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人間の俺が弱小魔族達の救世主になったわけ  作者: エコロジー毒電波
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紅蓮ノ骸

 ホクザンの街を出た俺たち3人は徒歩で魔族の国を目指していた。


 「ニャー達が住んでいる街は歩いて1時間くらいの所に有るニャ!」


 (思っていたより近場に有るんだな)



 気持ちが落ち着いてきた俺は、先程まで逆光を背にしていて良く見えなかった、先頭を歩く語尾に『ニャ』を付けた人物を観察してみる事にした。


 真っ先に目に入ったのは、頭に生えた角だった。そう、【猫耳】では無く角が生えていたのだ。

 


「猫耳じゃ無いっ……だと?!」



 予想を裏切られ動揺してしまう。


 そんな俺の様子を、隣を歩くシアは首を傾げて眺めていたのだった。




 10分くらい歩いた頃だろうか。


 先頭を歩く、語尾が『ニャ』の少女がコチラに振り返り話しかけてきたのだった。



「ニャー達の住んでいる街に着く前に、この大陸に有る国について簡単に説明するニャ」


(唐突だなぁ)


「その前に、ニャー達が今居る大陸は何て名前か知ってるかニャ?」



 目の前の少女は、こちらの思いとは関係なしに話しを進めてくる。


 俺は、今まで聞いた言葉を思い出しながら答えるのだった。



「えーと、確か『ナサナ大陸』だったかな?」



 この世界に来て初めて会ったお婆さんに教えて貰った大陸名を思い出す。



(右も左も分から無い俺に親身になって接してくれた、お婆さんにはホントに感謝してる)



 見ず知らずの他人に親切にされるなど、元の世界に居た時には無かった事だ。


 お婆さんの事を思い出すと、僅かな時とはいえ一緒に居た事が、追手に俺の関係者だと疑われる原因になっているのでは無いかと心配になる。



(あの騒ぎで迷惑をかけてないとイイんだけど……)



 そんな心配事をしていると、いかにも心配事とは無縁そうな少女が無邪気な声で話し掛けてきた。



「正解ニャ!」


「ナサナ大陸には人間達の国が東西南北にそれぞれ4つ有るニャ。ニャー達、魔族の国も西と真ん中これから向かう北の3つ存在するんだニャ」


「へぇ、この大陸には7つも国が有るんだ」


「そうだニャ! でも、今は無くなっちゃったけど昔は魔族の人達が住む国が2つ有ったんだニャー」


「無くなったって? どうして?」


「人間達に滅ぼされちゃったんだニャぁ」


「……っ」



 隣を歩くシアの顔が少し曇ったような気がした。



 さらに20分程経った時、先頭を歩く少女がおもむろに懐から小刀らしきものを取り出したのだった。



「言い忘れていたのニャが、ここら辺は【紅蓮ぐれんむくろ】が、たまに出るニャ」


「えっ?」



 ほんの数m先だろうか? 今まで何も無かった空間から数人、いや、数十人の人影が姿を現したのだった。


 異様な出で立ちをした集団は徐々にこちら側に距離を縮めてくる。


──突然の事に足がすくむ



(なっ……、一体何なんだ)


「ニャーがアイツらの注意を引くニャ! そのうちに助けを呼んできて欲しいニャ」


「助け? どこに呼びに行けばいいの?」



──頭が混乱する



「とにかくニャー達の街に向かうんだニャ。ダッシュで行けば直ぐ着くニャ!」


「ダッシュって……、まだ半分くらいしか進んで無いだろ。直ぐに街に着くわけが無い! 君だけを置いて行けるか!」


「ニャ、ニャ、ニャ?! 無謀だニャ! 【紅蓮ノ骸】に歯向かったら死ぬニャよ!!」


「っ……?!」



 『死』という言葉を聞き心が挫けそうになる。



「マヒル様、ここは私と彼女で足止めをします。どうかマヒル様は、ここからお逃げになって下さい」


「いやっ、逃げられない。俺だけ逃げるなんて駄目だっ!」


「マヒル様……」



 挫けそうになる心を震い立たせる。


 俺は目の前の【紅蓮ノ骸】なる謎の集団に戦いを挑むと決めたのだった。



「あれっ……」


 情けない声が喉からこぼれる。


 ほんの数分、いや、数秒の出来事だった。


──俺の右腕が無くなっていた



「マヒル様!!」



 遠くの方からシアの声が聞こえる。


 血が出すぎたのだろうか? 痛みはもう感じなかった。


 俺のすぐ側には『ニャ』という語尾が特徴的だった少女が倒れていた。


 残った左腕でなんとか倒れた少女に触れようとするが、自分が思っていた距離より位置が遠かったようで手が届く事は無かった。


 意識が朦朧とする。


 異様な集団はシアを取り囲むよう静かに動いているようだ。


 俺が最後に見たものは、多数の人影がシアをズタズタに引き裂く光景だった。

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