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はじめまして
よろしくお願いします
高山保育園
この地域では 昔からある歴史の古い保育園だ
園舎自体はさほど古くはない
5年前に建て替えを行なったお陰で 夏は涼しく 冬は暖かく
子どもが激しく遊び回れる遊技室 ちょっとしたボルダリングルーム 小さな映画館にも様変わりするホール 給食はみんなで食べるバイキング形式など 子ども・保護者・保育士にもとても優しくて 楽しい保育園だ
しかし そんな保育園にも悩みがある
5年前に新園舎設立時に新人保育士としてやって来た私にも関係する悩みだ
保育士も5年勤めると 先輩先生達から優しい目で見てもらう事も厳しくなり 立ち回り方や指導方法など助言を貰えなくなってくる
分からなければ 自分で考え 調べたりする
それでも分からないことは 先輩先生や主任 園長などに聞きに行く
当たり前のことなのだが 日々の保育に追われながらの私にはまだまだ分からないことが多過ぎで 自己嫌悪に陥る事も少なくない
そんな中 歳上の先輩方に時間をとってもらい 質問、相談しに行くのはなかなか辛いものがある
それでも 自分が望んで保育士になり 子ども達と接する責任があるので 自分なりに自分を叱咤しながらも頑張っている
先輩先生、園長先生もみんな広い心の優しい方ばかりで私はとても恵まれていると感じている
世の中には 保育士と言う職についていながら とても先生と言えない様な事をする人もいる様だ
新人イジメ 新婚イジメ 子どもに好かれる先生への妬み 男性職員の取り合い などなど 他の園の先生方から聞く 恐ろしい話に私は高山保育園で良かったと 本当に心から思うのであった
この高山保育園にいて なんの悩みがあるのか そう言われるだろ
分かっている この幸せがあるから耐えられる悩みなのだ
それは
保育士がすぐに辞めてしまうことだ
大したことに感じないかもしれないが
保育士不足の現状とても切実な悩みである
7年前から 新人保育士やベテラン先生などやって来るのだが、どの人も続かない…
長くても3ヶ月で居なくなってしまう
そう 私 本田はるかを除いて
年度始めに3人ほど毎年やってくる
そしてその3人が3ヶ月以内に居なくなる
7年間で 毎年3人やってくるので 計21人
私を抜かし20人もの人が 辞めて行っている
高山保育園がイジメがあったり 激務なブラック園だと言うのならば分かるが きっちり有給もあり 先輩先生達は誰も辞めていないのでシフト的にも緩やかにやっている
しかし 辞めていく先生達は皆
徐々に顔色が悪くなり 言葉数が少なくなり いつの間にか園長に辞表を出し いつの間にかいなくなっている
お別れ会なんてもっての外 辞める時の挨拶すら行われない状況
1番若い私で 26歳
その上の先生は 28歳
その上になると 30代後半となる
そのまた上は 40代50代
少し年齢層の高めの園だ
保護者達は新年度にやってくる 新しい先生達に顔を覚えてもらう前に皆辞めていくので
あら?あの新しい先生は?
と 行った感想で特に残念がる様子も見られない
高山保育園の恒例の流れとなっている様だ
子ども達といえば
いなくなった後の半月ほどは
新しい先生どうしたの?
お休み?
などと 心配しているが その後は話題になる事もなく忘れ去られている
子ども達に名前を覚えてもらう前から 休みがちとなってしまうので 3ヶ月と言っても 関わる時間はとても短いものなのだ
さて 新しい先生が続かない事が どうして悩みなのだと言うと
やはり すぐに先生が辞めてしまうのは園に問題があるのでは?と 噂をされてしまうと言うのが1番なのだと思う
私も 知り合いから色々と聞かれる事が多い
怖い先生がいるのでは?
なんて 要らない心配をいただく事も少なくない
そんな時は 声を大きく
うちの 先生達は とても優しくて 素晴らしい方達ばかりです!
と 答えている
実際そうなので 胸を張って言いたい
しかし 私としては
1人でもいいから 残って欲しい
これは本音だ
何か心配事があるのなら 相談してくれれば良いのに
毎回思う事だが いままで5年間誰からも相談されたことはない
相談はされないが 私は他の先生達から
物凄く尊敬されている
そう
だって
7年間で辞めなかったのは
私1人だから
なぜみんなが辞めるのか
私に皆聞いてくるが
全く分からない
辞めて行った先生達と そう言えば仕事の話以外した事がないなぁー
なんて 思うぐらいだから理由なんて検討もつかない
だって私には
とても良い園だから
今年度の新人の先生達が居なくなって
4ヶ月が経って まだ残暑が厳し日に
彼はやって来た
都会の保育園に勤めていたが
祖母の介護の為 母、父に協力するために地元のこの地に戻って来たらしい
着任の挨拶の時に そう言っていた
その言葉を聞いて 皆「いいこ!」と心の底から思ったようだ
園長だけは なぜか口を引きつらせながら
「素晴らしく 家族思いね」
なんて言っていた
ふわふわした茶色の癖っ毛
はっきりとした大きな目
笑うとエクボの出る口元
プードルの様な可愛らしい先生
他の先生達からは
息子にしたい!と言われるほど可愛がられる事になる
確かに 歳上だけど 弟の様な雰囲気をかもしだしていてる
子どもや保護者の人気者も高く
お迎え時には離れたくなくて泣く子まで出でくる始末
保護者もそんな子を
「あらー!困ったわ」
なんて言いながら 温かい目で見守る有様だ
子どもがぐずっているのに 先生に色々話しかけ 私生活を聞き出そうとしている
そんな歓迎ムードの中
季節が変わり 先生が来て3ヶ月が経っていた
なんだか長くなりそうなので、続きにしました
至らない所が多いと思いますが、広い心で読んでいただけたら嬉しいです
タイトル、キーワードは変更予定ありです