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君恋う  作者: 氷室 愁
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5.切り株

訪問有り難う御座います!


[寒い……]

肌を刺す寒さにぶるりと震える。温泉に浸かることで、内側から暖まった筈なのに、既に体は寒さに悲鳴を上げている。もともと準備していた外套のお陰で、凍えずにすんではいるがそれでももっと寒さ対策をしていればよかったと後悔した。年中暖かい硫を出ると、すぐそこの森はもう冬が来ていて、雪が積もっているのだ。硫にいると季節感が狂ってしまうのが困る。

[そういえば、もう12月だっけ]

空気はとても冷たく、鼻の頭がすぐに赤くなった。

[森へ来るのも大変になるな……。早くこの髪留めを渡したいのに]

道は雪で滑りやすくなっていて、登るのに恐ろしく時間がかかった。

[は〜……。やっぱり今日もいないか]


あの日の切り株周辺の雪には、今し方愛羅がつけた足跡しか残っていない。

[綾の配置した兵士に見つからないようにするのは、大変なんだからな]

会えない憤りをどこへぶつけようかと、辺りを見回し、愛羅は思い切り近くの木を蹴りつけた。そして木に雪が積もっているのは当たり前のことで、そんなものを蹴りつけると――

[うわっ]

大量の雪が降ってくるのも当たり前で、こんな足場が悪い中で確認もせずに動いたら――

[え、ちょ、嘘]

足場が崩れて滑り落ちることもあるだろう。

[ひぃやぁ〜!]

そのまま真っ直ぐの道を転がり下りて行く。途中に何かあればいいが、何もない雪道は、そのまま愛羅を廉国へと運んで行った。硫の敵国、廉へと。


有り難う御座いました

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