風土病にはご用心9
「アカネ待たせたな。無事な様でよかったよ。それにしても一人でこんなとこまでどうやって来たんだ?」
マッシュ兄さんとキャロットちゃんが駆け足でよって来た。
「えへへ。穴の方は親切なシカさんと妖精さんがツルを下ろして、引っ張ってくれたんですよ。ここまでもそのシカさんに載せてもらいましたよ。」
「へー鹿に、妖精なのか………」
マッシュ兄さんが不思議そうな顔で考え込んでいる。
「うわーっ、アカネお姉様それは凄く素敵ですね。そのお姉様を助けてくれた妖精さんと鹿さんは、どちらにいるのですか?キャロットは、お姉様を助けてくれたお礼を是非ともしたいです。」
キャロットちゃんが期待に満ちた目で瞳をウルウルさせながらお願いして来たんだよ。
「キャロットちゃん妖精さんは、元いた世界に帰っちゃったんだよ。シカさんも、キャロットちゃん達が来る少し前に帰っちゃったよ。でもでも大丈夫だよ。キャロットちゃんがそう言うと思ってキャロットちゃんの分も沢山沢山たーくさんお礼したから。非常食のお菓子も喜んでもらえしね。それにシカさんには、日を改めて、お礼の食べ物持ってくる予定だし、その時に一緒にお礼しに行こうね。」
「そうでしたか。はい、お姉様、その時はキャロットもご一緒致しますわ。」
「二人ともありがとうね。迎えに来てくれて、流石にここからどうやって帰ろうか途方に暮れてたとこだったから。薬草はあれで大丈夫でしたか?」
「あえ、それは大丈夫だよ。母さんに確認したら、あの薬草で大丈夫だった。後は母さんに任せとけば大丈夫だったし、大急ぎで縄を探して走ってきたけど、縄はいらなかったな。」
「私も急いで鳥人さんの集落にお邪魔したのですが、夜間は、よく見えないので、お空は食べませんと言われましたの。ですので、そのままマッシュ兄さんと合流してお姉様を助けに来ましたわ。」
「詳しい話は、もう暗いから帰りながら話そう。さぁ、アカネ、僕の背中に乗って。」
マッシュ兄さんが私に背を向けてしゃごんでいる。
足元痛いから、私はまともに歩けないし、お姫様抱っこで遠距離は流石に腕がだるくなるよね。うん、分かってる。おんぶが一番確実で両者に負担が少ないこともね。
「うん、マッシュ兄さんお願いするわ。」
私は、マッシュ兄さんの背中にそっとのり、胸が兄さんの背中に当たらないように、腕をクッションにしてしがみついた。
マッシュ兄さんのお嫁さん候補も探さないとだし、義兄妹とはいえ、それなりの距離はおかないとね。
私達は、キャロットちゃんが明かりを持って歩く中、楽しく会話をしながら帰路に着いた。