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少年と過去の記憶  作者: ラウド


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1/1

大人になった僕の過去の記憶

手に取って頂きありがとうございます!

今でも夢に見る過去の記憶。それはまるでおとぎ話のようで、誰かに話したとしても鼻で笑われるであろうそんな記憶。それでも確かに私は体験したのだ。そんなおとぎ話のような経験を。

今から数十年も前になるだろう。少年、太郎は、夏休みのある日、家族と共に街灯の明かりも届かず、青々と生い茂る木々の音や虫の声に包まれた森の中にあるキャンプ場を訪れていた。

当時まだ小学生であった太郎は、いつもとは違う景色に目を輝かせていた。

「さて、準備を始めようか」と父が言うも、この景色に圧倒されていた太郎はどこか上の空だった。そんな息子の姿を見た両親は、笑みを浮かべながらも軽く注意を促した。

そこからはゆったりとした時間が流れた。太郎は、普段とは違う環境で家族と共にとても楽しい時を過ごした。両親も普段の雑音鳴り響く町から離れ、家族のみでゆっくりと過ごすこの時間をとても楽しんでいた。

それから時は流れ食事を終えた太郎たちは、灯りとなる物が焚き火しかないこの場所で星を眺めていた。夏の大三角や天の川をはじめとして、普段は見れない星々が爛々と輝いている光景はまさに圧巻で、少し伸ばせば、星々に手が届くようだった。

「さて、そろそろ寝ようか」そんな父の声をきっかけに太郎たちは持ってきていたテントの中に入り太郎を中心に川の字になる様に就寝を始めた。

夜も更けてきたある頃、太郎は物音で目を覚ました。まだ半目びらきの状態の目を擦りながらも太郎は音の正体が気になりテントの外に出て行った。

音は森の中から聞こえる。太郎は音の元へと少しずつ近づいて行った。

外は暗い闇に包まれていた。焚き火の火はとうに消えていて月と星の明かりだけが頼りだった。

森の中は更に暗かった。月や星の明かりが届かず足元でさえもまともに見えなかった。それでも太郎は音の元へと進んでいく。

順調そうに進んでいた太郎だったが、まだ小学生。次第に体力の限界に近づいて行った。

ついに限界に達した太郎はその場で座り込んでしまった。

「どうして親に言わなかったんだろう」「ここから帰れるのだろうか」太郎の頭の中は不安でいっぱいになり、ついには泣き出してしまった。

そんな時だった。太郎は淡い光を放つ、それは大きな、大きなシカに出会ったのだ。


シカは泣いている太郎の頬を舐めはじめた。はじめは、とても大きなシカのこの行動に太郎は更に激しく泣き出した。しかしシカが放つ淡い光のおかげか次第に、太郎の心は温かな気持ちで埋め尽くされていった。

気づいた頃には、涙は止まっていた。

その様子を見てなのか、シカは太郎の前でしゃがみだした。その姿は主人が乗るのを待つ馬の様だった。恐る恐る太郎は、シカに跨った。

太郎が跨ったのを確認したシカは、森の奥へと進んでいった。

かなりの時間シカの背で揺られてついた先にはシカと同じ様に淡い光を放つ普通よりもかなり大きい動物たちが沢山いた。

太郎は、辺りを見回した。あたりには赤く大きな花や、老いてもなおその生命力を感じさせる大きな木など数多くの植物たちが、力強く、色鮮やかに存在していた。中には、人の鼻の様な形をした植物や、言葉を話す花など、普通ではあり得ない物もあった。

その光景はまるで小説やおとぎ話に出てくる魔法の森の様だった。

この光景を前に太郎は、「これは、泣き疲れて眠ってしまった僕が見ている夢なのだろう」と思った。

しかし、シカに舐められ濡れている頬が、歩き疲れ体力の残っていないこの体がこの光景は夢ではなく、現実だと太郎に伝えていた。

ふと、太郎は気づいた。周りにいた動物達が太郎に対して、いや、太郎が跨っているシカに対して頭を下げている事に。

太郎は瞬時に理解した。自分が跨っているこのシカが動物達の主人であるのだと。太郎が跨っているシカ学生放つ淡い光は、他の動物達が放つそれに比べても一段と大きかった。きっとこの光が主人の証なのだろう。

シカは辺りを見回し満足そうに頷くと太郎を自分の背から下ろした。

それから、太郎は動物達と遊んだり、魔法の森の中を探検したりなど、楽しい時間を過ごした。

魔法の森の探検中に動物達が襲ってくるなどのハプニングもあったが太郎と共にいたシカの姿を見るとすぐに森の中に消えて行った。

どれほどの時間がたったのだろうか。疲れ果てた太郎はシカに背を預け眠っていた。首には仲良くなった動物達から貰った自然のものでできているネックレスを下げて。

「太郎、そろそろ起きなさい」そんな母の声で太郎は目を覚ました。

目を覚ました太郎はテントの外に出て辺りを見渡す。そこに動物達の姿はなかった。

やはり昨日の光景は夢だったのだろうか?

そんな事を考えていると「あんた、そのネックレスどうしたの?」と母から言われる。

慌てて胸元を触ってみると、そこには確かに昨日、動物達から貰ったネックレスがあった。

「いいわね、そのネックレス」と母が言う。

それに対し僕は、「うん!これは一生の宝物!」

と答えた。


「随分と懐かしい夢を見たものだ」ベットの上で目覚めた私はそう呟いた。

あれから数十年が経ち大人になった私はいつも通り会社に向かうため家を出る。

私の胸元には、あの日貰ったネックレスが今でも輝いていた。

初投稿になります。

まだ学生の身ですので投稿がかなり遅くなると思いますが投稿した作品は完結させますのでぜひご愛読のほどよろしくお願いします。

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