13.透明な、結界
結界は近づくにつれて認識しずらくなっていき、完全にどこにあるのか分からなくなった。でも、どこかで結界にぶつかってはじかれるのだろうと思っていた。
歩いているとぼわんと何かをすり抜けたような違和感を感じた。本当に小さな違和感で首をかしげる。
「今何か........」
と言おうとしたところで、みんなが少し後ろのところで立ち止まっているのが見えた。一様に驚いたような顔をしている。
「ナナ、そこは結界の外だよ。」
リンに指摘されて、初めて気づく。確かに、みんながいるあちら側とこちら側で生息している植物の種類がまるっきり違っている。
「え、なんでナナは結界の外に行けるの?」
ベラが驚いたように口にする。みんなは結界にはじかれてそこから先には行けないため、立ち止まっているらしい。
わたしは少し焦って植物の種類の分かれ目にそっと手を伸ばしてみる。
すると、行きと同じように何かを通過した、と少し感じるだけで何の問題もなく結界の中に入ることができた。帰りも問題なく結界を通れるらしい。
「え、どういうこと?」
みんなで顔を見合わせる。
「えー、いいなー。わたしも結界の外に行きたい。」
というのはお調子者のマリ。
「え、でも、外は危険がいっぱいなんだよ?」
というのは少し臆病者のレイ。
「でも実際どういうことなんだろう?」
と、疑問を呈するのはリン。
「わたしたちとナナの違いは何?んー、年齢?羽?魔法の属性?結界だから、魔力関係の何かかな........。」
ぶつぶつと、リンの考察タイムが始まる。
「一回、わたしと手をつないで結界を通ってみてくれない?」
「いいけど........なぜに?」
「たぶんだけど、結界を通れる原因は魔力の性質か何かじゃないかなって思って。それだったら、魔力って体の外側に常に薄い膜を張ってるから、あ、でも、わたしたちの周りにもわたしたちの魔力の膜があるから意味ない?成功する確率はかなり低い........?」
「レイ、なんでそんなこと知ってるの!?」
「マリ、魔道の書を飛ばし読みしてるでしょ。魔道の書にしっかり書いてあったよ。」
あきれ替えでベラが言う。
「チャントシッカリシッカリヨンデルヨ?」
「絶対読んでない。後でそこの部分一緒に復習するよ。」
「えー、そんなことより、早くレイの言ったとおりに結界に通れるか試してみよ。わたし、試してみたい。」
せかせかとマリがわたしの腕に絡みつく。
「もー、またごまかす........。」
ベラが、わたしからも何とか言ってくれと言わんばかりに見てくるが、マリも私の味方をして、と目で訴えかけてくる。こういう時のこの二人にはノータッチが一番だ。
わたしとマリが同時に結界に一歩踏み出す。
すると、何の障害もなくあっさりと、二人とも通り抜けられてしまった。
妖精女王様の結界は害のあるものの侵入を防ぐといったものではなく、外の世界とのあらゆる接点を断つという種類のものなので、妖精の国は空の色は同じといえど、一種の異世界です。




