16話
更新遅れました。
申し訳ないです。
俺は馬車のカーテンのようになっている所から頭だけ出してレゴールと対峙した。
レゴールは金ピカの鎧に金ピカ頭の男だ。顔つきもそこそこには整っている。
「な、何なんですかあなた達は」
まずは知らない振りをする。
「無礼者ッ!!王子殿下の御前だぞッ!!」
中隊長の証である緑のマントを羽織った騎士が、俺の態度に文句を言い騒ぎ立てる。
あいつのようなチンパンは話すだけ時間の無駄だ。
無視をしたほうが良い。
「王子殿下が俺に何か御用ですか?」
俺は目線を下げて顔を合わせないようにして丁寧語で言う。
「ムッ、貴様はクロサキと一緒に召喚された勇者ではないか?」
レゴールは俺の事に気付いたか。
でも、語尾が疑問形だった。シラを切り通そう。
「さて、誰の事でしょうか」
「貴様はキドウユウタではないのか」
「違いますけど、人違いじゃないですか?」
俺は腕を出しヤレヤレとジェスチャーをする。
これでレゴールも他をあたるだろう。
「そうか、だが貴様がキドウユウタでなかったとしても関係ない。俺の女がお前といるところを見た者がいた。その事について話せ」
俺のバカアアアアアアアアァァァァッ!!
そうだよ!俺が誰だろうと関係ない。
コイツはここにロアが居ると聞いて来たんだから。
「おい、早く降りてこい」
腕組みをしてつま先で地面をガスガス抉っている。
相当怒っているようだ。
「いゃあー、申し訳ありません。少々お待ちください」
どうする、俺。
逃げ出そうか、いや無理だ。
サラノのように騎士の間をすり抜けられるとは思えない。しかもロアを抱えて。
闘うのは更に無理だ。
そうだな…………口八丁で丸め込むか。
テストの学年順位は常に一桁台で、推理ゲーをやり込んだ俺に死角は無いはず。
「レゴール様でしたっけ?あなたはどうして俺の所にいらっしゃったのですか?」
「だから言っているだろ!!女だ、お・ん・な!!」
「どのような女の子ですか?」
よし、一瞬で決まった!!
この質問には一般人なら「私が探しているのは黒髪ロングで痣だらけのつるぺた幼女です!!」なんて言える訳がない。
早く言え!言えないんだったらどっか行け!
俺は急かすような瞳をレゴールに向ける。
「俺が探しているのは黒髪ロングで痣だらけのつるぺた幼女だ」
「おうふ」
ダメだ、こいつは一般人じゃない。
王族サマだ。
一般常識が通じない事前提で話さないといけない。
「つまりレゴール様はロリコンの変態だという事ですね」
「いや、俺は美しい女なら誰でも好きだ」
「チッ」
キメ顔で最低な事をぬかすものだからついつい舌打ちをしてしまった。
「おい、貴様舌打ちしたな。よし、不敬罪で処刑する」
レゴールが青筋を浮かべて俺を指さす。
「お前達、こいつは犯罪者だ。剣を抜け」
更に騎士達が抜刀して剣呑な雰囲気になる。
がちゃがちゃ、じゃらん。
フルアーマーだから金属音が鳴る。
それを数十人が同時に行うのだから当然大音量になった。
「顔が真っ青だぞ、怖気づいたか」
「な、なななんでもねぇし」
違う、違うんですよ、レゴールさん。
あんたの騎士のせいでうちのお姫様がお目覚めなんですよ。
馬車の中にある俺の脚をロアが突っついている。
ロアは寝起きの小さな声で「ゆーた、おはよう。お腹空いた」などと言っている。
この状況は非常に宜しくない。
「レゴール様、緊急事態です。一分間お待ちを」
「遺言か、いいだろう」
俺は馬車に入ろうとしたがもう遅い。
「ゆーた。なにしてるの?」
「ちょ、ロア、出て来ちゃダメだろ」
ロアがちょっこりと馬車から顔を出してしまった。
空気が凍り付いた様な静寂。
皆ぽかんと口を開けている。
カオスだ。
「えっと。これはですね。この子は偶然迷い込んだと言いますか…………えっと」
先手必勝。弁論をしながら言い訳を考える。
「おぉ、モカ村の可憐な少女よ。やっと見つけたぞ」
感極まった声を出すレゴール。
俺の事を無視してこいつはロアに話しかける。
「さぁ、俺と一緒に王宮に来い」
レゴールはロアに向けて右手を差し出した。
次からシリアス入る予定です。




