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異世界召喚 魔法と剣の国エクスピア  作者: 武蔵野純平
新生活と新たな出会い(2章)
13/75

従者を募集いたします (12話)

「そろそろ行きましょう。」


クロードに声を掛けられて、俺とあっちゃんは井ノ口さんの病室を後にした。

廊下に出ると大きな声が聞こえてきた。


「ここには美人の看護婦がいないのか!」


あ、大道ダイドウだ。

あいつ生きてたんだ。


「俺は王都防衛戦の英雄だぞ!美人を連れ来い!美人を!」


あっちゃんは、大道ダイドウの話す事を聞いて、かなり軽蔑したようで、ため息交じりに吐き出した。


「なんか、僕ら異人が全員あんなのだと思われたくないですね。」


「・・・早く行こう、俺達は他人だ。」


大道ダイドウも騎士になるんだから、もうちょっと品のある立ち居振る舞いをして欲しい。


前の世界でもあんな感じだったのかな?

下請けにお色気接待をゴリゴリ要求するタイプと見た。

あれ、領収書落ちねーんだよな。最近は。

とにかく早足で立ち去る事にしよう。


歩きながらクロードに尋ねる。


「この後の予定は?」


「これから街に出ます。金貨を銀貨や銅貨に両替してください。」


「街で金貨は使えないのか?」


「余程の高級店でない限りは。お釣りがないですよ。」


なるほどな。

クロードが続けて教えてくれた。


「銅貨100枚で銀貨1枚。銀貨100枚で金貨1枚です。」


「金貨はどこで両替する?」


「内門の横に両替所があります。」


内門の入り口の両替所で、金貨1枚を銀貨と銅貨に両替してもらい、ジャグラールの腕輪に収納した。

しかし、お店が開いているのだろうか?

午前中に戦が終わったばかりだ。


「なあ、クロード、街に出るのはいいけど、お店やってるの?」


「もう、店が開いてますよ。商人は逞しいですからね。包囲軍の略奪もほとんどなかったみたいですよ。」


そうか、包囲軍とナバール卿はグルだったから、王都は荒らさない様にしたんだろうな。

俺たちは橋を通って外門から街へ向かった。


外門の先の広場は、俺が大規模火炎魔法ヘルファイヤを使った所だけれど、既に綺麗に掃除されていた。

広場の先には美しい街が広がっていた。

白い壁とオレンジ色の洋瓦の屋根がなかなかかわいい。

俺は観光気分で街を歩いた。


しばらく歩くとクロードは大きい建物に入りながら話し出した。


「ここは冒険者ギルドです。ここで従者を募集して下さい。」


「え?従者?」


「はい。颯真様そうまは、騎士におなりになるんですよね。身の回りを世話する従者が必要ですよ。」


「それは、必ず必要なのか?」


「いなきゃおかしいでしょう。戦になれば、この前の私みたいに盾を持ったり、一緒に戦ったりもしますよ。」


「そうか、それなら従者を雇うか。」


身の回りの世話をする従者なんて雇ったことがない。

けど、クロードの言う通りで、一緒に戦ってくれる人間は必要だ。

従者じゃなくて、部下を雇うと思えばいいか。


クロードは、カウンターのお姉さんに何か話してから、俺達を手招きをした。

俺とあっちゃんは、カウンターの椅子に座った。


「ヤッホー、ロザリーだよ。よろしくー。」


颯真そうまです。よろしく。」


あつしです。よろしくお願いします。」


「事情はそこの人に聞いたよ。従者を雇うんだってね?騎士だろう~、若いのにすごいね。」


なんかフランクと言うか、砕けていると言うか・・・、まあ、俺はロザリーさんみたいな人が嫌いじゃない。

けど、あっちゃんはきちんとしてるから、こう言う砕けた感じは苦手だろうな。

ここは俺がロザリーさんと話を進めよう。


「それはどうも。初めてなんでシステムがわからないのですが・・・。」


「オッケー。ここは冒険者ギルドね。大陸のそれなりの街なら支部がある。ここは本部ね。で、モンスターが出たとか、盗賊を退治して欲しいとか、護衛が欲しいとか、そういうのはウチに依頼が来るワケ。依頼が来たらあたしらが登録してる冒険者に声をかける。そういう感じ。オッケー?」


「わかりました。」


「あんたたち二人魔法使いなんだろう?だったら従者は腕っぷしのあるヤツがいいね。ちゃんと護衛役になるヤツ。」


「そうですね。」


なんかドンドン話を進めてくれるな。

正直助かる。


「どうするシルバーメダル以上にしとく?」


「シルバーメダル?」


「ギルドに2年以上登録しているヤツだよ。実戦経験のあるヤツだね。」


おー、なるほど、そう言う制度があるのか。

そうだな、経験者募集の方が良いだろ。


「良いですね。じゃあ、シルバーメダル以上でお願いします。」


「相場は、月に銀貨2枚ってとこだね。でもオススメは、月に銀貨3枚、多めに出して募集しな。」


「なんでですか?」


「あんたらは異人で、スゴイのを包囲軍にブチかました魔法使いなんだろ?だったらキツイ現場に行くこともあるんじゃないの?だったら多めに出して、腕ききに来てもらった方が良いよ。」


俺とあっちゃんは、顔を見合わせて考え込んだ。

確かにな。今後の事を考えたら多少多めにお金を払っても、腕の良い人に来てもらった方が良い。

横で聞いていたクロードが、アドバイスして来た。


「私も賛成です。お二方に釣り合う腕のあるヤツを雇った方がいいですよ。」


よし!ロザリーの提案にのろう。


「わかりました。じゃあ、月に銀貨3枚で募集してください。」


「そっちのお兄さんもそれでいいかい?」


あっちゃんが、納得をした顔してうなずいた。


「じゃあ、ギルドが貰う手間賃が、お一人銀貨1枚!前払いでよろしく!」


相場がわからないけど、良い人材を集めるのに金がかかるのはしょうがない。

俺とあっちゃんは、腕輪を使って銀貨を取り出し、ロザリーに支払った。


「じゃあ、早速募集かけるから、明日夕方に顔出してくれよ。」


「そんなに早くですか?」


「ここは王都だからね~。登録してる人も多いわけよ~。明日、夕方ね~」


「わかった~。よろしく~。」


ギルドから出ながらクロードに聞いた。


「そんなに早く従者候補を集められるのかな?」


「泊ってる宿屋とか、たむろしてる飲み屋とか、彼らは良く知ってるのですよ。それに仕事が欲しいヤツは、午前中にギルドに顔を出します。従者は早く決めた方がいいです。」


あっちゃんも話し出した。


「あのロザリーさんて方、意外と有能な人かも知れませんね。」


あっちゃんは、ロザリーへの認識を改めた様だ。


「そうだな。積極的に提案してくれたもんな。」


「僕らは良くわからないから、正直助かります。」


「良い人が集まるといいね。」


あっちゃんが、真剣な顔をして聞いてきた。


「颯真さん、どんな感じの人がいいですか?」


「やっぱ戦士タイプかな。力があって自分の前でしっかり戦ってくれる人。」


「やっぱりそうですよね。護衛にもなるし安心ですよね。」


クロードが良かったけれど、隊長をやる様な人間なら従者を頼む訳にはいかないしな。

橋の上の戦いを思い出すと、やはり魔法使いは接近戦は弱い。


俺もヒーロー研究会ではアクションや木刀を使って殺陣たての稽古をしたけれど、あれは段取りがあらかじめ組んであるお芝居だからな。

実戦とは違う。


あっちゃんなんて、接近戦はおろか、殴り合いのケンカもした事なさそうだ。

俺達には頼りになるパートナーが必要だ。


あっちゃんもその辺は意識してるみたいで、真剣に考えてる。

年齢が若いから、会社で採用に関わった事とかなさそうだもんな。


「性格的な物もありますよね?」


「そうだな、人間だから相性ってのはあるよね。」


「強い人でも、きつい性格の人は僕は無理ですね~。」


「会社なんかだと人物重視って採用もあるから、その辺はあっちゃんの好みで決めちゃって良いんじゃないかな。」


「そうですよね。身の回りの世話をしてもらうなら、一緒にいる時間も長くなりますもんね。」


気の合わない奴と一緒に働くのは結構苦痛だ。

営業みたいに外に出る機会が多いと、まだ良いけれど、内勤で気の合わない奴と一日中顔を突き合わせるのは、ホントに気が重い。


そう考えると仕事が長く続くかどうかなんて、職場の人間関係次第なのかもしれない。


「うん、そうだな、俺は戦いの強さと性格のバランス重視で選ぶ事にしよう。」


「そうですね。それが良さそうですね。」


話ながら歩いていると、クロードが1件の商家の前で立ち止まった。


「次は、お住まい探しです。」

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