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Empty World
不思議の国の彼女をみつけて
「この物語が終わらない方法を教えて‥」
気味が悪いほどの静寂のなか、少女は誰もいないようにしか見えない“何処か”に向かって呟く。
「ねぇあなたは“見ている”のでしょう?私の心を‥」
当然誰からも返答など帰ってこない。
だが、確かにそこにいる“誰か”の存在を少女は確信していた。
「あなたはこの物語を終わらせたいわけではない。むしろ私側の人間のように思うわ」
『‥‥‥』
「答えないのならそれでもいい。でも私では、あなたの望むエンディングには出来ない」
少女はそう言ってその“誰か”に背を向ける。
「あの子は死なせないわ」
少女の言葉は静寂の中に飲み込まれて儚く消え、少女も同様に冷たい暗闇のなかに姿を消した。
少女の名は“アリス“。
不思議の国で唯一無二、無条件に
すべての人間から愛される…不思議の国のアリスだった。
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