耕作放棄地と自然災害 その1
ベジタル領に来てからだいぶ経ったので、こちらの生活にも慣れてきた。地球から転生してきて、悪役令嬢になり、いきなり辺境に嫁がされた時はどうなることかと思ったけど、人間なんとかなるもんね。
「アカネちゃん。こっちの料理は終わったから、テーブルに出してきてくれるかい?」
「はい、お母様。今日もいい香りですね。はぁーっ、お腹減ってきちゃいました。」
「アカネちゃんも私も朝から働きづめだからね。早く持っていって私たちも朝食にしようじゃないか。早くしないとお父さんが朝食はまだかって、こっちに覗きにくるわよ。」
「そうでしたね。うちにはお腹空かせている人が私以外にも沢山いるんでした。急いで持っていきます!」
なんてことのないいつもの日常、いつもの会話いつもと同じ日が始まると思ってたんだよね。この時は。
「ふぁー、朝からよく食べた。」
「父さん、これから外で作業するのに、食べ過ぎだよ。」
「なにをいうかマッシュ。外で働くからこそ朝はしっかりと食べるんだよ。活力の源は朝の美味しい朝食からだぞ。」
「ふふっ、そういうマッシュお兄様もお父様に負けずに食べてましたよ。」
「キャロットそれはいいっこなしだよ。お前だって、かなり食べてたじゃないか。蜂蜜入りのヨーグルトおかわりしてたのちゃんと見てたからな。」
「嫌ですわ。お兄様。そこは内緒に、しておいてくださいよ。ふふっ」
ベジタル家では、農業をメインにしているため、早起きで肉体労働するからみんなよく食べよく動くんだよね。
「んんっ、これはちょっと困ったな。」
お父様が、新聞を読みながら困った顔をしてぼそっと呟いた。
「どうしたのさ、父さん。何か書いてあったの?」
「いやなに。別に大したことが書いてあるわけじゃないんだがな。隣のオーツ領でな、昨年の麦が不作だったみたいなんだ。」
「去年は大変だったからね。不作でもおかしくないけど、それがどうかした?豊作も不作も交互に来るからいつものことじゃないの。」
「それがちょっとまずいことになりそうでな。不作で売上があまり上がらなかったためか、領主が作業者に満足な給与を支払わなかったみたいでな。」
「あー、それは大変ですね。うちも一昨年不作でしたし、お給料の支払いは厳しかったですから。幸いある程度備蓄があったので、大事には至りませんでしたね。」




