表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/75

銀騎士の給料はおいくらですか?(37話)

「我がやいばとなり、我が敵を切り裂け!ウォーターカッター!」


俺は気分を出す為に、呪文らしき事を口に出して、水魔法を発動した。

本当は呪文なんかとなえなくても、魔法は発動するんだけど、ヒマなので・・・。


俺の指先から高圧で放たれた細い水流が、目の前の木の枝を切り落とした。


「ヒマだ・・・。」


どうしてこんなヒマなのかと言うと、俺は魔法訓練を、初日の1時間で卒業させられてしまった。


魔法の先生は、エルフだった。

先生の名前は、クリスチーナ・ラーソン。


ラーソン先生は、震えが来る程の美人だったが、どうせ実年齢は100才越えなんだろう。

俺はエルフが長寿である事を知っていたのだが、大道だいどうなんかは一生懸命ラーソン先生に独身アピールしていた。

俺は、大道だいどうの夢は壊さないでおこうと心に誓った。


訓練が始まって知ったのだが、エクスピアの魔法はあまりバリエーションがない。


火炎系の魔法は、ファイヤー、ファイヤーボール(単発)、複数攻撃のフラッシュオーバー、これしかない

ヘルファイヤがあるにはあるけれど、イチロー・タナカが使ったと本に書いてあるだけで、使い手は俺で歴史上二人目だそうだ。


俺は火炎系の魔法は全部使えるから、今日は水系の魔法を教わる事になった。

ところが、水系の魔法は二しかない。


水の盾を作るウォーターシールドと水の壁を作るウォーターウォール、これで終わり。

なんでも水系魔法は、火炎系魔法への防御魔法として開発された為、バリエーションが少ないらしい。


俺はこの二つをあっさり覚えてしまい、ラーソン先生から卒業を言い渡されてしまった。

そこで、城外北側の軍の演習場で、大規模魔法でもなんでも好きに自習してくれ、という事になった。


ちなみに回復魔法は、ラーソン先生に回復役ヒーラーでなければ、覚え無くて良いと言われた。

魔法使いの間でも、縄張りとか役割分担があるのかね?

まあ、その内誰かに教われば良いや。


木の上で見張りをしているリナが大きな声で伝えて来た。


「ねーそうまぁー。人が二人来るよぉー。執事さんだぁ~。」


かえでとリナは、午前中で部屋の片付けを終えていたので、護衛として付いて来てもらった。

リナは豹族らしく、スルスルと木に登って行って周囲の見張りに、かえでは少し離れた場所で控えていた。


しばらく待っていると、ラーソン先生と執事がやって来た。


「いや~颯真そうま様!さすがでございますな!既に水魔法もマスターされたと伺いました。」


執事はニコニコと嬉しそうだ。


「はい。今は新魔法の開発をやってます。」


「ほう・・・。拝見しても?」


俺は手近な木にウォーターカッターを発射した。

木の枝に水流が激突して、枝を切り落とした。


「おお!水の攻撃魔法を開発されましたか!」


「はい。ウォーターカッターって言います。自習みたいだから、魔法のバリエーションを増やしておこうかと・・・。」


本当はヒマなだけなんだけどね。

まあでも、雨が降れば火炎魔法の威力は落ちるだろうし、ヘルファイヤも莫大な魔力を使うから連発出来ない。


攻撃魔法のバリエーションが増えるのは、悪い事じゃない。

それに、風魔法とか土魔法はエクスピアにはないみたいだけど、開発してみようと思ってる。


「なるほど。大変結構でございます。ところで叙任式ですが、七日後と決定いたしました。」


ついに来たか!

いよいよ役職付き、部長就任って感じですかね。


「わかりました。」


颯真そうま様は銀騎士シルバーナイトに叙任されます。銀騎士シルバーナイトは、月に金貨10枚が支給されます。」


はい?!


「えーと、月に金貨2枚じゃないですか?」


「それは騎士でございます。颯真そうま様はそれよりも上位の銀騎士シルバーナイトなので、月に金貨10枚です。」


「・・・。」


予想外だ。

まあ、沢山お金をいただけるのはありがたいけど、あんまり高い地位を頂くのは正直ビビル。


銀騎士シルバーナイトは、現在近衛騎士団長お一人だけでございます。つまり、剣士・戦士のトップが近衛騎士団長、魔法使いのトップが颯真そうま様と言うのが、今後エクスピアの軍体制です。」


いやいや、聞いてないから。

軍の魔法使い部門のトップとか、待って欲しい。


「俺みたいなのが、魔法使いのトップで良いのですか?」


「ヘルファイヤを使えるのは、颯真そうま様ただお一人ですよ?颯真そうま様がトップでなくて、誰がトップでございましょう。」


「いや、どんな魔法が使えるか、と言う意味ではなくてですね。会議とか、人をまとめるとか、そう言うのは苦手でして・・・。」


「ご心配には及びません。戦闘になったら作戦会議はございますが、普段は特にございません。軍をまとめるのは、騎士団全体でやります。」


「じゃあ、俺は看板と言うか・・・。」


颯真そうま様は、王国一の魔法使いとして、大きく構えていらっしゃれば、よろしいかと。雑事は他の者にお任せください。」


「・・・わかりました。」


正直、断りたいとも思ったけれど、今更無理だろうな。

よし!基本はこれだ!


きにはからえ!


面倒くさいのは、ごめんだからな。

執事の言う通り、細々した事は人任せで良いだろう。


「それと、国王陛下から、エクスピア北部地域のモンスター討伐を依頼したい、とお言葉を預かっております。」


「モンスター討伐?」


「はい。実は二月前から、北部地域でモンスターがあちこちで出現しておりまして、地方領主から討伐の相談を受けておりました。既に被害が出ております。」


「誰か殺された、とかですか?」


「はい。領民や兵士がモンスターに殺害されております。」


なるほどな!

それは可哀そうだ。

これ銀騎士シルバーナイトとしては、引き受けなきゃならないんだろうな・・・。


「そのモンスターは強いのですか?」


「いえ、颯真そうま様の相手ではございません。」


うーん。本当か?

どうしたもんかね。


颯真そうまぁ~!旅行に行くのぉ~、リナも連れて行ってぇ~!」


リナが木の枝に足だけでぶら下がりながら、アピールしてきた。

パンツが丸見えですよ・・・。


それに旅行ではないのだけどな。

と考えていたら、執事が勝手に話を進めだした。


「リナさーん。リナさんもかえでさんも一緒ですよ~。颯真そうま様をお手伝いしてくださーい。」


「やったぁ~!旅行楽しみぃ!モンスターは、リナがやっつけるぅ!」


ちょっと!あなた達は!

勝手に話を進めないで!


「ご主人様、北部地域は私も初めてです。楽しみです。」


かえでも乗り気だね・・・。

うーん。


「まあ、颯真そうま様、そう深くお考えにならずとも大丈夫です。準備は私の方でいたします。それに、これから夏になりますとあつうございますので、避暑のつもりでお引き受け下さい。」


・・・避暑か。

まあ、それはありだよね。


かえでもリナも行きたがってるし、モンスターもたいして強くないみたいだし、まあ月に10枚も金貨を貰う訳だから給料分働きますか!


「わかりました。では、かえでとリナも連れて、討伐に行きましょう。あっちゃん達は、一緒ですか?」


あつし様は、回復役ヒーラーがご希望との事でしたので、王都に残って回復役ヒーラーの訓練を受けていただきます。私と姉が同行させていただきます。」


「姉?」


と聞き返したところで、ラーソン先生が執事に抱き着いた。


「ふふふ・・・。坊やと旅行なんて嬉しいわぁ~!」


「・・・姉上、子供扱いはやめて下さい。」


はぁ!姉上?

じゃあ執事はエルフなワケ??


1/1もブックマークをいただきました!

ありがとうございました★

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★☆★ランキング参加中です!★☆★

クリック応援よろしくお願いします。

小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ