耕作放棄地と自然災害 その3
「ということは、その関係ありそうなものをお父様があらかじめフィルタリングして教えてくださるということですね。だから、今この場で話したのではないですか?」
「なるほど。そういうことかアカネ、それなら僕にもなんとかなりそうだ。さっき父さんの言ってたことを踏まえて、自分に置き換えて色々と考えていたがさっぱり分からなくて、キャロットの言う通り頭がパンクしていたんだ。」
「あなた、そうとは知らずにごめんなさいね。子供達に勉強の機会を与えるためだったのね。」
「ごほん、あーまーそんなとこだ。話をもとに戻すぞ。オーツ領で不作があって、労働者に給与が満足に支払われなかった。これが何を意味するか分かるか?」
「お父様、それを教えてくれるのではないのですか?」
「キャロット、答えを教えれば得られるのは知識だけだよ。考えて考え抜いた上だとどうなる?」
キャロットちゃんが頭を悩ませている。小さな子には難しい問題だね。でも、私も考えなきゃな。例えば、テストで、質問の次にすぐに回答の答えだけ、あったらどうなるか?テストの意味はないよね。その子がどれだけの知識を持っているかのテストなんだし。数学ならきちんと理解して答えを導き出せるか?思考力を持っているかだから。
なるほどお父様は考える力を養えっていっているんだ。答えを追い求めるのではなく、その答えに繋がる過程も大事なんだね。
「うーんと、うーんと、色々と考えることになりますから、色んな可能性を考えることになりますわ。あっていますか?」
「その通りだよ。それに対して、私が回答を用意しているから答え合わせも出来るだろう?それにだな、必ずしも私の答えが合っている保証もないからな。もしかしたらキャロットの考えた答えが正解かもしれないぞ。」
「えっ、お父様みたいに経験も、知識もありませんのにそんなことってあるんですか?」
「そりゃあるさ。私たちは皆同じ環境、同じ食べ物、同じ時間で育ったわけじゃないからね。立場が違えば考え方は違う。キャロットとマッシュだって同じ家で育ったけど考え方や立場は違うだろ?兄と、妹で求められる役割も違うならきっと出てくる答えも違うさ。
アカネを見てみなさい。私たちが毎日食べてた硬いパン。あれが美味しいと思って食べていたでしょう。」
「確かに私はあれが一番美味しいと思って作ってみんなに食べさせていたわね。でもアカネちゃんがしてくれたパンは、少しの手間で驚くほど美味しくなったわ。私はこれでもこの家で数十年料理してたから経験や知識は、多いと思ったんだけどね。」
「そんなお母様。私はたまたま他の人が柔らかいパンの作り方をしているのを知っていたからですよ。私だって、この家でずっと暮らしていたら、硬いパンが当たり前だと思いますし、柔らかいパンなんて思いつきもしませんわ。」
「確かにそうですわね。長い経験が必ずしもすごいかと言われれば、お姉様みたいに私たち年齢がさほど変わらなくても、変わることがありますものね。」
「ふむ、そう言うことだよキャロット。パンを食べるという問題に対しても、母さんとアカネで出す答えは違っただろう。私が答えたとしても、母さんと同じ硬いパンを正解にしていた。」
「なるほど、僕も硬いパンを正解にしてたね。でも今日食べたパンは柔らかいパンだった。それは正解が変わったってことか。それとも正解は無数にあるかな。硬いパンは、硬いパンで僕は好きだし、好みの差かな。」
「そう言うことだよ。マッシュ。正解は一つだけじゃない幾つもあるんだよ。その中で最適なものを選んで正解としているだけだよ。」
「なるほど、分かりましたわお父様。さっきの問題についても考えてみますわ。」
「うんうん、みんなも考えてみなさい。朝から会話がヘビーだが、脳を使うことは悪いことじゃない。」




