第九話 歴史の管理者
東京・渋谷。
空は裂けたままだった。
その奥に浮かぶ巨大文明。
そして世界中で始まった戦争。
ナポレオン軍。
チンギス・カン軍。
始皇帝軍。
すべてが日本へ向かっている。
龍馬が呟く。
坂本龍馬
「これ、詰んでるぜよ」
秀吉も冷静に言う。
豊臣秀吉
「普通なら終わりですな」
だが
信長は笑った。
織田信長
「だから面白い」
その時だった。
主人公・湊の体が光る。
ドクン……
心臓の音が響く。
世界が一瞬、静止した。
信長が気づく。
「……来るか」
湊の視界が変わる。
世界が線で見える。
時間が遅くなる。
歴史人物たちの存在が
すべて“データ”のように見えた。
声が響く。
「管理者権限」
「最終段階へ移行」
湊が苦しむ。
「うあああああ!!」
その瞬間。
空間が完全に止まった。
炎も。
雷も。
風も。
すべて。
止まる。
動けるのは
ただ一人。
主人公だけ。
湊は呟く。
「……何だこれ」
背後から声がする。
「思い出せ」
振り向く。
そこにいたのは
白い光の存在。
人ではない。
それが言う。
「お前は」
「歴史を管理する者」
湊は首を振る。
「違う」
「俺はただの人間だ」
光が答える。
「違う」
「人間が歴史を作る」
「だからお前が管理者だ」
その瞬間。
記憶が流れ込む。
戦国時代。
古代ローマ。
モンゴル帝国。
すべての歴史。
すべての戦争。
すべての死。
湊が叫ぶ。
「やめろ!!」
だが止まらない。
光が言う。
「選べ」
「歴史を続けるか」
「終わらせるか」
沈黙。
そして
時間が動き出す。
ドォォォォォン!!
世界が再び動く。
信長が笑った。
「どうした」
湊は顔を上げる。
その目が変わっていた。
静かで。
冷たい。
そして
すべてを見通す目。
龍馬が驚く。
「なんじゃそれ」
秀吉が呟く。
「完成した……」
湊は手を上げた。
「召喚」
だが
今までとは違う。
空が割れる。
何十。
何百。
無数の裂け目。
そこから現れる影。
戦国武将。
世界の英雄。
すべて。
同時に現れる。
信長が笑う。
「ははは!」
「それでこそよ!」
その時。
空の文明が反応した。
「異常確認」
「管理者覚醒」
「危険度:最大」
巨大構造物が光る。
そして
新たな存在が降りてくる。
それは
歴史人物ではない。
完全な異形。
神のような存在。
信長の炎が揺れる。
「……ほう」
湊はそれを見て言う。
「敵か」
その存在が答える。
「違う」
「監視者だ」
その瞬間。
世界中の歴史人物が止まる。
ナポレオンも。
チンギス・カンも。
始皇帝も。
すべて。
監視者が言う。
「管理者」
「最終試験を開始する」
湊は静かに答えた。
「いいよ」
その背後に
無数の歴史人物が並ぶ。
信長が笑う。
「天下分け目よ」
そして
世界が息を呑む。
最終戦争
が始まろうとしていた。
その時。
湊の頭に
最後の名前が表示される。
それを見て
湊は初めて
表情を崩した。
「……まじかよ」
その名前は
まだ明かされない。
だがそれは
歴史を超えた存在。
世界は
次の段階へ進む。




