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4話

「九番目の番号札をお持ちの方~」

「あ、俺です」

 待つこと一時間。

 ようやく受付の人から呼ばれた。

「商人ギルド本部へようこそ。どのようなご要件でしょうか?」

 俺の担当は愛想の良さそうなお姉さんだ。

「最初にこれを渡せと言われていたんですけど」


 青色の封筒。これはあの喫茶店の店長が書いてくれたものだ。

 あの後、店長はごねて泣き出しそうになった俺を見かねて出て来た。

 そして俺の事情を話したらアドバイスをしてくれた。

 店長曰く、

 金が無かった働け。

 この街で暮らすなら商売しかねぇ。


 顔は怖かったけど、意外と世話好きのいい人かも知れないな……

 座席料の三百パルは取られたけど。



「バルトさんの紹介状ですか。珍しいですね」

 あの店長はバルトと言うのか……今度お礼に行こうかな。

 俺はそろそろ本題を切り出す。

「この街で商売を始めたいんですけど……」

「登録ですね」

「えっと、多分そうです」

「商人ギルドの説明は必要ですか?」

「お願いします」

「それではご説明します」


 お姉さんの説明をまとめると、

 商人ギルドは特定の国に帰属しない。

 他の国にも支部がある。

 この区画で商いをするには、ここに登録しないといけない。

 登録料は無料。

 登録した商人は年末に儲けの四割を会費として払う。

 会費には国への税も含まれている。

 商人は儲けに応じてランク分けされる。

 ランクはバッチで見分けられる。

 最初はEランクから。色は黄色。

 大商人などはSランクに分類される。

 低ランクのうちは身の丈にあった行動を勧める。


「以上で基本的な説明を終わります」

「分かりました」

 商人ギルド、かなり良心的だな。

 特定の国に寄らない所に好感が持てる。あのジジイの息がかかってないという事だ。

 それに登録料タダ。

 文句のつけようが無い。


「こちらがギルドへ登録用紙です」

 お姉さんは後ろの棚から紙を取り出した。

「ここに名前、性別、年齢、住所、家族構成、大体の貯蓄額、商売形態、使用可能魔術を記入してください」

 かなり個人的な事まで聞くんだな。

 情報管理とか大丈夫なのか?

 日本でも流失問題とかあったし…………

「あの…………代筆しましょうか」

 なかなか書かないので文字が書けないと思われたのか。

 この世界は識字率が高くない。

 でも俺は書けるけどね。

 こっちに召喚された時から文字も分かるし言葉も話せる。

 これは召喚勇者特典だといっていた。

 召喚勇者って凄いね。もう勇者じゃないけど。

「あのぅ」

「大丈夫です。自分で書けますよ」

 俺はお姉さんから用紙とペンを受け取った。


 まずは、

『名前』木藤悠太、これは本名でいいだろう。

『性別』♂

『年齢』十七歳

『住所』不定

『家族構成』無し

『貯蓄額』0パル

『商売形態』不明

『魔術』修復魔術


 うん。我ながら酷いな。

「…………………………」

 ほら、お姉さんもぽかんとしてるし。

 この反応だと追い返されるかもしれない。

 そうなるとかなり困る。

「俺は登録できますか?」

 するとお姉さんは突然ぐわっと身を乗り出した。

 その目には決意が浮かんでいる。

 そして俺の手を握って、

「大丈夫です。私に任せてください」

 良かった。登録できそうだ。

 お姉さんも親身になってくれている。

「ありがとうございます」

「商人ギルドの受付として当然の事です」

 そんな事は無いだろう。

 隣のカウンターのおばさんとか、鼻ほじりながら応対してるし。


 腕を組んでうんうん言って何かを考えていたお姉さんが聞いてくる。

「悠太さんは修復魔術が使えるのですよね」

「ええ、一応だけど」

 本当は二度と使いたくないが、そうは言っていられない。

 今は自分よりお金の方が大切だ。

「それでしたら『魔術屋』、なんてどうでしょう」

「魔術屋?」

「はい。魔術を使って客の依頼をこなすお仕事です」

 この街にも水の魔術で洗濯屋、予知の魔術で占い屋をしている人がいるらしい。

「悠太さんだと『修復屋』ですね」

「魔術はあまり好きじゃないんですよね」

 やっぱり魔術は嫌だな。

 痛いし。


「修復魔術だと珍しいので一回の依頼で最低五万パルは稼げると思いますよ」


「『修復屋』、俺頑張ります!!」


 その後、お姉さんから登録用紙の控えと会員カード、黄色のバッチを受け取る。

 俺は黄色に輝くそれをベストに取り付けた。

「これで悠太さんも商人ギルド会員ですね」


 こうして俺の就職が決まった。


「そう言えばギルド裏に壊れた馬車がありますよ。廃棄処分する予定ですので、修復出来るのなら使って下さい」


 同時に魔術の使用も決まってしまった。

魔術については次の話になりそうです。


ヒロインまでが遠い…………

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