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付加勇者  作者: 河栗 凱浬
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女子会議

二話目です!

 あたしは最弱のダンジョンの最下層にいる。

 あたしは今日、リューキと出会ってここに来た訳だけど、実際はあたしがリューキを巻き込んだ形だと思う。リューキは気にするなって言ってくれるけどね。

 罪悪感は最初、芽生えてはいたのだけれどリューキが興奮しているのを見ると本当に気にしてないんだと思って少し楽にはなれた。

 演技かもしれないけどね。

 リューキと最初に会った時は不思議な人だなって思った。

 えっと、なんというか、最初はいろいろと心の中で褒めてくれてたみたいだけど……。

 そ、それは置いといても不思議な人だって言うのは思ったの。

 少し不器用で、真っ直ぐで優しくて妙に律儀な人。普通に良い人だね。

 ダメな部分もあるけど良いところが目立つなと思う。


 そろそろ、暗くなってきてリューキに先を施されたのでソウと2人で先に洞窟を出ることにする。

 このソウって子も不思議な子だと思う。というよりよくわからない。……いろいろと突拍子もないから。あんなことするし……あうぅ。

 なんだか恥ずかしくなってきた。

 そんな風に考えてるとソウが話しかけてきた。基本的に声はあまり張らないし、抑揚もない声。でもたまに面白いぐらいに変わるのよね。

 1日でそれだけわかるのは正直お互いに歩み寄れた結果だと思う。

 そんなソウは、眠そうな目で前を向きながら言う。


「リューキってどんな人だと思う?」

「え? なんで?」

「……なんとなく。で、どうなの?」


 突然の質問に戸惑いはしたけどさっきまで考えてたことだ。


「うーん、不器用とか優しいとかかな」

「……それはたしかに」


 ソウはそう言って少し黙った。何か考え込んでるのだろうか。なにも考えてない気もするけどね。

 洞窟を出てすぐのところの寝床に着いた。

 元々、村娘だった訳だし贅沢な事は思わないけど最初の内は慣れが必要かもなぁ。

 ふとソウの方を見るとこちらを見ていた。

 どうしたのだろうか。


「どうしたの?」

「ルア、じゃあ、リューキは強い人?」


 強い人、これはステータスとかの事を言ってる訳じゃないと思う。

 多分、心の事だろう。

 心なしかソウがさっきまでとは違う、不安そうな顔をしているように思えた。


「……どうだろう」

「そこまでは視えないの?」

「まあね……。知りたい事が知れる訳じゃないから」

「……そう」

「でも、今の所だとポジティブだし強い人だと思うけど……」


 そもそも強い人の基準もわからない気がする。


「むぅ……今日リューキが寝るまで心を読んで伝えて欲しい」

「……なんでいきなり?」

「お願い」

「はあ、わかった。秘密だよ?」

「ん、ありがとう」


 しばらくするとリューキが現れた。

 なにやら満足気な顔をしている。

 どうやら布団ができたらしい。それはかなり良いと思ったらリューキが1人だけ布団に入った。

 少し抗議しようとしたけど、リューキならあたしたちの分も作ったのだろう。

 リューキがおそらくそう言おうとした瞬間、既に布団に入ってたソウに中に入るように施された。

 さっきの話もあるのかな?

 こういう状況で聞きたいのかと察して、諦めたように入った。

 寝心地はかなり良かった。


『そっちの腕を取って!』

『え!? は、はい!』

『そのまま胸を押し付ける! そして、動かない! 数秒後寝たフリ開始!』

『はい! はっ!?』


 さっきまでとは違う雰囲気で言われてつい従ってしまった。

 今更、動かすのもおかしく思われるかもしれないし……。恥ずかしいなぁ。

 リューキの様子を視ると、まあ、うん、そりゃあ戸惑うよね……。


『……どう?』

『すごく戸惑ってる。あと、胸の事を少々……』

『……詳しく』

『はぁ、あなたねぇ。……や、柔らかいとか、ちょうど良いとか、好みだとかそんな感じ』


 言いながらすごい悪いことをしてる気分になってくる。

 リューキにプライバシーはないのだろうか? ……どの口が言うんだってね。


『ふふふ、やっぱり可愛い。それと、わかってる』

『一応、年上だけどね……』


 その後もリューキの情報を共有した。


「寝るか……」


 そう言ってリューキは寝た。

 あたし達はというと、嬉しい、頼りになるようなことを思われていたことに頬が緩む。だけど、


『むぅ……』

『不満?』

『……少し』

『なんで? リューキは強いと思うけど』

『あれは強いとは言わない。強い人はあんな風に強くあろう(・・・)とはしない』

『思う所はあるとは思うけど……』

『リューキは何か支えがないとダメな人……わたしはそう思う』

『なんとなくわかるよ』

『ん、でも、不満なのは弱いからじゃない。そこはむしろ良かったと思ってる』


 なぜ弱いのが良かったのだろう?

 そこが不満じゃなかったのだろうか。


『リューキの気持ちはすごく嬉しい。大切にしてくれるってわかる。でもわたしは、守られるのは絶対に嫌』

『なんで?』

『リューキは発想を変えるべき。守るじゃなくて守り合う』

『たしかに危なっかしいかもしれないね』

『ん、共に闘うという発想。それが信頼だと思う』


 そこまで考えてるとは思わなかった。

 ぼーっとしてるようで結構すごいな、ソウは。

 でも、なんでそこまで……まさか。でもいくらなんでも早い気がするんだけど。


『ソウって、その、もしかして……リューキのこと好き?』

『ん、好き』

『……友達として?』

『男女の方。でも、ハッキリしてる訳じゃない』


 当たっちゃった。いやでも早いよ。初日だよ?


『ちょ、ちょっと、早過ぎない?』

『関係、ある?』


 問い返された。いや、でも、えぇ……。


『うん……まあ、ないかも』

『ルアは素直にならないと、ダメ』

『別に、今はそんなんじゃないし……』

『……今は……時間の問題ぽい?』

『え? いやいや、そんなこと』

『2人で支える』

『へ?』

『今はリューキを支える。2人で』

『まあ、それは良いけど……』

『ん、おやすみ』


 はぁ、疲れた。

 ソウって意外に人の機微に敏感なのかもしれないね。

 大人しそうでかなり自由奔放な性格してると思うし、それともマイペースかな?

 リューキは、たしかにいろいろと考えてる。

 これから、楽しく過ごせるとも思う。

 あくまでここを出られるように努力しながらになると思うけど。

 あたしは、目を開けてリューキの顔を見る。

 気持ち良さそうにスヤスヤと寝てる。

 黒髪黒眼、髪型は少しボサボサしてていじったら面白そう。

 顔も悪い訳ではないし、人によってはパッとしないとか言うかもしれないけど、優しい雰囲気を醸し出してる。

 今、掴んでる腕も細めでありながらしっかりした腕でいかにも守ってくれそうな感じがする。

 さっき母親のことを思い出していたみたいだけど関係はしているのだろうか?

 詮索はしないでおこう。勝手に覗いてそれはあまりにも酷い。……それに嫌われるかもしれないし。

 それにしても、時間の問題か……。

 ソウに言われて逆に意識してしまってドツボにはまっていく気がする。

 たしかに、好きになるかもしれない……って思ってる時点でなんかソウに負けた感じがするけど……。

 とりあえず深く考えるのはやめよう。

 もう寝るかな。

 そう思ったけどその前に少しイタズラ。

 リューキの頬を少し指でツンツンっと押す。


「……うー、ん」


 その反応に少しキュンッとする。口元から思わず笑みを浮かべてしまう。

 なんかこれいいかも……。癖になりそう。ちょっと可愛い。


『……ツン』

「ひっ……はっ!?」


 ソウに見られた!

 そう思ってソウの顔を見ると、とても意地悪な顔で口が「ツン」とか言ってる!?

 は、恥ずかしい。


「もう寝る!」


 その後、笑いを堪えてるソウの気配がなんとなくわかった。

 そして翌日から、たまにルアツンと呼ばれる時が何回かあった。

 間違いない。ソウはSだ。



 次の日の朝、あたしとソウはリューキに布団関係で謝り倒されたのは言うまでもない。

 こっちも覗いてたという罪悪感に押しつぶされそうだけどこれはあたしとソウで墓場まで持っていくしかなさそうかも……。

 あたし達は謝るリューキを眺めて互いに苦笑いするほかなかった。

そろそろ一週間ペースになりそうですね。

もう少し経ったらまた一日ずつで行けるかも。

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