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人間の俺が弱小魔族達の救世主になったわけ  作者: エコロジー毒電波
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再転生-restart-

──まぶしい太陽に刺激され目を覚ます


──瞼を開け横になった体を起こすと、まるで硬い床に寝かされていたかのような痛みが全身を走りまわるのだった



(痛っ! えっ?)



 目を覚ました俺は辺りをキョロキョロと見渡す。


 辺りの景色は見覚えのあるモノだった。



「ここは『ホクザン』の街なのか?」


「お嬢ちゃん、さっきからキョロキョロしているけど何か探し物でもあるのかい?」


「!!」



 声のした方に目を向ける。


 そこには、ついこの間会ったばかりの気の良さそうなお婆さんが立っていたのだった。



「えっと、お久しぶりです」


「んっ? ワシら何処かで会った事があったかの?」


(あれ?)



 目の前のお婆さんは"訝しげ"な表情を浮かべながら、まるで初対面であるかのような態度をとるのだった。


 俺は、何故このような態度をとられるのか理解することが出来なかった。



「少し待っていてもらえますか?」


(もしかして自分の姿が男のままで、お婆さんが俺を認識出来ていないとか?)



 近くの建物の窓ガラスで自分の姿を確認する。



◇セミロングの髪

◇パッチリした二つの目

◇小さな口

◇華奢な肩

◇少し膨らんだ胸



 やはり見覚えの有る少女の姿だ。


 お婆さんが素っ気ない態度をとる理由を解明する事が出来ず途方に暮れていると、


「オラッ! ノロノロしてないでサッサッと来い!」


 聞き覚えの有るガラの悪い男の声が聞こえてきたのだった。



(ん? あれは、もしや!)



 見覚えの有るフードを被った人物が大男に連れられているのが見えた。


 俺は咄嗟にフードの人物の名前を呼ぶ。



「シア!」


「えっ?」



 フードの人物は驚いた様子でコチラに振り向くのだった。


 その様子を見ていた大男はコチラに気づいたようで、


「俺様の奴隷を呼ぶヤツは誰だ?!」


 目を怒らせながら怒鳴りつけてきたのだった。



(これって、もしかして大男とまた戦うパターンなのか?)



 俺は男の呼び掛けを無視して、この状況を分析することにした。


1.路上で目を覚ました


2.お婆さんに話しかけられた


3.自分の性別が変わっていた


4.大男が奴隷シアを連れ歩いている


 完全に前回と同じシチュエーションであった。


 どういう事か原理は分からないが、時間を巻き戻されたみたいだ。



「おい、そこのお前! 黙ってないで何か答えろ!!」



 大男はドスの効いた声で脅しをかけてくる。


 俺は、そんな脅しに恐れはなく、


(はぁ……。倒すのは簡単だけど、大っぴらに魔法を使うと後が面倒なんだよなぁ)


 と、大男からシアを助けることしか頭になかったのだった。



 前回、魔法の『無免許使用』で痛い目をみた事を思い出しながら、どうやったら大事にならずに目の前の大男を撃退出来るか考える。



(確か『黙れ』と『手を離せ』は、大男に効いたんだよな。恐らくある程度、相手を魔法でコントロールする事は出来そうな気がする)



 俺は頭の中で色々シミュレーションした結果、一つの方法を試してみる事にしたのだった。



(よし! 魔法だとバレないよう、なるべく地味目なヤツをやってみよう)



 俺は大男に手をかざし念じた。



(歩いて街の外に出ろ!)


「なに?!」



 大男は驚いた顔を見せると、コチラから離れるよう歩き出したのだった。



「待て待て、勝手に足が動いているだと? ちょっと待てぇ!」


(煩いなぁ。あまり騒がれると体を操っている事がバレるかもしれないし、もう一つ魔法をかけるか)



 俺は、もう一度大男に手をかざす。



(街の外に出るまで口を閉じていろ!)



「んっ?!」



 先程まで騒いでいた大男はスッカリ大人しくなってしまう。


 俺は、街の外へ歩き出す大男を満足げに見送った。


 そんな一連の流れをお婆さんが遠くから見守っていることなど、俺は想像すらしていなかったのだった。

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