わたしぃ、颯真とエッチしたのぉ(32話)
「そうまぁ~!朝だよぉ~!おはようのきしゅぅ~!」
「うおっ!おお・・・。」
俺は、リナの声とキスで目が覚めた。
「ふふふ・・・、そうまぁはね。お腹出して寝てたよぉ。」
リナがベッドの上にうつ伏せになって、機嫌良さそうに尻尾をユラユラと揺らしている。
俺に小悪魔的な笑顔を向けている。
昨夜のリナは女豹だった。
俺はリナと関係を持つことを躊躇った。
リナが子供っぽく見えるので、なんとはなく、罪の意識を感じたし、楓に悪い様な気もしたのだ。
楓はリナと相談して一日交替で俺の夜の相手のローテーションを組んでくれたのだが、そう言う事が、果たして許されるのか悩んでしまった。
だが、女豹となったリナは逃してくれなかった。
俺はリナの餌食になった。
・・・すごい良かったッス!
「ねぇっ!もう一回ちゅうぅ!」
リナが上から俺に覆いかぶさってきた。
「・・・ん。」
リナと唇を合わせる。
幼い見た目に似合わずリナのキスは凄いと言うか、とにかくキスだけで感じさせられてしまう。
俺は、煩悩を振り払って朝の支度をする事にした。
昨日の朝は、楓としていた為、城への出仕が遅れてしまい、あっちゃんと執事から、冷やかされてしまった。
何度もあれはまずい。
リナは服を着替えに自室に戻り、俺は服を来て1階のキッチンへ降りた。
楓がせっせと朝食の支度をしている。
俺は楓に対して気まずいのだが、思い切って朝の挨拶をした。
「楓!おはよう。」
振り向いた楓はツカツカとこちらに近づいて来た。
やばい!リナと寝たのは、なんだかんだで楓でとしては、面白くないのか?と俺は身構えた。
楓は俺の正面に立つと俺をグイッと引き寄せ、キスをして来た。
えええ?!このタイミングで?!また?!
訳が分からない。
なぜこのタイミングで俺にキスして来るんだ?
昨日に続いて、又、だ。
楓は俺の口に舌を差し込むと、強引に舌を出し入れして来た。
最初、混乱した俺だったが、徐々に楓に合わせて舌を出し入れした。
長いキスが終わると、楓は両手を俺の首に巻き付けたまま、笑顔で朝の挨拶をしてきた。
「おはようございます。ご主人様。今夜は私を可愛がってくださいね。」
*************
城に着くと執務室へ楓とリナと三人で向かった。
執務室は家具が入ってすっかり立派な部屋になっていた。
「しゅごぉーい!」
リナは大はしゃぎで、ソファにゴロンと転がたっり、仮眠用のベッドで飛び跳ねたりしている。
俺の執務用の立派な机がドン!その手前、入り口から見えるところにアシスタント用の机が用意されている。
今は空っぽだが、本棚や食器やお酒を入れる棚もある。
応接用の3人用のソファが2つ、一人用のソファが2つ、応接テーブルを囲んで配置されてる。
窓際には、ちょっと大きめの食事や作業が出来るテーブルが一つ。部屋の奥には、仮眠用のベッドが衝立に仕切られて目立たない様にセットしてある。
椅子は空いている壁際に多めに配置されていて、ちょっとした会議ならここで出来そうだ。
全体的に重厚過ぎず、かといって安っぽくない印象で、若い俺には丁度良い。
ブリューナに任せたのは正解だったかもしれない。
「楓はこの机を使え。」
「よろしいのでしょうか?」
「リナは気ままにその辺でゴロゴロしてるだろうから、アシスタント席は楓の席で良いいだろう。」
「はい。ご主人様ありがとうございます。」
楓は、自分の席が出来て嬉しそうだ。
「ご主人様、今日はいかがいたしましょうか?家の荷物の整理や掃除を済ませたいと思っているのですが、リナを執務室に残しましょうか?」
そうなのだ。
家の方は、ベッドやら机やら大物はセットされていたのだが、皿とか細かい物は、木の箱やカゴにまだ入ったままなのだ。
俺は困らないが家事をする楓が困る。
「今日は家の整理を頼む。俺は訓練で一日城にいるから、護衛はなしで大丈夫だろう。リナ!楓を手伝って家の片づけな!」
「はぁ~い!」
リナが元気に返事をしたが、どれくらい家事の戦力になるかは未知数だ。
なんとなーく、だめそうな気がする。
それと俺は気になっていた事を、楓に相談する事にした。
「楓、ショウユってわかるか?黒い塩辛いソースなんだ。東の方にあるらしいのだけど・・・。」
「ああ、醤油ですね。王都で扱っている店がありますよ。」
やった!やった!やった!
大正義醤油ですよ!
ずっとエクスピア風の塩味系料理だったから、正直飽きて来たんだよね。
イチロー・タナカさんの手紙に東の方に醤油があるって書いてあったから、ダメもとで聞いたんだけど、いや~良かった!
「それ!今日買っておいて!俺の国では醤油で味付けするのがメインなんだよ!」
「私の故郷、東の武士団も味付けは、醤油ですよ。じゃあ、今夜は私の故郷の料理にしましょうか?」
「いいね!ひょっとして、米?味噌とかもある?」
「はい、手に入りますよ。ご主人様は、お米がお好きなんですか?」
「うん!白いご飯に味噌汁!」
「かしこまりました。では、今晩は、東の武士団風の食事を用意いたします。」
本当に嬉しい!
今日でこの世界に来て7日目だけど、思ったよりも早く日本食にありつけそうだ。
楓はニコニコ笑っている。
故郷の料理を食べるのが嬉しそうだ。
リナはソファにゴロンと転がりながら、こちらの話を聞いて、楓の料理に期待した顔をしている。
「それ、僕もお願いしていいですか?」
あっちゃんが、満面の笑みで顔を出した。
「おー!あっちゃん、おはよ!」
「おはようございます、颯真さん。楓さん、お金出しますから僕の分も買ってください。銀貨2枚くらいで大丈夫ですか?」
あっちゃんは、楓に銀貨を握らせた。
「はい!一緒に買っておきます!」
これをきっかけに、オレ、あっちゃん、楓で、朝から料理談義が始まってしまった。
俺が豚の生姜焼きの話をしたら、楓は作れそうだと言ってくれた。
大正義!豚の生姜焼き定食だ!
楽しみが増えた。
リナはニコニコと三人の料理談義を、俺達の横に来て聞いていた。
あっちゃんがリナに話しかけた。
「リナちゃんだよね?昨日は話し出来なかったね。僕は敦です。よろしくね。」
リナが幼顔のせいだと思うが、あっちゃんは子供に話す様な調子で、リナに挨拶した。
リナは、話しかけられたのが嬉しかったんだろ、甘える様な声を出した。
「よろしくねぁ~。あつしはぁ~、そうまぁと仲良しなのぉ?」
あっちゃんがニコニコと、親戚の子供に話しかけられた様に返事した。
「そうだよ。僕はね、颯真さんと同じ部屋にいたんだよ。」
「あたしもぉ、昨日同じ部屋だったよぉ。」
「・・・。」
いかん、あっちゃんの顔が凍り付いてる。
リナいけない!その先は言ってはいけない!
「うふふぅ~、あたしね。昨日颯真とエッチな事したのぉ。」
リナが嬉しそうにピョコピョコ跳ねている。
あっちゃんは、目をつぶって、何かブツブツ言っている。
ダメだ!
真面目なあっちゃんは、絶対俺の置かれている状況を許してくれない。
楓が口を開いた。
「さ、リナ、お家の片付けに行きましょう。」
「うん!じゃあ、そうまぁ、ばいばい!今夜は楓の番だから間違えないでねぇ~。」
お前ら絶対ワザとだろう・・・。
部屋には俺とあっちゃんだけが残った。
「颯真さん、どうなってるんですか?」
俺は、その後たっぷりとあっちゃんに説教された。