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付加勇者  作者: 河栗 凱浬
18/40

地下迷宮の主

遅くなってしまいました。

本日、二話目。

 翌日、どうするか話し合うことになった。

 3人で輪になって互いに意見をぶつける。

 一晩眠れたことで恐怖も少し和らいだから大丈夫だろう。


「単刀直入に言うけど、2人はどうしたい?」


 ルアとソウは互いに顔を見る。

 最初に口を開いたのはルアだった。


「あたしは戦いたいと思ってる。ここで一生過ごすのは正直嫌だから……」

「……わたしも、ここから出たい。出れる可能性があるなら、賭けたい。老いて死ぬぐらいなら、挑戦したい」


 決意の籠った目でこちらを見返す。

 本当にこの人たちはすごいな。


「お前ら、強いな」

「……そんなこと、ない。1人なら多分、諦めてる」

「あたしもかな」

「そっか。じゃあ、早速準備に取り掛かるか」

「わかった」

「ん」


 話し合いは特に揉めずにすんなりと進んだ。

 と言っても事前情報がまったくと言っていいほどないのだからしょうがないとも思う。

 2人には2人なりの考えがあるのだろうし。

 その後、俺は浸魔金(ヒタシマガネ)と神聖水を使って刀を作った。

 柄には神聖樹を使った。グリップのところは、神聖樹の葉を滑りにくく加工する。

 刀身は、浸魔金(ヒタシマガネ)と神聖水を混ぜて作った。刀を使いやすくするために血抜きの部分も作る。

 蝶華さんが教えてくれた理想の刀をイメージして作っていく。

 俺の2本とルアとソウに1本ずつ。

 一応、刀身は透明のままにしておいた。

 これなら相手も見にくいはずだ。いずれはちゃんとした色合いとか付けたいな。

 準備と言っても刀を作るだけだったから速めに終わった。

 いや、保険も一応作っておくか。

 暫くして俺たちは、さっきの場所に立っていた、


「そろそろ、行くか」

「うん」

「ん」


 2人の顔にはやはり緊張の色が見える。

 まずは、おそらく扉であろう場所を露出させる。


「「「土砂排除(エクスクルージョン)」」」


 そう唱えた瞬間、ボロボロとドアに付いていた土などが落ちていく。


「これは……」

「怯んでなんていられない」


 そして、そこに現れたのは重厚な黒い扉だった。

 でも、それだけじゃなかった。

 その扉は、嗤っていた。

 扉の上はピエロの2つに分かれた先の丸いカラフルなトンガリ帽子が場違い感を醸し出している。

 黒い扉に描かれたピエロの顔は不気味なくらいに嗤っていた。思わず怖気立つ。

 その扉を見るだけで恐怖を植えつけられる。今までの比じゃない。でも、ここで折れちゃいけない。

 俺は2人を見る。


「大丈夫、だから」

「……ん、負けない」

「開ける前に、神聖水は一応、手にもっといて」

「わかった」


 一応、ここで俺たちのステータスも確認しておく。



ソウ・ブランカ 15歳 女 Lv.7

体力 26/26

魔力 235/235

筋力 43

魔攻 94

防御 45

魔防 72

俊敏 53

持久 52

器用 37

幸運 40

称号

逃亡者、宝石、可憐なる者、賢者、灼焔の魔女

スキル

火魔法Lv.10、風魔法Lv.10、水魔法Lv.10、土魔法Lv.10、魔力操作Lv.10、魔力感知Lv.10、隠密Lv.9、気配察知Lv.10、魔力遮断Lv.9、魔力回復速度上昇Lv.10、身体強化Lv.8、体力回復速度上昇Lv.7、体術Lv.10、剣術Lv.7、縮地Lv.6、遠見Lv.8、恐怖耐性Lv.4、天駆Lv.5

ユニークスキル

状態異常無効、毒無効、並列思考、超思考加速Lv.3、炎獄魔法Lv.7、魔纒掌、幻炎魔法Lv.4、熔熱魔法Lv.5、熱風魔法Lv.4

状態

健康


ルア・プレッタ 15歳 女 Lv.3

体力 18/18

魔力 216/216

筋力 47

魔攻 85

防御 48

魔防 81

俊敏 51

持久 49

器用 41

幸運 60

称号

逃亡者、可憐なる者、視る者、賢者、絶零の魔女

スキル

氷魔法Lv.10、風魔法Lv.10、水魔法Lv.10、土魔法Lv.10、魔力操作Lv.10、魔力感知Lv.10、隠密Lv.8、気配察知Lv.10、魔力遮断Lv.8、魔力回復速度上昇Lv.9、身体強化Lv.6、体力回復速度上昇Lv.6、体術Lv.10、剣術Lv.7、縮地Lv.7

、恐怖耐性Lv4、天駆Lv.5

ユニークスキル

状態異常無効、毒無効、並列思考、超思考加速Lv.3、氷獄魔法Lv.7、魔纒掌、氷鏡魔法Lv.5、雹雪魔法Lv.5、零風魔法Lv.4

固有スキル

心読

状態

健康


河野龍鬼

リューキ・カワノ 16歳 男 Lv.5

体力 54/54

魔力 278/278

筋力 63

魔攻 82

防御 61

魔防 60

俊敏 78

持久 63

器用 53

幸運 100

称号

異世界人、勇者、パーフェクトボディ、羞恥を耐え忍ぶ者、賢者、霹靂(かみとき)使い

スキル

鑑定Lv.10、雷魔法Lv.10、光魔法Lv.10、闇魔法Lv.10、風魔法Lv.10、水魔法Lv.10、土魔法Lv.10、魔力操作Lv.10、魔力感知Lv.10、隠密Lv.10、気配察知Lv.10、魔力遮断Lv.10、魔力回復速度上昇Lv.10、身体強化Lv.10、体力回復速度上昇Lv.10、体術Lv.10、剣術Lv.10、縮地Lv.9、恐怖耐性Lv.5、天駆Lv.6

ユニークスキル

アイテムボックス、身体支配操作、完全隠蔽、秘密の会話、状態異常無効、毒無効、並列思考、二刀流剣術Lv.3、超思考加速Lv.5、雷獄魔法Lv.8、魔纒掌、電磁魔法Lv2、閃雷魔法Lv.6、雷惑魔法Lv.4、雷気魔法Lv.5

固有スキル

物理操作

恩恵スキル

勇者の心意気、天賦の才能

状態

健康



 スキルの数とかレベル10の数とかいろいろあったからスルーして欲しいとは思う。

 嫌でも6ヶ月間休まずに練習とかできたらこれぐらいはできるようになる。と、思う。事実なったんだからしょうがない。

 ユニーク以外の魔法系統は上がりやすい事がわかってからは捗ったのを覚えている。

 まあ、それはいいとして進まないと。


「じゃあ、開けるぞ」


 ギィ〜ッと甲高い音が鳴り響く。

 何年も開けられていなかった扉だってことはわかる。どのくらいかまではさすがにわからないけど。

 扉を開けると今まで感じてた恐怖とは比較にならない程のものが俺達を襲った。

 なんておぞましい。

 扉を通るのを躊躇してしまう。

 俺の脚や腕、全身の筋肉が震えるのを感じる。

 そんな俺の、腕を掴んでくれる存在がいてくれたことを感謝しないといけないな、と思う。


「……リュー、キ」

「……やっぱり、ここが」

「ああ、地下迷宮の主(ダンジョンボス)の部屋、だろうな」


 俺達は震えそうになる声を必死に抑えていた。それでも、抑えきれてないのかもしれないけど。

 もともと、予想しておくべきだったんだろうな。

 ここはダンジョンの中なのだ。

 ボスがいて当たり前じゃないか。

 でも、これはいくらなんでも……。


「……規格外」


 そう。

 理不尽と言ってもいいだろう。

 俺達が中に入った瞬間、ソレはいた。

 今までの覚悟がいかに楽観視していたのかがわかってしまう。

 もちろん、そんなつもりはさらさらなかった。でも、そう思わざるを得ない程のものがそこにはいた。

 体が強張ってしまう。

 俺達は黙ってソレの笑い声を聞くしかなかった。


「アッハハ、ハハハァ。アハアハハハハッ。ハハァ〜……」


 どこか嬉しそうに、楽しそうに、耳障りに笑いながらスキップしていた。

 部屋の中はドス黒く、ものすごい邪気を感じる。

 あまりにも、場違いな笑い声と、姿。

 姿は人の形をとっていた。

 服装はまさに道化のそれだ。

 頭の2つに分かれた帽子も身につけてる服も道化そのもの。ただし、ところどころボロボロで血にまみれている。

 手の爪は30センチぐらいに伸びている。あれが武器なのだろう。

 その容貌はひたすらに嗤っていた。口は裂けそうなくらいに三日月の形に歪んでいる。目を細めながらボロボロの顔をしわくちゃにして、おもちゃが来たことを喜んでいるように思える。

 肌は、爛れていて肉がところどころ見える。

 狂っている。こっちまで狂いそうなくらいに。

 今、こうしてる間にも、俺達の恐怖耐性のレベルが上がっているのがわかる。

 そのピエロは急に立ち止まり笑うのをやめた。

 そして、こちらをグルンッと顔だけをこちらを向く。

 真顔でずっと、凝視している。


「「「……ッ」」」


 俺達は動けない。

 金縛りにあったかのように。足を地面に縫い付けられたかのように。

 ピエロは目を丸くしていたがすぐに元の、いや、さらにその口角をゆっくりと上げていく。

 1秒にも満たないその動作がなぜかひどく長く感じた。


「……アハァ」


 凄惨に嗤う。

 直後、こちらに駆け寄る。

 速すぎる。超思考加速でやっと捕捉できたぐらいだ。ステータスが圧倒的に不足してるってことだ。


「動くぞ!!」


 そうは叫んでもこれは難しいだろうなと思いながら俺は自分の刀の1つを抜きピエロの大振りな爪を受け止めようとして、ドンッと吹っ飛ばされて壁に思いっきりぶち当たる。

 凄まじい力だ。

 すぐさま、握っていた神聖水を飲んで立ち上がる。


「「リューキ!」」

「お前ら逃げろ!! 」

「でもっ!」

「速くしろ!」


 そう言ってるうちにもピエロは止まらない。

 次は、ルアの方に向かって爪を振るう。

 ルアは刀で神聖水を握ってる手と共に受け止めるがその勢いの所為か神聖水が入ってる瓶は、壊れて飛び散る。ルアの回復手段が失われた。

 ルアも吹っ飛ばされるかと思われたがピエロはルアの首を掴んでいた。

 2メートルある細身のピエロは身長差の為か、ルアの足は地面に着けてない。

 ルアは手足をジタバタと暴れて抜け出そうとしているがピエロがそれを許さなかった。

 まずい。

 でも……。


「アハハ、……ハ? ハアアァァッ!」


 ピエロは苦しそうに叫ぶ。


「わ、わたしを、忘れられては、困るッ!」


 ソウだった。

 離れた所から見てもわかるぐらいに震えているが、ソウがピエロの腕の半ばを切断した。

 意外に脆いのか?

 いや、今はそれよりも無事に帰ることだ。


「ゴホッ、ガハッ、はあ、はあ。そ、ソウ。あ、ありがとう」

「今は、いい……」

「ハアアアッ!!!!」

「「うっ!」」


 だけど、ソウの攻撃は、ピエロを怒らせるだけだったようだ。

 ダメージは入ってるようだけど、腕が煙を上げながら再生してる。


「うるせえ、よっ!」

「あハ?」


 完全に再生される前に隠密と魔力遮断で背後に回って片方の脚を斬り捨ててルアとソウの前に立ち塞がる。

 俺が守らないと……。


「2人はこっから逃げろ! 俺もすぐに行く!」

「……わかった」


 ここからは2人が逃げる為の時間稼ぎだ。


「アァハアア……」


 ピエロは爛れた顔に怒りの表層を浮かべている。

 対して俺は二刀流に切り替えた。


「再生したんだろ? たったと来いよ。クソピエロ」

「ハアッ!」


 意味が伝わったかわからないが雰囲気で挑発だと感じたのだろう。

 ピエロが更に怒りながらまた大振りに振るう。

 まともに受ければさっきみたいに吹き飛ぶ。


「だったら……ぐッ!」


 受け流すまで。

 でも、さすがのパワーだ。これでもなお吹き飛ばされそうだ。

 ピエロの猛攻をギリギリの状態で凌いでいた。

 だけどそれも長く続くはずもなかった。


「くっ! ガハッはあ、はあ。終わり、かな? ガハッ……」


 2本の刀を上に弾かれて、ギリギリ手を離さなかったのは運が良かったと思った。でも、結局はそれだけだ。

 瞬間、体に衝撃が走った。

 ピエロのもう1本の手で5本の爪に体を貫かれていたのだ。

 ピエロはまた嬉しそうに嗤った。

 俺はここまでなのだろうか?

 酷く体がだるい。

 血が凄い勢いで零れ落ちていく。

 きっとここまでなのだろう。

 悔しいな。2人をこっから出して上げたかったんだけどな……。

 それはできそうにないかもな。でも、2人が、ここに来なければ今まで通り暮らせるし、大丈夫だろう。


「そんなわけ、ないでしょっ!!」

「ハアァッ!」


 ルアが逃げ出さずピエロの腕を切断していた。


「ソウ!!」

「わかってる……!」


 ルアは切断して直ぐに後ろを振り向いて10メートルぐらい離れたドアの前に立っているソウに呼びかけながら俺に抱きつく。

 ピエロはなくなった腕とは逆の腕で、こちらを突き刺そうとしたがその前に。


「多分、痛いかもだけど衝撃の後、噛めばいいから」

「……わかった」


 それを聞いて何をしようとしてるのかがわかった。

 伊達にずっと一緒にいた訳じゃない。


「させない。……爆風波ッ!」


 ソウが叫んだ瞬間、俺とピエロの間から凄まじい衝撃が解き放たれた。

 鼓膜が破れるんじゃないかという爆音と熱風が俺達を襲った。

 思わず刀を放り出してしまった。


「ぐっ!」

「あっちぃ!」


 意識が途切れそうになるのを必死に我慢して口にある物を思いっきり噛んだ。

 そして、2つの小さなカリッとした音。そして、喉を潤してくれる液体。

 俺達はそのままソウのところまで吹き飛んだが直ぐに立ち上がり、3人で一目散に逃げてドアをギギ〜ッとゆっくりな動作がもどかしいがなんとかバタンッと閉めたと同時に扉にドガンッ! と衝撃。それが何度か続いた後やっと止まった。

 正直生きた心地がしない……。


「「「……はあぁぁ〜……」」」


 安堵感の為か3人で壁に寄りかかりながらそのままへたり込む。

 助かった。とりあえず良かった。

 さっきのカリッという音は部屋に入る前に3人に固体化させた神聖水を口に含ませておいたのだ。

 あれがなかったらおそらく今頃、俺は死んでいるだろう。

 まあ、ルアが来てくれてなかったらどの道死んでい

ただろうけど……。

 俺はふと考える。

 この後は、きっと2人は泣くのだろうか?

 あんなのには勝てないと絶望するのだろうか。どちらにしろ悲しい顔をさせてしまうんだろうなぁ、と。

 しばらく経つと、俺の両隣に座ってた2人が立ち上がって俺の前に出る。


「……えっと、なに?」


 俺は困惑する他なかった。

 2人の表情には悲哀とか、諦念の感情が覗いてない。

 浮かべていたのは、怒りだった。


「覚悟、してもらうよ!」

「……んっ! お仕置き、タイム」

「な、なんで!?」


 さっき刺された所為で貧血気味の俺に有無を言わさず正座させられました……。

 いや、なんで……?

次は9時頃には上げられると思います……。

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