金髪ハンターと科学者の過去
眠い、だるい、しんどいの波を超えて週一投稿スタートです!
あ、リロちゃんです
俺は水鳥と名乗る男に連れられとある研究所のような周りの建物よりも一回り小さめの建物の中に入った。
「ここが私の研究室です。今お茶を出すのでそれまで自由に見ていてもかまいませんよ」
そういって水鳥は奥の部屋へと姿を消す。
自由に見ろと言われても何が何だかさっぱりなんだが…。
その時だった。先ほど入ってきたばかりの扉が開いた。
「おっさんはいるかあ?って、」
入ってきたのはこの町のハンターらしき男だ。
「丁度いいや、兄ちゃん誰だか知らねえけどおっさん見なかったか?」
髪色は金髪で、腰には剣を帯びている。
男は俺のほうに歩み寄りながらそんなことを言った。
「おっさんって水鳥ってやつのことか?」
「そうそうそいつだよ。で、どこにいるんだ?」
「今奥の部屋でお茶入れてるけど」
「ん?そっか」
なんだろう心なしか少し苦そうな顔をしたような?
「お茶を入れるから待っててくれって言われただけだしすぐ戻ると…」
「ああそれしばらく戻らねえよ」
「へ?」
お茶を入れに行っただけなんじゃ?
「お前どうせ自由に見てろとか言われた口だろ?そういう時ってたいがい『アレ』を見るまで出てこねえんだよ」
「『アレ』?」
「ついて来いよ。いいもん見せてやる」
そういってハンターらしき男は奥の部屋へと入っていった。
「ここは?」
「極秘の研究室だよ」
「極秘?」
入っていいのかそんなとこ。
俺が怪訝そうな顔をしていると、男は楽しそうにニカっと笑って
「おっさんは見せたいとおもったやつにはここのことを見てもらおうとするんだよ、それが過去の俺とか今のお前ってわけ」
そういって前を歩く男。
「そういやまだ名乗ってなかったな」
ある扉の前に着いたときふとそんなことを言い出した。
「俺の名前はラージ!このステラのハンターで俺の名前を知らないのは新米くらいだからな!よろしくな‼」
そういって扉を押し開けた。
中はあまり広くなくこじんまりとした小さな小部屋だった。
そして部屋の中心にはたくさんのコードにつながれたSFでよくありそうなカプセルが置かれていた。
カプセルの中は変わった色の液体で満たされていてその中にまあテンプレと言えばテンプレ。
異世界の怪しい研究所のカプセルの中身はこれと相場は決まっていると言わんばかりに小柄な少女が眠っていた。
白く輝く銀色の髪。背丈は小学六年生くらいの少女がカプセルのなかで眠っている。
「いやあ、ラージ君が来てくれて助かるよ!龍雅君はお利口そうだからねえ。一人じゃここまでは来なかっただろう」
「おっさん、んなことどうでもいいからちょっと金貸してくんね?頼む!今夜の飲み代がねえんだよ‼」
「飲み代の件は検討しておくので一度エントランスに戻ってください。龍雅君と話がしたいです、…二人きりで…」
少し重い空気を感じたのかラージは「わあったよ」というとドアのほうへと歩き出す。
ラージがドアに手をかけたその時だった。
「いい返事をまってるぜ…」
何のことだろう?お金の話か?
なんだかよくわからないがなぜかその言葉は俺に向けられていたような気がした。
二人きりになった部屋の中、水鳥が小さな声で話し出した。
「あれは、十五年前のことだ」
…私はとある研究に明け暮れていた。まだこのステラが砂岩のような建材で建てられた建物ばかりが立ち並んでいた頃だ。
「博士、こちら研究結果です」
「ご苦労様です。うん、これなら問題ありませんね。来週にでも都市開発が始められそうですね、もうひと踏ん張りです。さっさと仕事を終わらせましょう!」
「はい!」
私はそのころ一大プロジェクトにかかわっていた。
そう、このステラの国を先進国として生まれ変わらせるというプロジェクトだ。
はっきり言って最初は無理だとおもった。
たった一人の日本人に一体何ができるんだと…。
だが、魔法の力は我々地球人が思っているよりもはるかに強力だった。
数年にわたって進めてきたこの研究も終わりが見えてきた。
このころになると私にも好きな人くらいはいた。
とても強気な人だった。とても頭がよかった。優しい一面もあった。
とても魅力的なひとだった。
この研究が終わったら彼女に告白しようとさえ思っていた。
…今思えばなんて典型的な『死亡フラグ』だったのだろうとおもう。
事件が起こったのはそれから三年後のことだった。
彼女が亡くなった。
周辺国との戦争が勃発したことでハンターをやっていた彼女は戦争に駆り出されることになった。
ステラ王国からしたらたった一人のハンターの命なんて使い捨ての駒ぼようにしか思ってないのだろう。
私は最愛の人を失った。この世界にいるたった一人の家族を失ったのだ。
それから廃人のような退廃的な生活を送るようになった。その後一年と半年で戦争は幕を下ろした。
急激に技術が進歩していたステラに勝てる国なんてなかったのだ。
そして、ちょうど十年前。
私のもとに一人の女性が現れた。その女性はひどく衰弱していた。
何らかのモンスターの呪いの効果だとすぐに分かった。
そして、同時にその呪いがもう手遅れな程進行していることにも気が付いた。
「…博士?私…大丈夫じゃないんですよね?…ておくれなんですよね?」
「…そうですね」
「最後の私のお願いとして少し話を聞いてくれませんか?」
聞くつもりなんて私にはさらさらなかった。
…はずでした。
彼女のお腹の中には小さな命があった。
もうすぐ生まれるくらいにまで大きく育っていた。あと一週間もあれば普通に生まれてこれただろう。
しかし、彼女は今夜が山だった。
実を言うと、私の妻もお腹に赤ちゃんがいたのだ。
本当に小さかったが。
中世ヨーロッパのような頃のあの頃のステラには妊婦にやさしくするなんて考え方そんざいしなかった。
お腹に命を抱えたまま戦場に行ってしまった妻と、今生と死の両方のすぐそばにいる彼女の姿が重なったようにかんじた。
だから私は胎児を引き取った。
生まれることのできない命なら、何かの役に立たせてあげたい。それがかのじょのねがいだった。
「そして、研究の末完成したのがこの超人一号機、『パト・ラッシュ』だ」
「どっかの犬みてえな名前だな」
これに、そんな深い過去があったなんて。
そんなことを考え感慨にふけっていると水鳥がまっすぐにこちらを見つめておもむろに口を開く。
「この子は完成や成長促進、睡眠学習能力、ステータス上げなどは施してあるんだけど、一つだけもんだいがあってね」
「問題?」
水鳥はカプセルに右手をあて真剣な声で言った。
「並みの魔力ではこの子は起動できないんだ。この子を起こすには、それこそ神様の力がひつようなんだよ、そこで龍雅君…君にお願いがある」
「なんでも言ってくれ、俺にできることなら何でもするさ」
「ありがとう、報酬は弾むよ」
今回も夢幻物語~俺の異世界転生記~を読んでくださりありがとうございます。
作者の山吹莉狼です。今回はまあ少し長くなりました。(ぼくにしては)
ついこないだまであんなに怪しかった水鳥にはこんな過去が!ってな感じのお話です。
最近内容が重いですね。
ネタというかコメディ要素はまた次回あたりから帰ってきます。
そして、最近Twitterのほうで夢幻物語のキャライラストを投稿してます。
そちらのほうもよろしくお願いします。
それではダラダラたらたらとしゃべるのもあれなのでそろそろお開きにしましょう。
お・るぼわ~る!