執事はハーフエルフ(38話)
俺は執事とラーソン先生を交互に見比べた。
正直・・・、二人は似ていない。
「姉上!人前で抱き着くのは、およしください!」
「まあ、冷たいわね~。小さい頃は、私がおしめを替えてあげたのに。」
二人は仲が良いみたいだ。
詳しい話を聞こう。
「あのー、お二人は姉?弟?ですか。じゃあ、執事さんもエルフですか?」
「いえ、私はハーフエルフです。父がエルフで、母が人間です。」
「するとお二人は母親違いの?」
「うふ!そうなの!この子が小さい時は、私が面倒をみたのよ。」
どうやらラーソン先生と執事は年が離れているらしい。
見た目は、執事が年上でラーソン先生が下に見えるけど、ラーソン先生が姉なのか・・・。
ラーソン先生は、純粋なエルフだから老けないのだろう。
ラーソン先生が続けた。
「それでね!私は、エルフの里に帰るのだけど、ちょうど通り道だから、あなた達と一緒に行く事にしたの。よろしくね!」
戦力が多いに越したことはない。
大歓迎だ!
「大歓迎ですよ。ラーソン先生が一緒なら、心強いです!」
そうすると、魔法使いが、俺、執事、ラーソン先生の三人。
楓、リナが接近戦要員・・・。ちょっと足らないかな?
「執事さん、戦力的にちょっと不足だと思うのですが・・・。」
「ご安心下さい。200名連れて行こうかと思います。」
「はい?!200名!?そんな大人数を、ぞろぞろと率いて行くのは、ごめんですよ。」
「いけませんか?」
「もう少し人数を絞ってください。モンスター討伐は、一か所だけじゃないですよね?」
「はい、出来るだけ沢山回って頂きます。」
「なら、小回りの利く人数の方が移動が速くて良いでしょう。」
「む、なるほど。確かにおっしゃる通りですね。」
執事が顎に手を当てて考え出した。
俺としては、楓とリナとの旅行も兼ねているので、大名行列みたいなのは勘弁して欲しい。
「それでしたら、精鋭10名程度にいたしましょう。」
「そうして頂けるとありがたいです。」
良かった。執事は納得してくれたみたいだ。
「それと・・・、颯真様は、井ノ口様や大道様とお話になりましたか?」
「はい。井ノ口さんとは午前の剣の訓練で話しました。大道とは挨拶程度です。」
「何か聞いておりませんか?」
執事の目付きが険しくなった。
なんだ?あいつら何かやらかしたのか?
「いや、特にはなかったと・・・。」
「お住まいの事や召使の事は?」
「ああ、そう言えば、支援者の方が住む所や召使を手配してくれたって言ってました。」
「ふむ。」
「えーと、召使の名前は・・・、そうそう、ベアトリスさん。奴隷らしいですよ。」
「それは・・・、ただの奴隷でございましょうか?」
「うーん、井ノ口さんはお手伝いさんって言ってましたが、明らかに男女の仲って雰囲気でしたね。」
俺は、ちょっと冷やかすように、笑いながら執事に話したのだけれど、執事はかなり険しい表情をしている。
「どうかしましたか?奴隷に手を出すと、罪に問われるとか?」
「いえ、その様な事はございません。まあ、その、井ノ口様もお住まい探しなど大変だろうと、少し心配になりまして・・・。」
何だろうな?
執事は何か隠してるっぽいんだけど。
「颯真様は、何かお困りはございませんでしょうか?」
「俺は、楓やリナがサポートしてくれているので、大丈夫ですよ。」
「かしこまりました。ご不便があれば、何でもお申し付けください。」
リナが木の上から、大声で話して来た。
「ねー!いつ旅行に行くのー!」
旅行じゃないんだけどね。
俺は苦笑しながら執事に聞いた。
「モンスター討伐の出発はいつ頃ですか?」
「叙任式の2、3日後、準備出来次第なるたけ早くです。」
「わかりました。」
また、リナが木の上から、大声で話して来た。
「ねー!お腹すいたー!」
リナの一言で今日の訓練は終了になった。
家に帰ると楓が東の武士団の料理を作ってくれた。
米、味噌汁、醤油、の久しぶりの日本風の夕食に満足した。
夜は楓の番で、こちらも濃厚で満足した。





