耕作放棄地と自然災害 その12
「ええ、他領地にはそういう人が沢山います。鳥を食べるんですよ。別にそれが悪いと言っているわけではありませんよ?私だって鹿を食べるし、牛も食べます。なのに鳥を食べないでくれってのは言えません。」
「ええと、それは小麦が不作で食べるものがないなら。」
「少しでも食糧になる鳥を狩って食べると。」
「それはいまの蝗害が起きるかもしれない状態だと、悪手なのでは?鳥を狩れば狩るほど鳥がいなくなって、結果的にバッタを食べる天敵がいなくなって増えるんじゃ。」
「ごくん」
みんなが恐ろしいことを想像して、唾を一緒に飲み込んだ。
いやまずいまずい不味すぎる。悪いことに拍車がかかってより悪い方向に転がっている気がする。
「今からでも遅くないし、オーツ領地に鳥を狩るのをやめるように言おうよ。今止めれば被害は少しでも収まるだろう。」
「それはおそらく出来んな。」
「「「なぜ(ですか?、ですの?、です?)」
「向こうは狩猟民族もおるし、食糧が不足しておるからな。」
「でも、お父様。このまま放置すれば、鳥がどんどんいなくなって、バッタがどんどん増えてしまいますわ。」
「そうだよ。父さん。オーツ領には、是非とも鳥を食べるのをやめてもらわないと。」
「二人とも、例えばだがオーツ領からうちの領地の麦を鳥が食べたら、鳥が死ぬから麦を作るのをやめてくれと言われたらどうする?」
「そんな馬鹿なことを言わないで下さい。僕たちが作る麦で鳥が死ぬなんてことはありません。それに仮に小鳥が食べて死んだとしてもそれはうちには関係ないですよ。うちは長年麦を作ってやってきてるんだ。鳥が死ぬからやめてくれなんて、そんな無茶な。うちは麦を作らなくなったら何を育てて何を食べて生きていけばいいんですか?」
「あっ、そういうことなんですね。お父様」
マッシュ兄さんが答えた後、キャロットちゃんが何かを分かったようで、諦めた目でお父様を見た。
「マッシュ兄さん、どうやらオーツ領の人も同じことを返すみたいですよ。なぜ、私たちが鳥を捕って食べてはいけないんだと。」
「いや、だって、それはバッタが増えれば蝗害が起きて、今以上に農作物に被害が出るんだろ?なら当然やめないと、手遅れになるよな。」
「でも、向こうの方達はその事実というか因果関係を知りませんわ。」
「それは今の説明をちゃんとして、納得してもらえばいいだろ。」




