「SANAE TOKEN」騒動は「太古のスキーム」が使われていた!
◇事の経緯
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は「SANAE TOKEN」について個人的な意見を述べていきます。
まず、どのような事件なのかよく分かっておられない方もいらっしゃると思うので、
簡単に概略を説明しますと、
「SANAE TOKEN」というミームコインは実業者・溝口勇児氏率いるNo Border DAOが26年2月25日にローンチし、YouTube番組「No Border」の公式Xアカウントを通じ発行を発表しました。
翌26日に溝口氏は「実は高市さんサイドとはコミュニケーションを取らせていただいてて」と発言し、安倍政権時代に内閣官房参与だった京都大学大学院教授の藤井聡氏もこの仮想通貨を支持したことから最大で価値が30倍にも跳ね上がったそうです。
しかし、26年3月2日に高市首相側がこのミームコインを公認していないと明確に否定し、
藤井聡氏も3月2日に
「トークンについては、当方はその発行・供給・販売に関与しておりませんが、アプリ内での活動(意見投稿など)に応じて付与されるデジタル資産との説明を受け、その趣旨に沿った発言をして参りました。
しかし、実際にはアプリ内活動とは独立して発行され、発行時点で大量に外部市場へ供給されていたことについては、事後的に認識いたしました」
「名称に関しては、プロジェクト関係者に確認の上で協力をいたしましたが、高市総理ご本人が本トークンを承認されているとの説明を受けた事実はございません」
と、信頼を事実上担保していたはずの藤井氏すらも「梯子外し」を行い、信頼は失墜。
さらに26年3月3日には金融庁が運営会社の株式会社neuを暗号資産交換業者に登録していない事を発表しました。
このようにこの仮想通貨の価格は3月2日を皮切りに一気に暴落したそうです。
これを受けて溝口氏は3月4日に今後の対応策について、トークンホルダーへの補償、SANAE TOKENの名称変更およびプロジェクトの抜本的な見直し、有識者による検証委員会の設置及び再発防止策の構築、そして金融庁などの当局から要請があった場合は「真摯かつ全面的に協力し、誠実に対応してまいります」としました。
※本来ミームコインと呼ばれる仮想通貨は、本人と関係ないことが多く信頼担保が難しいために藤井氏の影響は非常に大きかったものと思われます。
質問者:
酷いですね……。ほとんど詐欺じゃないですか……。
藤井教授は「無償ボランティア」とのことのようですが、仮にそうだとしても信頼性を大きく補強したのは間違いないでしょうからね……。
筆者:
ちなみに、高市首相が公認していないことや暗号資産交換業者として登録されていないことが焦点に当てられていますけど、
仮にこれが高市首相が公認していたとしたら、それはそれで問題なんですよ。
政治家(しかも首相)が値上がりや値下がりの激しい特定の仮想通貨を公認・推奨することは、極めて高い利益相反のリスクを伴い、公正取引法違反などに該当する可能性があります。
質問者:
なるほど……。でもアメリカでは「トランプコイン」といったものが本人公認で発行されているんですけど、アメリカでは大丈夫なんですか?
筆者:
「トランプコイン」倫理的には疑問視される声は大きいですが、スーパーPAC(特別政治活動委員会)等からは認められているために合法ではあるみたいです。
アメリカでは大統領選挙で使われるお金のケタが1兆円単位と別次元なので、寄付する側も無制限に可能になっています。
規制したところであらゆる形で寄付に近いことはされてしまうので、ある意味開き直ったシステムだと言えますね。
◇今回も結局「焼き直し」システムであるということ
質問者:
今回の詐欺的手法はいわゆる分散型ネットワーク「Web3」を活用した最先端の手法を使っていて高度でしたね……。
筆者:
僕はそうは思いませんでしたけどね。
確かに使われた技術は最先端のものですが、やっている「スキームそのもの」は昔からありましたよ。
「有名人のステマ事件」ということで2012年の「ペニーオークション」などが有名ですが、これも有名人の知名度で期待感を煽るコミュニティ型のマーケティングでしたが、実情は砂上の楼閣でした。
今回の溝口氏や藤井氏が悪意があって行ったかは分かりませんけど、事実として起きたことは「有名人がブランドを作った」ことからこれに近いことと言って良いでしょうね。
つまり、スキームそのものとしては前々からあったものの延長線上に過ぎないのです。
質問者:
仮に溝口さんや藤井教授が悪意が無い場合は誰が真犯人なんでしょうか?
筆者:
こればかりは内部に精通していないので分かりませんけど、今回のトークンは約7割以上を運営が売ることができる設計だそうなので、
通貨運営会社側に「黒幕」に近いポジションがいる可能性が高いでしょうね。
◇「仮想通貨以外」は評価できる方々だった
質問者:
藤井聡教授と言えば筆者さんが何度か取り上げてきたような「積極財政派」の論客としても有名でしたよね……。
筆者:
これは非常に残念なことだと思います。
もっと言うのなら溝口氏の「NoBorder」チャンネルも見ていましたね。
どんなチャンネルなのかざっと解説させてもらいますと、外国人問題や財務省の問題など僕が取り上げるような論点について賛成派と反対派を双方のネットを中心に活躍している論客を招待して議論させていたので、色々な視点で話を聞くことができたのでそれなりに有意義なコンテンツと言ってよかったです。
世の中ではどちらかに偏った方が永遠と述べ続けて反論の余地が無いようなコンテンツばかりですからね。
質問者:
なんと! そうだったんですか……。
しかし、この件できちんと補償がされなければまず信頼回復できないでしょうね……。
筆者:
今後の動向次第によってはテレビだけでなくネットなどのあらゆるコンテンツから排除されても不思議ではないでしょうね。
「藤井教授の積極財政はいけない!」「ネットの発信は全てデマ!」みたいなことに繋がりかねない状況でもあるので、ネット発信者で似たようなことを述べている僕たちの権威を下げてしまったいみでも損害としては大きいですね。
世の中は「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」みたいな発想も多くあると思うので、著名な発信者は自らのポカは周りも巻き込むという事を意識して活動して欲しいところですね。
そして、是々非々で個別に物事を分析する視点も大事だと思います。
◇「スキーム」に引っかからないためには?
質問者:
確かに社会的責任は大きいですね……。
損害補償などは現実的には難しいですからやはりこういうところには騙されないことが大事になりそうですね……。
筆者:
やはりこれまで成功してきた方、著名な方だったとしても「未来がどうであるか?」とは全く関係が無いという事です。
今回の仮想通貨でも懸念点を持っている方々はいたようなので、そういった情報を入手することが大事だと思います。
また、欲に駆りたてられて「何倍にもなる」「配当率が10%」と言った過度に利率が高い儲け話に飛びついてしまう前に一度立ち止まって考えるべきです。
やはり頑張って稼いだお金をどこにどう使うのか慎重に考えるべきだと思います。
基本的には投資は地味で長期的で淡々とやるのでつまらないと思われるかもしれないのですが、そう言った地道な積み重ねが大きな差を生んでいくんです。
投資する商品は勿論NISAなどで認められた、信頼と実績がある指数などのインデックス投資に限られると思います。
質問者:
欲望に憑りつかれることなく「本質を見極める目」が大事なんですね……。
筆者:
今の世の中では「搾取される側」にならないためにリテラシーを養わないと一発で大損しかねないと思いますね。
何事もコツコツとやっていくことが大事だと思いますね。




