されたというのは間違いない。

いったいどこの星の誰が――――?


気になるし、きっと重要なことだわ。もう少し聞いていよう。


「貴族だけを狙うなんてなんだか意味深ね」

「王族は無事なのだからいいじゃない」

「貴族が減ったら、次期女王支持者が減るんじゃない?」


どうやら暗殺されたのはこの星と関係のある貴族。しかも複数の死者が出ているようだ。

つまり王位争いに絡んでくる。


どちらの支持者が狙われていて、どちらの支持者がそれをやっているのか。

単純に考えればアスライラの侍女がやっていると思う。


またはイセリーが私の見ていないときになにかやっている可能性も否定できない。

なにやら手紙を書いていたのも、暗殺の依頼のようで怪しく見えてきた。


「支持者ってバラバラなんでしょ、同時に潰し合う気なんじゃない?」

「もし城内で暗殺者に遭遇したら……久々に腕が鳴るわね」

「傭兵時代の傷さえなけりゃ、アタシも血祭りに参加したんだがねぇ」


―――家も警備を強化しないとまずいわね。母が殺されたらたぶん悲しい。

私が女神だったときの母は信仰者が下界の十字軍との戦によっていなくなって消滅してしまった。

だから母親がいたことくらいは、皮肉ではあるが人間界に来て良かったと思う。


それに母が暗殺された場合、私が公爵を継ぐことになってしまうので侍女の仕事は終わりだ。


「ハキサレーラ」

「お兄様」

「丁度今仕事が終わってね。手が空いたから探していたんだ」「そう、前から聞きたかったのだけど、司書の仕事はどんなことをするの?」

「そんなに興味深いかい?はじめは僕も格好いいと思っていたけど、読み取りや本を並べたりする程度で、わりと地味だよ」


――お兄様、手が空いてるのね。



これからどうしよう。イセリーの部屋にいくか、お兄様と強そうなメイドにイセリーの警備を頼んでエルゼルと外出するか、エルゼルにイセリーを任せたままお兄様と話しつつ花を探すか。




【イセリーの部屋に戻る】

【エルゼルと花をとりにいく】

【お兄様と話す】

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