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僕の王国での足跡。

5人体制の『パイライト』になって4ヵ月…


ついに、『彼等』は王都に現れた。


「だから………何で俺たちが、お前らの言う事を聞かなきゃならねぇんだよ!!」

金髪ロン毛のアルバートと、そのパーティーメンバーだ。

「ごめぇん…手練れのパーティーで、ここに来れる移動力がある人達って、君らしか思いつかなくって…」

フィリップが言った。

「全く…迷惑だぜ…あーあ、たった1つでもランクが上なら逆らえないからなーー!!」

わざとらしく嫌そうに言ったが…

「…で、どうだ!?エルフの王国は…」

と聞くと、

「………すげぇな…」

結局彼等も、冒険者として、未知なる物への好奇心には勝てなかったらしい。

「ふっふーー!!」

フィリップは機嫌良さそうに笑い、アルバートは、

「………何でそこでお前が得意そうなんだよ…」

と漏らした。


アルバートの隣りには、ヒーラーのエレンがいた。アルバートのツァウベラッドの後ろに乗って来たのだろう。

更に隣りには、重戦士のチャーリーがいる。彼も自身のツァウベラッドを持っている。

そして、三輪型のツァウベラッド・ドライから降りて来たのは…ベティとダスティーの2人だけ。

「フレッドを追放したのか!?」

フィリップを追い出して代わりにパーティーに入った、あの弓兵がいない。

「双方同意の元での除隊だ。彼だけ、王国へ行きたくないと言ったんだ。

あいつ…何だかんだ言って、エルフの弓兵と比べられたくなかったらしい。」

「………」

「まぁ、いいさ。エルフの冒険者の弓兵を品定めするさ。」

「…一人、すごく意識が高い者がいる。」

フィリップは騎士団出身のエルフの顔を思い浮かべた。

「そりゃ楽しみだ。それに…こっちにも、強いモンスターがいるんだろう!?オークとの戦闘だったら、向こうで既に予習済みだぜ。」

アルバートは不適な笑みを浮かべた。


しかし…長年苦楽を共にしてきた仲間をあっさりと切り捨てる、その姿勢に否を唱える者もいようが、アルバートの強さに対する真摯さは本物だ。彼もまた、本物の冒険者だ。

アルバートといい、モリガンといい、フィリップの周りには、『本物の冒険者』がいっぱいだ…


全く妬ましい…


ともあれ…


「みんな…」

フィリップはギルドに集まった王国の冒険者達に、アルバート達5人を手で示して、言った。

「彼等は共和国のランクCの冒険者パーティーだ。色々と盗める技は盗んでおくように。」


     ※     ※     ※


数分後、冒険者ギルド…


階下の『酒場』や掲示板、クエスト受注カウンター等、全体が見渡せる2階に、フィリップ、モリガン、アルバートの3人はいた。


「しかしすごいな…」

アルバートが見下ろす階下には何人もの冒険者がいる。実はあれからも冒険者は数が増えた。

最初に入ったハーフエルフとドワーフの凸凹5人組も、めでたくランクDになった。

『酒場』やクエストの受注カウンターも、各々ドワーフとハーフエルフの女性を雇った。

「王国の冒険者制度は有名無実化してると聞いたが…これをみんな、お前がやったのか!?」

「みんなががんばったせいさ。」

フィリップはそう答えた。

エルフは優秀な弓兵で魔法使いだ。一般人でも1対1でモンスターを倒せる。だが人口減でモンスターを駆除しきっておらず、王都周辺の森は行き来するのにさえ危険な状態になっていた。

一方で、ヒューマンとエルフとの間に産まれた「ハーフエルフ」は、エルフ中心の社会である王国で迫害受けていた。

それを、冒険者制度を利用し、ハーフエルフ達に冒険者として生きる道を…収入源と社会的地位を与える事で、両方とも解決する。

そのテストケースとして、ナインと、ニェットの2人を、冒険者として育てる…そこに、みんながついてきてくれただけだ。

「ふぃりぽんはね、まほうがつかえるんだよ!」

モリガンが自分の事の様に誇らしげに言った。

「ほんの少し、だけどな…」

フィリップがそれに付け加える。

「将来、お前は、王国の冒険者制度の中興の祖として、名を残すのかもしれんな。」

アルバートは笑った。

「…ハーフエルフを戦いの場に追い込んだ極悪人として、かもしれんぞ…所詮、僕は『紛い物(パイライト)』だからな。」


例えもし、後世のフィリップへの評価が前者だったとしても、その偉人の正体が、自身が『紛い物』である事を恨み、周囲の『本物』を妬み、自身から全てを奪い、軽視した共和国と王国への意趣返しを目論んだ、矮小な男に過ぎないなどと、誰が思うだろうか…


だが、世の中には、後ろ向きにしか前に進めない者もいる。

一周ねじくれなければ上へ伸びて行けない者もいる。

フィリップや、このギルドに集まった、多くの冒険者達の様に…


それでも…


「パイライトは金にはあらねど、そは暗闇で妖しく輝き、手に取る物の心を惑わす…か。」

フィリップは4ヵ月前、自身が言った言葉を反芻した。

「あぁ!?何だそりゃ!?」

「………お前には一生分からないさ。」


     ※     ※     ※


そして…フィリップが王国へ来てから半年。

ナインとニェットにランクCの内示が下り、

モリガンの髪が、肩まで伸び、正面から見たら、以前と変わらない容姿になった、ある日…

ツァウベラッド・ヴァイス:


アルバートパーティーの重戦士チャーリー搭乗の、白いカウルのツァウベラッド。

性能は初期のロートとほぼ同じ。

チャーリー自身は魔法が使えないので、コンデンサは同パーティーの魔法使いベティにチャージしてもらっている。


当初、魔力チャージを嫌がっていたベティだったが、一斉蜂起作戦の失敗とその後の壮絶な撤退戦で大勢の魔法使いが除隊したのを見て、明日は我が身と思った事と、魔動車両の普及とそれに伴う魔力チャージの仕事が彼等の受け皿になると考え、引き受けたらしい。

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