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高校生活を無事に過ごせそうにない件について  作者: そるとん
第1章 春の出会いと記憶
5/6

第5話 全員集合した件について

はい!そるとん!!!


今日で2話投稿しまして!ようやく楽しそうなところ!

色々この回で分かります!


第5話です!

一緒に探偵をやって欲しいの!!

と、幼なじみお嬢様は俺に言った。


え、待って?違うじゃん。中々に長編の過去を振り返った後その過去を背負いながら2人はどうたらこうたらみたいな展開じゃないの?

探偵?た、え、探偵?


「いや……違うわね…何でも屋…うーん…」

「いや、そこはどうでもいいの。趣旨を詳しく」


違うベクトルでうんうん考えていた椿の思考を絶って、疑問を問う。


「あなたは、この町に蔓延る「怪異」について知ってる?」

「怪異?聞いたことないな」


言葉はおどろおどろしいが少しワクワクしてる自分がいる。

俺と椿の住んでいるこの町、「月夜町つきよまち」。

埋め立てで最近できた新都心。教育に力を入れている町で人口の約過半数は20代未満といったところ。

中心部には一際大きいビルがあり、月夜町の全てがそこにある。ちなみに、椿も中心部に皇家のメイドであった華恋と住んでいる。しかし高層マンションとかではなく少し立派な一軒家。まぁ、充分お金持ちである。

俺は学校から程近い団地だ。普通に綺麗だから気に入ってる。大家さんが俺の両親と知り合いで事情を知っているからか少し贔屓してくれてる。好き。

と、まぁ、かなり立派で新しく出来たこの町に怪異が蔓延っていると。中々に信じがたい。

すると椿から説明がはいった。


「去年から現れ始めているの」

「怪異が現れる……」

「そう。主犯がいて、そいつの周りにいる数人の共犯者形成された怪奇現象。それを私たちは怪異って呼んでるの」

「それただの犯罪グループじゃないか?怪奇現象って……」


いまいち話が見えてこない。それなら警察に任せれば済むだろうに。


「主犯も共犯者も人じゃないわ」

「…え、は?」

「怪異が人型に具現化するの。夜になると力を増すのよ」


怪異が人型に具現化…。

つまり、主犯も共犯者も人ではなく怪異そのもの。

怪異が形をもって人々に影響を与える…と。


「まぁ、おおよそは理解できた。で、怪異が現れたらその共犯者と主犯をどうにかして解決と」

「そうよ!話が早くて助かるわ!」


にしても怪奇現象ねぇ…去年は引きこもってたから気づかなかったのかな。

落ち込んでるシオンの耳に椿の元気な声が入る。


「で!その解決を私たちと一緒に手伝って欲しいの!」

「ちょ、声がデカイわ!変な目で見られたらどうすん……あれ?」


ここはカフェなのだ。

人目を気にせず元気な声で変なことをいう椿を注意しようとしたのだが、さっきまで居た数名の客がもういない。いるのは俺と椿だけ。


「俺たちだけじゃん。そんな一気に減るもんかな…」

「あぁ、もう日が沈んだのね」

「日が?何か関係してんのか?」

「日が沈んだらこのお店は閉めるの」


閉めるのじゃねぇよ。何で堂々と居座ってんだ。帰ろうぜ…。


「じゃあ、俺たちも…」

「言ったでしょ?ここは事務所だって」

「え?」


たしかに言っていたな。ここに来るまでに、椿は行き先を事務所だと、そう説明していた。


「ふふふ、そう…ここは怪異解決を目的とした集団の事務所よ!!その名も「すめらぎ怪異探偵事務所」よ!」

「あぁ……はい」


自分でももう少しいい反応しろよと思った。

それよりも、


「集団ってことはお前以外にいるのか?」

「えぇ!もちろん!みんな顔なじみよ!」

「顔なじみ…って、まさか」


あいつらか?と問う前にドアがカランコロンと鳴った。

目を向けると、あいつらがいた。


「おぉー!シオンだ!本当に連れてきたんだな椿!」

「もちろんよぉーかえでー!私を誰だと思ってるの!」


一番最初に入ってきたのが俺が通ってる学校の女子制服を着た、知り合い。かえでだった。相変わらずうるさくて安心したけど不安。

かえでに続くように入ってきたのは同じ制服を着た花奈だった。ほわほわしてる。相変わらずほわほわしてる。


「やぁーシオンくん!久しぶりー」

「や、やぁー……」


まさか花奈が「やぁー!」とかいう挨拶をするとは思わず微妙な返答をしてしまった。

もう少し嬉しそうな反応してやれば良かった。すごい心配そうな顔されてる。


「あれ?元気ないのかシオン!元気出せ!」

「うるせぇな、お前はもう少し元気なくせ」

「お!良かった!いつも通りだ!」


うるせぇ奴のうるせぇ声でいつも通りの調子に戻れた。

ありがとな。うるせぇ奴。

久しぶりの再会を喜んでるところに、先程まで食器をカチャカチャ片付けていた店員さんが来た。

もっとも、みんなと同じ制服を着た顔なじみの店員さん。


「うるさいわね、かえで。騒がしくてごめんね」

「いや気にしてない。というか、ここの店員だったのか華恋」

「まさか気づかないとはね……」

「い、いや…まさかいるとは」


少し落ち込んだ華恋をみて罪悪感が半端無い。

ごめんね。

一通り挨拶をすませ、落ち着いて見てみるとみんなそこそこ変わっている。

椿はショートだった髪が肩までになってるし、かえでは…昔ほどの荒々しさが無い。まぁちょっと女の子っぽくなった。花奈も髪が少し伸びて肩に大いにかかっている。あとアホ毛が生えてる。華恋は髪の長さは変わらないが隠れてた右目があらわになっている、しかもくせっ毛みたいで両端がピョコンと跳ねてる。メイドの時は髪を整えてたから気づかなかった。

ちょっとした変化になんかドキドキしてる。

そして、仕切り直すように椿は言った。


「よし!揃ったわね!」

「よっしゃ!じゃあ早速この前の怪異について」

「おおおおお、ちょっと待て」


よっしゃ!じゃねぇから。まだ不安だらけだっつーの。

俺の意図を汲み取ったのか華恋が代わりに言ってくれた。


「解決の仕方についてまだ説明してないでしょ?」

「おぁ…!そっか!」


流石です華恋様。感謝の眼差しを俺の隣に椅子を持ってきて座っていた華恋に向けた。

黙って親指をあげてくれた。イケメン。惚れるわ。

その後、俺の疑問にかえでが答えた。


「まぁ、力技?」

「いやいやいやいや、相手は怪異そのものだろ?力で対抗できるの?」


人ではないし、人々に影響を与えるというあたりそれなりに力は持っているだろう。そんな相手にいくら運動バカだろうが敵うのか?

俺の質問に今度は椿が答えた。


「私たちはね、夜になると…もっと言えば月明かりを浴びると、覚醒するの」

「だぁー、お前はそうやって結論から言うー」


具体性のない椿の説明に呆れていると、花奈が代わりに説明してくれた。


「今のところ確認出来ているのは輝夜島の出身の人、あの被害に遭った人達に見られている症状なんだけどね、月明かりを浴びると各々の持っている能力が出るの」

「の、能力…?」


それも輝夜島の事件の被害者ね。俺たち5人以外の島民は船で逃げていたから実際の被害はあまり浴びていない。この場合の被害者は、その衝撃波を食らった奴らって認識でいいかな。

それよりも、能力について。花奈が続けて説明した。


「能力の他にも身体能力が著しく強化されます。ここにいる全員、あなたを含め、みんな持っています」

「俺も持ってんのかよ…」


驚いた。信じがたいが花奈が言ってるし、信じるしかないわ。大方わかったが自分の能力はまだ知らないな。

その後少し落ち着いた雰囲気をぶち壊す椿の声が聞こえた。


「私はね!勘を当てる能力を持ってるわよ!」


ほう、やたらと鋭い椿にあっている。なんならその能力要らなくね。

と、続けざまにかえでが、


「私は獅子が宿る能力!」

「しっ……!?」


ただでさえ馬鹿力なこいつに獅子の力が宿る??

かえでの潜在能力がこの能力を与えたのだろうか。

にしても、能力にも色々種類があるのか。


「花奈は?」

「え、えぇと、つるぎの能力だよ……」


花奈は少し気恥ずかしげに言った。

剣?一番シンプルだが一番謎だ。

でも花奈に合ってるな。でも詳しい説明を要求します。


「あ、なんていうのかな…どこでも剣が出せたり、する……」

「そうなのか?お前にとっては便利だな」

「で、でも…地味じゃない?」


たしかに、獅子が宿ったり、100%勘が当たるとかより見劣りするが…


「お前それ以上剣道強くなってどうすんだ」

「ぅぇっ…えぇ…!?」


素でこの子は怪異に真正面から立ち向かえるぜ?

何ならどこでも剣が出せるってだけで最強だぜ?

まぁ、一応フォローする。


「剣道最強の花奈が常に帯刀出来るんだ。頼もしいよ」

「そ、そう?そう言ってもらえると助かる……」


アホ毛がピョコピョコして、少しご機嫌になったみたい。良かった。ほわほわしてる。

で、最後に


「華恋。お前は?」

「察知する能力ね。敵の場所が分かったり、気配を感じ取れるわ」


華恋は元メイドだけあって主人を守るためにそれなりの技は持っている。近接格闘術と言ったか。軍人さんとかがよく使う。

で、察知するっていうことは恐らく、相手の攻撃もだろう。つまるとこ攻撃が当たらないということだ。

……え?


「つよっ…」

「……ありがとね」


もう下手な事言えない。言った日には殺されそう。

その後華恋が続けるように、


「まぁ、これが私たちの能力よ。使えるのは月明かりがある時。新月とか曇りの日じゃ使えないわ。そのかわり怪異は夜である限り力は失わないから気をつけた方がいいわ。それに、能力や人によって使える回数とか、持続時間とか変わるわ。だいたいはこんなところよ」


ふむ、なるほど。

簡単かつ具体的な説明ありがとう、と伝える。

と、まぁ、こいつらの能力と能力について分かったのはいいが、


「俺の能力も気になるなぁ……」

「じゃあちょうどいいわね!」


思いついたように椿は言った。


「これから解決に向かうのよ。一緒に来たらどうかしら?」

「え、起きてるのか?怪異」


そういえばそうだ。怪異について何か話し合うところだったか。


「3日前に起きたんだけど、主な被害者は小学生」

「小学生!?」

「えぇ、どうやらここ最近、夜になるとどこからともなく良い香りがするの」


良い香り?花粉症で気づかなかった……。


「で、その香りが少年少女たちを無意識に誘っているみたいなの。で、気づいたら変な森にいた、っていう怪異」

「え、それだけ?死傷者とかは…」

「出てないわ。怪異で誰か怪我を負ったってのはないみたい」


相当いたずらな怪異みたいだ。聞いてみればそのあとみんなちゃんと家に帰れてるみたいだ。少しは安心した。けれど、


「いやな怪異だな。それ…」

「芳香怪奇っていうの。香りで人に何らかの影響を与えるの。タチが悪いでしょ?」

「で!それを解決しにいく!」


やる気満々でかえでは言った。椿の言う通りタチが悪い。でも危険性が少なくて安心だ。


「よし、分かった。解決に向かおう」

「もう大丈夫なの?」


立ち上がった俺に花奈が聞いた。

そんな花奈の一途な心配を無視して椿とかえでは


「じゃあ行きましょ!」

「よっしゃ今度こそ行くぜ!」


華恋も呆れたように笑ってる。

とても今から戦いに行く雰囲気では無いが、ともあれ俺の第1号怪異だ。

頑張るか!


全員、荷物をカフェにおいて夜の街に繰り出した。

その日は綺麗な満月だった。

次回ようやく解決ですねー


感想くれるとありがたいです!


じゃあ、第6話で!

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