1話
プロット変更しました。
前のものより絶対面白くします。
お付き合い頂けたら幸いです。
「木藤悠太、お前はこの城から出ていけ」
厳粛な雰囲気の中、こんな事を俺に向かって目の前の爺さんが言った。
「無理無理無理。俺1人だと確実に死んじゃう」
「別にワシは構わんよ」
このクソ爺、人を勝手に召喚しておいてよくそんな事がいえるな。
「戦えもしなければ、ろくに働きもしないただ飯食らい。そんな奴を養う余裕はない」
俺にそんな事言われても、どうしようもない。
働きたくないものは働きたくないのだ。
「だってホラ、俺、異世界人だろ?それがこの世界で働いたら雇用が減ってしまうだろ?それを俺は危惧しているんだ」
そんな優しい俺がちょっと働かないだけで追い出されるのは間違っている。
それを語ろうとした俺を見て、ジジイはごほんと咳をして話を変えた。
「元はといえば、無能のお前が悪いのだろう」
グサリと言葉のナイフが俺に刺さる。
『修復師』それが俺の勇者として得た能力だった。
他のクラスメイト達は『聖剣の担い手』だとか、『暗黒魔道士』などと言う激レアな力を手にしたのに、俺だけが少し珍しい程度の能力。
壊れた物を直す事が『修復師』の主な役割だ。
お蔭でクラスメイトにも散々馬鹿にさせた。
「戦闘職でもない、オマケに魔道書もまともに使えん勇者などワシはいらん」
それがジジイの本音だろう。
爺さんはこっちに向けて手振る。
「いいからさっさと出ていけ。シッシッ」
まさかほんとに追い出すつもりなのか?
ここは異世界だ、生活保護なんてない。
丸腰だけは勘弁して欲しい。
だが俺は武器は扱えない。
だから、
「せめて金をくれないか?」
金が有ったら商売が出来る。
この世界の文化レベルは中世程度。
という事は、適当に石鹸か砂糖を作っておけばすぐ豪邸に住めるだろう。
やったね俺、知識チートで無双できるよ!!
現代人舐めんな!
するとジジイは胸元をまさぐって革袋を取り出す。
「しょうがないのう、ほれ」
ひょいとジジイがそれを投げてくる。
もしかして最初から用意してくれたのか……
意外と良い奴かも知れない。
俺は数歩先に落ちた革袋を拾い上げる。
えらく軽いが紐を解いて中身を確認する。
「ひい、ふう、みい」
えっ?お金三枚しか入ってないんですけど。
「何じゃ、不満か?」
「当たり前だこのクソジジイ!!300パルしか入ってないじゃねーか!!」
前言撤回。コイツはやっぱりクソだった。
この国の通過は『パル』と言い、日本円にすると1パルが1円という感じだ。
「こんなん焼き鳥3本で無くなるわっ!」
知識チートの前に野垂れ死んでいる俺が頭に浮かぶ。
そんな俺をよそにジジイは、
「よし、これで後腐れないな」
「勘弁してください。ここに置いて下さい」
こうなりゃヤケだ。
昔教えてもらったアレを使う。
成功率は約五割、俺は大きく深呼吸して集中力を高めてから放つ、
「お願いしますぅ~~お・じ・さ・まっ♪」
人差し指を立てて、口に当てる。
そしてお茶目な顔と腰のクビレも忘れない。
これこそが姉ちゃんに教えてもらった伝家の宝刀。
姉ちゃんはこれで何人もの中年男性を屠ってきたと言っていた。
案の定、ジジイは顔を真っ赤にしてハァハァしている。
ふっ、これは成功だな。
実のところ、男の俺でも使えるか不安だったげど、大丈夫なようだ。
姉ちゃんが言ってたことと違うのは、ジジイのこめかみに血管が浮き出ていることくらいだろうか。
ハァハァしているジジイが何か呟いている。
「五……目………………が命じ……」
「もっと、大きな、声で、君ならできる!!」
ブチッと何かが切れる音がしたような気がした。
もしかしなくても、ジジイは怒ってらっしゃるのか?
「五代目レオヴィル国王が命じる!コイツをつまみ出せ!!」
国王様は荒ぶっておられた。
いかがでしょうか?
次からは1話1000字位で行こうと考えています。