7話 握った手の温かみ。
「どんなのが似合うかなぁ」
しずくさんの服を買いに電車に乗ってやって来た。
初めての電車に緊張するしずくさんは俺の手をギュッと握ってきて、傍から見るとマジにロリコンが子供を言いくるめて何処かへ連れて行く風体になっている…実際、お節介なオバハンに何度も声をかけられた。
「賢司さんは人気者ですか?」
首を傾げて言われると可愛いけど、人気者だから声をかけられている訳じゃないのよ。
「キャッ」
タイミング悪く電車が大きく揺れる。股間に顔を押し付ける形で抱き付くしずく。
『アカン…』
「スゴイです…こんなに揺れたのにバランスを崩さないなんて」
「あ、ああ、そっちね。って、ここで降りよう。さ、こっちだよ」
しずくさんの手を取り、とりあえずホームに降り立つ。あの視線の中、そのまま乗っているなんて事はちょっと無理です……。
すぐ後に来た電車に乗り、目的の駅までは端っこに座って大人しくしていた。
「うわぁ、人が沢山います」
「手は離さないでね。迷子になっちゃうから」
手を握るしかないジレンマ。
ここはいつも飲みに来る街なのだが、確か子供服を売る店があったと思う。モールを歩いて店を探す。




