プロローグ
はじめまして。
プロローグだけ三人称となっております。
「ユウタさーん。起きてください」
エプロン姿の少女がほうけた顔で寝ている青年――木藤悠太を揺する。
「んぁ?……あともう少し……」
「早くしないと朝ごはん冷めちゃいますよ」
そう言って少女はくるりと背を向け悠太の寝ているベットに腰掛ける。
そして印籠の押された手紙を見せながら、
「今日は依頼が来てますから――」
このままではまた小言が始まる。そうなると長いので悠太は跳ね起きて話を逸らす。
「おはよう、ロア。今日もかわいいね」
「か、かわいい……」
ぽっと顔を赤らめた少女――ロアは天井を向き頬を両手にあてている。目尻は下がって赤みを帯びた頬はふにゃんと弛んでいる。
「でも依頼が……」
もう一押しと悠太はロアを後ろから抱きしめて耳元で囁く。
「俺は幸せ者だな。こんな可愛い女の子が可愛い朝飯を作ってくれるだけでも幸せなのに、それに加えて可愛く起こしてくれるなんて。かわいい」
適当にかわいいを連呼するだけで少女はさらに顔を赤くする。その姿は数日前まで『壊れていた』とは到底思えない。
「ユータさんもかっこいいです………………って依頼、依頼が来てるんですよ」
恋する乙女から一転、依頼の事を思い出したロアは悠太に詰め寄る。
その目からはもう誤魔化されないという気概を感じさせる。
ロアがここまで一生懸命になっているのは、今日の依頼はかなり重要な仕事だからだ。
「えーそれ受けなきゃ駄目か?」
「ダメですっ!!」
ロアは手でバッテンをつくって見せる。
「はぁー、しゃーないか」
今日は誤魔化せないと観念した悠太はとぼとぼロアの後を付いてリビングへ向かった。
「そう言えば今日の依頼はどんなのなんだ?」
「今日の依頼は゛聖剣の修復゛ですっ」
更新は最低週2回はしようと思います。
私のモチベーションしだいです。
優しい言葉で作者は膨らみます。