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なんか、転生した。  作者: moto
妖精の国
9/20

9.突然の、呼び出し②

「なんだろう。リリー、なんか心当たりある?」


「魔道の書を盗んだことかなー。」


そうだった。これは盗んだものだった。もう2年もたっていたので、ばれていないものだと思っていた。


「でもそうしたら、わたしも呼ばれるんじゃない?」


「とりあえず行ってくるよ。」


リリーが緊張した面持ちで、妖精女王様の使いの後に続くのを見送る。


思えば久しぶりにリリーと離れたかもしれない。というか、始めてリリーと離れたかもしれない。生まれてからこの方、片時も離れずリリーと一緒にいた。


ぼーっとしているのも何なので、魔法の練習を再開しようとすると、後ろから声をかけられた。


「あの........。」


黄緑色のショートボブをした妖精だ。話したことはない。妖精は一人で日向ぼっこをしているのが普通で、特別なことがない限り基本的に互いにコミュニケーションをとったりすることは珍しい。いつもわたしたちの会話以外は、さわさわと自然の音がするだけだ。なぜそんなところでわたしとリリーがよく話すようになったのかというと、リリーも妖精の中では少し変わった部類で、生まれてすぐのわたしにすぐ話しかけに来たので仲良くなった。ほかの妖精に今まで声をかけられたことは一度もない。


緑の妖精は何かを話したげにおどおどしているが、なかなか続きの言葉が出てこない。


「どうしたの?」


「えっと、あの、今何してるの?」


何をしているかというと、魔法の練習だ。もしかしてこの妖精は魔法に興味があるのだろうか。


「魔法だよ。」


先ほどリリーに見せた水のチューリップを作ってみる。2度目もやっぱり失敗してしまった。


「すごい!どうやってやってるの!?」


緑の妖精はおどおどする様子から一変して、目をキラキラさせながら前のめりに聞いてくる。少しうれしい。


「えっと、まず身体の中の........」


ふんふんとうなずきながら真剣に聞いてくれる。


「わたしにもできる?」


「もちろん。魔力は絶対誰でも持ってるんだって。まずは属性判定して、自分に合った魔法の種類を調べるの。」


魔導書のページを一番初めの属性判定のページに戻す。


「試してみる?」


「うん!」


わたしは一度やったことのある工程だったので、属性判定はスムーズにすることができた。緑の妖精は風属性だった。属性がわかってもリリーのようにすぐ使える様子はない。やはり、リリーが特別だったようだ。


「魔力を感じるって難しい........。」


「わたしは感じるまでに2年もかかっちゃった。わたしは無属性だから特別遅かっただけで、あなたはもうちょっとかかるかもね。あ、そういえばあなたの名前ってなんていうの?」


「わたしの名前はないよ?妖精の中では名前持ってるほうが珍しいもん。妖精女王様のお付きの子とあなたがいつも一緒にいる子だけ。あなたも名前ないでしょ?」


そうだった。


「リリーやそのお付きの子はなんで名前を持ってるの?」


「さあ?妖精女王様が名付けてるんだけど、詳しいことは知らない。」


「ふーん、じゃああなたのことリンって呼んでもいい?」


リンは少しびっくりするような顔をしたが、うれしそうに


「ありがとう。自分の名前をもらうって変な感じだね。」


と言った。


「わたしのことはナナって呼んで。あ、リリーが帰ってきた。」


「じゃあ、今度また魔法教えてね。」


リンは自分の花に戻っていく。


「誰?」


「今ちょっと仲良くなったの。リリーのほうはどうだった?やっぱり魔道の書のことで怒られたの?」


「ううん。それが........」

ナナは前世の名前ななみです。

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