11.大きな、変化
リリーは一日の大半を神樹で過ごすようになった。それに比例してわたしがリリーと一緒にいる時間は少なくなった。リリーがいないとき、わたしはリンと魔法の練習をしていた。
わたしとリンが一緒に魔法の練習をするようになってからしばらくすると、また別の妖精が話しかけてきた。だんだんとたくさんの妖精がわたしたちに興味を持つようになり、いつの間にかみんなで魔法の練習をするようになっていた。ただし、魔道の書は一冊しかないため、それぞれの属性のグループ間で書を回し読むという形になり、魔法を学ぶ効率は悪くなった。だけど、昔のように静まり返った妖精の国の姿はなく、花と花の間から、葉と葉の間から、妖精たちの笑いと笑顔が絶えない国になった。
◇◇◇◇
数百年後。数いる妖精たちの中から属性魔法の上級をおさめるものも出てきて、固有魔法の習得に挑戦し始める者もいた。そんな中で、わたしはやっと中級魔法を覚えたところで、最近は妖精たちとのおしゃべりに花を咲かせて、魔道の書を読むことが減り、上達のスピードが著しく下がっていた。
「上級魔法全部覚えたーーー!」
そう元気に宣言したのはひまわり色のショートボブをした子だった。四方に大きな土の防御壁がずどんと立っている。
「マリすごーい!!」
「見せて見せてー。」
「えー、どうやったの?コツ教えてー!」
わらわらと妖精たちが集まる。わたしもマリのもとに向かって飛んでいく。
「ナナー、見て見てー」
わたしが近寄ってきたのを見て、マリがわたしにVサインを見せる。
どれだけ多くの妖精が集まっても、なぜかみんなわたしのことを慕ってくれている。
「おおーー!すごい!固有魔法は何にするつもりなの?」
「とにかく土を強化しまくるのが得意だから、それ由来の何か自分なりの魔法が作れたらなーって思ってる。」
「いいなー、わたしはまだまだ先は長いよー。」
「ナナは無属性なんだから、得意な魔法から得意な系統がわかればいいわけでしょ?そろそろ固有魔法の練習を始めてもいいんじゃない?」
「んー、確かにそうかも。」
これまで多くの魔法を挑戦したけど、結局最後まで習得できなかったものもかなりある。逆に驚くほどあっさりと成功してしまった魔法もあった。そろそろ固有魔法の練習をしてもいいかもしれない。
そのままほかの妖精たちとも話しているうちに、神樹からリリーが戻ってくるのが見えた。目が合うが、わたしの方が目を背けてしまう。リリーとは20年前から全く話していない。
リリーがうつむいて自分の花のもとへ帰っていく。
その途中で涙がリリーの頬を伝うのに、わたしは気づかないままだった。
次回、固有魔法を深堀していきたいなー。




