第一章 一話 出逢い
「なんでボクだけこんないなかにこなくちゃダメなの?かあさまやねえさまとやしきにいたいっていったのに。こんなとこにいてもぜんぜんたのしくない!!」
質素な教会の一室。ぷくっと頬を膨らませ如何にも不機嫌な顔を隠す積もりの無い顔の男の子。髪の色は淡い金髪。晴天の空をイメージさせる天河石の瞳。顔の作りも幼いながら整った顔立ち。将来女性にモテる事間違いなしだが、周りに甘やかされ少々我ががまになってしまった為か生意気そうな表情が少し残念な子供になってしまっている。しかし、彼が不機嫌な理由は昨日朝一いきなり父に
『此れから出掛けるのだがお前も来い』
と、母から離され、馬車に揺られる事一日今朝この教会に着いたのだ。子供にとってはさぞつまらなかっただろう。
子供の名は東のリーン大陸三国の一つ大国シュナンの王弟ダリオン大公の次男ショーン・ウィル・ドウナ・ダリオン。
対し、小さな主の怒りを鎮める事が出来ず困りきっている乳母と従者。と、そこえ30才ほどの男性が軽いノックをしながら入ってき、室内の気配から使用人と小さな少年のいさかいの原因を察し少年の前、目線を会わせ、
「未だ不貞腐れているのか?かあ様は今お前の弟か妹が生まれる大事な時期で、ねえ様は学園に行かねばならぬ。お前は今まで都の外を出た事が無いだろう?今後更に国の外へ出る機会も出て来る。これはお前の為でも有るのだぞ?」
そう話す男は子供より少し濃い金髪に青というより翠が少し濃いトルコ石の瞳。彼が未来成長したら?と想像させる容姿。それもその筈、男はショーンの実の父親なのだから似ているのも当たり前だ。
「でも… 」
「でもも無い。 それにお前に会わせたい人物も入るしな」
「あわせたいひとって?ライアンでんかみたいにいじわるじゃないひと?」
「ライアン殿下は素直でないだけで本当は優しい人物だぞ」
クスッと笑いながら父親リアン・ベンジャミン・ドウナ・ダリオンは立ち上がり移動し、窓を開け放なちながら言う。
「それに都と違いとても素晴らしい景色じゃないか。向こうではあんなに広い湖も咲き誇る花ばなの丘もない。とても美しい景色だろう?」
「…でも、ひとりじゃなにもできないし…」
「其なら大丈夫だ。お前が暇をもて余していると思い遊び相手を連れて来た。」
此処で入口に目線をやり、
「入りなさい」
と一言。すると一人の少年よりも幾らか年上の巫女見習いの服を着た少女が入ってき、
「初めましてショーン様。あなた様のお相手をさせて頂きます、私グレースと申します。しばらくの間宜しくお願い致します」
透き通った紫水晶の瞳。プラチナブロンドだ毛先が金髪掛かった珍しい髪の小さな百合の様な可憐な少女に思わずショーンは暫くの間固まり見惚れていた。
因みに長男は実家を出て只今寮生活中です。