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僕はほんの少し魔法が使える  作者: 白洲詠人
2023年お正月スペシャル エルヴンブライド
58/69

6 僕達は集結した。

第2、5話 LightningS 〜僕はほんの少し魔法が使える・第三部〜 掲載

第3、4話 落星機兵ALLETS ~いじめられていた僕がロボットものの主人公になるまで~ 掲載


第2話から第5話までのあらすじ


エリナが何者かに誘拐された。過去から召還された若き日のフィリップとモリガンは、天使ウズメの依頼を受けて、異世界から召還されたアユムとカオリの二人と、事件解決に動き出した。

『海岸地帯』東端、『境の村』近辺…


3人の男が、『ツァウベラウト』のフロントグリルを取り囲んでいた。走っている最中に、エンブレムを留めるネジが外れてしまったのだ。


「このエンブレム、無理やり着けた物だ…これ、『パイライトカンパニー』製だぜ…」

「『ゴールド工房』製にしてはスムーズに走ると思ったら、道理で…」

「畜生!!売国奴の車なんかに、俺たちを乗せやがって!!」


ガン! 腹立ち紛れにバンパーを蹴飛ばすが、『ツァウベラウト』はびくともしない。


「こんなのに乗れるか!!乗り捨てて歩いて行こうぜ!!」

「大丈夫かよ…共和国からの追手が迫ってるんじゃ…」

「あのジジイが…『依頼遂行のためにマジックカーが欲しい』と言ったら、こんなもんを…」

「とにかく、宝物庫から盗んだブツを出…せ……」


そこまで言いかけて、3人はパタパタと倒れ、グーグーいびきをかいて眠り始める。


少し離れた茂みの中で、フィリップがツァウバーフォームに変形させた『ツァウベラッド・ブラウⅡ』に跨っていた。


「【エリアスリープ】…弊社製品の犯罪利用はご遠慮ください…」

そう言うフィリップに、側で一部始終を見ていたアユムは、

「魔法で動く変形するバイクに本物の魔法…どこから驚いたらいいのか…」

「ほらアユム君、そいつらの盗んだ物を回収したら、『港街』へ行くぞ。」

「あ…はい。」


(それにしても…)

フィリップは思った。

(一見、何も出来ない普通の子供みたいだが…なんでこんな子が呼び出されたんだろう…)


     ※     ※     ※


同時刻、『海岸地帯』西端、『迷ひ家の街』、エリナの実家…


剣を持った数人の男に対して、妻のエミリーを庇いながら剣を構えるライオス…


「同志ライオス…あなたの力をお貸しください。」

「20年前のあなたは正しかった。あれこそが我が共和国を栄光へと導く手立てだった。」

「王国の耳長どもの悪事を白日の下に。世界を再び戦争へ。王国に滅びを!!」

「娘は預かってるんだぁ!断ったらどうなるか分かってるよなぁ、耳長ぁ!!!」


「ぐ…っ!」


20年前の過ちのツケが、今になって回ってこようとは…ライオスは苦々しげに歯噛みする。そこへ、


ガチャ…「ごめんくださーい。」


モリガンとカオリが入って来た。


「あぁ!?何だ手前ら…」

振り向いた男の顔面を、


バシン!「ぐぇっ!」バシン!!「ふげぇ!!」

モリガンが往復ビンタ。両頬を紫色に腫らせて男は倒れる。


「て…てめぇ…」

別の男が剣を突き出してカオリに突進する。しかしカオリは、剣を間一髪で交わすと後ろを向き、男の右腕を掴んで、勢いそのままに一本背負い!!ガチャーーン!!床に叩きつけられて自分の着ていた鎧の重さで気絶する男。

「おーーー!!」

見た事の無い格闘術に耳をピコピコ動かして興奮するモリガン。その後、残った男たちも2人によってあっという間に倒されてしまった。


「あ…危ない所を、ありがとうございます…」

お礼を言うライオスの隣で、エミリーはプラチナブロンドのエルフの顔を見つめて、

「あなたはヴィッキーちゃん…いえ、テレサちゃん…じゃない。も、もしかして…」


モリガンはにっこりと微笑み、カオリは、

「あなた達がライオスさんとエミリーさんですね!?一緒に『港街』へ来てください。」


     ※     ※     ※


30分後、『港街』、スティーブ邸…


ガチャ…「あなた、お客様です…」

執務室のドアが開き、ウララが入って来た。

中ではウィルと一緒に額を突き合わせて頭を抱えるスティーブが、

「ウララ…今、忙しいんだ。後にしてくれ…」

「それが…」


     ※     ※     ※


「盗まれた『過去視の魔導具』を取り戻して来たぞ。」

玄関には、フィリップとアユムが立っていた。そこへ今度は、モリガンとカオリがやって来て、

「らいおすさんとえみりーちゃんをほごしてきたわよ!」

2人を連れてきた。


「そんな…こんなにあっさり…」

呆然となるスティーブ。そして、訪問者の中に若き日の自分と同じ顔のヒューマンを見つけ、


「あ…あなたは、まさか、父さん!?」


「じいちゃん!?」

屋敷の奥からウィルの悲鳴が聞こえ、


「じ、じいちゃん、あなたの喪中にエリナと乳繰り合っててごめんなさい。で、でも、ノクターンへ行かなきゃならない様な事はしてません。だ、だから化けて出ないで、迷わず、天国へ行って下さい…」


そう叫びながら、奥から出てきたウィルは、玄関先の自分と同じ顔の男と鉢合わせる。


「………」

その告白にフィリップは口角をヒクつかせ、


「ぬっふっふ~~~…」

いつの間に現像までしたのか、ヴィッキーがウィルとエリナのキスシーンのSSをフィリップに差し出す。


「………はは…」

フィリップは全てを察して苦笑いしながら、そのSSを無言でスティーブに手渡す。


「………」

スティーブはウィルをギロリと睨み、ウィルの耳はシュン、と垂れ下がる。スティーブは更に、無言でそのSSをライオスに手渡す。


「………っ!!」

ライオスは般若の形相になった。


「あのー、僕達…」「いつになったら入れてもらえるの!?」


…ファンタジー組の茶番劇に、ディストピアから来た二人がボヤいた。

第7話(LightningS掲載)へ続く。

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