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付加勇者  作者: 河栗 凱浬
12/40

サバイバ……ル?

 初対面の美少女2人とキスをした訳だがソウの暴走という形に落ち着いた。

 まあ、これを経て3人とも自由に念話ができるようになった。

 でもこれいるか?

 二人に尋ねると、


「とても必要」

「いるかいらないかと言われれば、いるかも……」


 とのこと。

 気まずい雰囲気にならない為に、俺とルアでなんとかした。

 さすがに初日でそんな気まずさは嫌だからね。ソウは特に気にした様子はなかったが……。いや、すごいなって思う。

 さて、そろそろ案内もしてもらえることにはなったのだが、今、俺たちは湖の近くにいる。

 その湖にソウが近づいて指差す。


「この水、すごい便利。だけどなにかわからないから鑑定して欲しい」

「わかった」


 簡単な願いだ。

 たしかにこの湖の水は綺麗だし、落ちた時に万能感と言うのだろうか? とにかく凄く楽にはなったのだ。

 そして調べてみると。



【神聖水】

とても清らかで貴重な水。

一口で体力、魔力、毒、状態異常を瞬時に治してくれる。

一部の魔物に絶大な効果を発揮する。



「とんでもねぇ!」

「な、なに!?」

「どうした?」


 おどろく2人に神聖水の効果などを話すと凄く喜んだ。


「すごい! それがこんなに……」

「……なるほど」

「これのお陰でソウは魔法に関してのスキルが凄かったのか?」

「多分、魔法を使っても疲れなかったから、いろいろ練習したらああなった」

「なるほどな! じゃあ、俺とルアもすぐにあんな感じになるかもな!」

「そうね! でも、リューキの方が速く成長するね」

「スキルのおかげでな」

「「……羨ましい」」

「ははは、分けられるなら分けたいもんだよ」

「「…………」」


 なんか急に黙らないで欲しいかな。

 少し怖い。ズルっぽく感じるのだろうな。

 誤魔化すように湖の中の魚について聞いてみると、食べた事は無いそうだ。


「なんで?」

「……取れない。釣ろうにも竿が無いし竿を作る材料も無い……」

「え? 材料は森がって糸が無いのか……」

「木も折れない。とても頑丈……」


 木が頑丈なのか。それはすごいな。


「じゃあ、次は森に行ってみよ?」


 ちょうど木の話が出たので森に行こうとルアが施す。


「待って。リューキは水用の入れ物2つある?」

「アイテムボックスの中にあるよ」

「じゃあ、汲んできて」

「わかった」


 かあるのだろうと指示に従って水を汲みに行く。


「なんで水?」

「行けばわかる」


 俺が水を両手に戻ってきて片方の水をルアに渡して森に入った。

 その森の木はどれも同じでどれも凄く硬かった。

 上を見れば果実が実っている事がわかる。

 その果実は、オレンジ色をした果実で梨の様な感じだ。


「この果実美味しそう。でも……」


 ルアがこっちを見る。

 そう、ここで思い出されるのはさっきソウに水を汲めと言われた事だ。それは毒という事なのだろう。

 当の本人はと言うと……。


「はむっ、むぐ。事実、凄く美味しいでも、猛毒」

「普通に食ってるし……」

「そういえば無効化スキル持ってたね」

「ん、これと水を一緒に食べて取得した」

「まあ、あって困らないスキルで果実も美味いみたいだから食うか」

「そ、そうね!」


 そして俺とルアは一緒に食べた。

 そして……涙が溢れた。それも膨大な量が止めどなく!


「う、うまっ! なんだこれやばい!」

「な、なによごれ゛ぇ゛ぇっ」


 俺らは無我夢中で食べ続けた。

 いろいろな味と味覚がするのだ。

 甘い味覚、辛い味覚、酸っぱい味覚にしょっぱい味覚。懐かしい味ものもあれば新鮮さにあふれた味もある。

 すると、


「ガッ!?」

「あ、あれ? お、おか……あさん?」

「っ!? み、水! 飲んで! 速く!」


 俺とルアはまんまと毒や幻覚に侵されてソウが慌てて俺たちを助けてくれた。


「ありがとう、ソウ。君は俺達の恩人だ!」

「た、助かった……」

「し、しっかりして欲しい……」


 ソウは少し呆れた様子だ。

 慌てる姿が可愛かったのは俺だけの秘密だ。


「いたっ!」


 痛みの原因を見ると、ルアが無言の笑顔で、つまりは念話で、


『秘密って?』

『心、読むなよ……』


 やれやれ、どうやら俺だけの秘密ではなかった様だ。

 とりあえず木と果実を鑑定してみる。



【神聖樹】

とても清らかで頑丈な木。

とても頑丈でいて、魔力伝導率などに優れている。

加工次第ではしなやかにしなる。

その葉もとても弾力性に優れている。


【ペレンア】

神聖樹に実る果実。

とても美味で沢山の味の情報量がつまっている。

栄養素もかなり含まれている。

ただし、重度の幻覚などの状態異常や猛毒が含まれている。



 神聖樹は、何かと使えそうだな。

 でも、頑丈なんだっけ?

 あっ、俺の物理操作が使えるんじゃね?

 と、言うことでやってみたら出来た! それも楽々と!

 何より驚いたのが。俺が物理操作を使うと加工の仕方と言うか加工自体が物理操作のみでできることがなんとなくわかるのだ。やり方も込みで。

 これは釣り竿を作るしかない!

 思い立ったが吉日と思い早速、行動に移した。

 ルアはどこか呆れた様な表情を見せるがソウの方は新しい娯楽ができるかも! っと興味深々だ。

 待ってくれるのは有難いね!

 とりあえず竿の部分と糸を巻く場所は完成した。そこで俺は気づいた。さっき自分で指摘しておいて忘れるとは……。

 糸がない!

 意外な物理操作の効果にテンションが上がって失念してしまったようだ……。

 そこで丁度いい岩に腰掛けたルアが俺に神の導きを授けた。


「あれ? でもたしか木からも糸は作れなかった?」

「木から糸? 紙ならまだわかるんだけど……ん? ルア! 君は天才だ!」


 俺はルアの手をとって尊敬の眼差しで定めて、


「ありがとう」


 と言う。


「い、いいよ。別に」


 なんか、キャラが変わった? と思わなくもない。

 長い間知ってる訳じゃないけど。

 それよりもだ! たしか木糸ってのがあった気がする。

 とりあえず物理操作で木を糸にするイメージをしっかりとする。

 するとなんとなくやり方がわかったではないか!

 これはいいぞ!


「で、できたぞ!」

「リューキ、すごい」

「だろだろ? 惚れちゃってもいいんだぜ?」

「リューキ、……大好き」

「ソウは何言ってるの!?」

「いやぁ、照れるなぁ。とりあえずこれからは釣りができそうだな。竿も3人分作ったから。色はそれぞれ髪の色に合わせたからな」


 その辺の花から着色料的な成分を採って色をつける事まで成功した。

 便利すぎるぞこのスキル。使えないとか言ってごめんなさい。

 とりあえず竿をアイテムボックスに入れてまた移動する事になった。

 次は最後の場所らしい。

 最後の場所は小さめの山だ。

 なにやらここがソウが1番俺に調べて欲しい物があるのだとか。

 期待させてくれるじゃないか。

 という事で早速山の洞窟に来たんだけど。


「わたしはいつもここで寝てる」

「ここのところ少し柔らかくなってるのか」


 洞窟の入り口の近くに少し柔らかいけど他とそんなに変わらない芝生の生えた場所だった。


「良くここで寝れたね」

「もう、慣れた。とりあえずこの先のものを見て欲しい」

「ああ」


 誘われるままに洞窟の中に入って行くと、キラキラと輝く物があった。それも大量に。


「わぁ……」

「なんか、綺麗な場所が多いな、ここ」

「あれ? でも、これ透明だね。それに……」


 ルアが透明な物体に触れて、肌触りなどを、確かめている。

 そして、カンカンと甲高い音を響かせた。

 ルアは驚愕の表情を見せている。


「これ……もしかして金属?」

「そう。……1年間ずっと気になってた物」

「そんで俺に調べてもらいたいものか」

「ん、予想では浸魔金(ヒタシマガネ)


 浸魔金(ヒタシマガネ)ってなんだ?

 それを聞いたルアが固まった。


「え、それって……」

「知ってるのか?」

「詳しくは知らないけど、お父さんが伝説級の金属って言ってた気がする……」


 なるほど! 心躍るような代物じゃないか。

 それにこんなに数多くある。

 しかし、ルアの話にはまだ続きがあるようだ。


「でも、色が違う気がするんだけど……。それにこんなに数多く採れるものなの?」

「ん、多分属性の魔力が込められてないと思う」

「とりあえず調べるか」

「お願い」


 という訳で調べる事にしたんだけど。

 ……うーむ。これを活用するのはなかなか難しいかもなぁ。

 まあ、これだけでも凄過ぎるんだけどね。これで刀を作るのは決定事項ではあるね。


「……どうだった?」

「これ確かに 浸魔金(ヒタシマガネ)だよ」

「おお!」


 そう告げるとソウは目をキラキラさせる。

 そして、 浸魔金(ヒタシマガネ)を物理操作で大きめの塊を採ってソウに投げる。

 多少慌てたようだが難なくキャッチ。だけどここでもやはり驚く事があった。


「リューキ、それは危ないでしょ」

「いや、確かにかなり硬いみたいなんだけど……」

「……軽い」

「え? 貸して。……本当だ」


 そう、異様なほど軽いのだ。

 それもそのはず、何故ならこの 浸魔金(ヒタシマガネ)はかなりの性能を誇っている。



浸魔金(ヒタシマガネ)

世界一の軽さと硬さを誇る金属。

また、魔力伝導率も非常に高く、加工次第でかなりの万能性を発揮する。

そして、名の由来からも魔を浸すと表すように各属性の魔力を浸らせることでその属性に変質する。

ただし、加工が非常に難しく、属性変質するにも

長い年月を必要とする。



 とんでもない金属だと思う。


「正直、加工するのは簡単にできるけどな。形を整える意味で」

「持ってて損はないはず」

「そうね」


 属性変質とやらも直ぐにできるのならさらに万能になるんだろうけどね。

 それを言っても仕方ないと思うけどね。


「ま、刀は絶対作るけどな」

「アイテムボックスに入れないの? さっきも神聖樹を大量に入れてたけど」

「ああ、入れるよ。とりあえず今日は2トンぐらい」

「2トン!? リューキ、落ち着いてるかと思ったらテンション上がってたのね……」

「……覗いてみれば?」

「今なら許す!」

「じゃあ、一応……うわっ、なにこれ、まさに狂喜乱舞って感じね」

『……ちょっと、可愛いかも』

『ええ!? ここで念話するの? まあ、わからなくはないけど』


 浸魔金(ヒタシマガネ)を集めてる俺を急に2人が黙り込んで俺を暖かい目見てる気がしたから気を取り直すことにする。

 正直、かなり浮かれてると思う。

 どういう仕組みかわからないけどここにも昼夜があるみたいで暗くなり始めた。


「そろそろ帰って寝るか。……なんか帰るに違和感を感じなくもないけど……」

「あはは、たしかに」

「わたしはちょっとワクワク」


 今まで1人で雑魚寝だったもんな。

 そりゃ、テンションも上がるか。

 お、良いこと思いついた。


「2人とも先に戻ってて。ちょっと閃いてね」

「はーい」

「ん」


 2人が先に行った後、俺はアイテムボックスから神聖樹と神聖水を取り出した。


「さて、やってみるか」


 まず、神聖樹の葉を加工してゴムのようにした。そして、神聖水とそれを混ぜていく。

 これで加工をすればスーパーボールくらいの弾力が結構失われた。

 それにしても神聖水を混ぜるのは良いな。

 頑丈にもなるし壊れたりすると自然と修復してくれる。

 次は神聖樹を糸から布っぽくして、さらに2つを合わせて。


「ここを繋げて、これにさっきのを入れれば……っと」


 俺は同じことを何回か繰り返した後、ルア達の元に戻る。


「何してたの?」

「これを作ってたのさ!」


 そう言って取り出したのは、オフトゥン一式だ!

 布団、毛布、枕はやはり必要だろうと思ったのだ。

 しかし、これはとんでもない性能を秘めることになった代物だ。

 寝心地は言うまでもなくかなり良い。温度調整も丁度いい感じにしてくれる。さらに、疲労回復をも施してくれる抜群の安心感を与えてくれるいわゆる、マジックアイテムなのだ!

 さて、あの素材だけでそこまでのものはできるのだろうかと思うだろうか? たしかにその通りだ。

 俺も思いついてやってみたらそこまでの性能ではなかった。

 だけど思いつきで魔力操作を同時に使ってみると上手くいったのだ。これもまたやり方がわかってくる。魔力と素材を混ぜる合わせることで効果の付与をすることができた。

 ただ、浸魔金(ヒタシマガネ)にも試してみたら全くできなかった。

 おそらくゆっくりと時間をかけて浸透させないといけないのかもしれない。

 濃度は濃ければ濃い程良いってのはわかったんだけどな。濃すぎても耐えられない素材とかはありそうだけどね。

 ちなみに魔力操作のレベルも上がった。

 2人にそう説明して自分用のを出して少しはいった。


「ふぅ〜、これは……いいって、ん?」

「これは……極楽ぅ」

「そ、ソウ! 何やってるの?」

「本当だよ! ちょっと待って今……」

「ルアも入ればいい」

「いやいや、勝手にってルア!?」

「こ、これは予想以上に良いかも……」

「「「…………」」」


 どうしよう。2人に左右を取られて動きづらい……。

 というか今更、2人の分も作ったって言いにくいんだけど……。

 いや、たしかに先に布団に入った俺が悪いけどさ。だけどすごく幸せな気分だ。

 これは別に布団のお陰だけって訳じゃない。2人の決して激しい自己主張はしてないけど確かにそこにある掌サイズ……より少し手から溢れる大きさのそれは俺の腕に当たっているのだ。まさに丁度いい大きさと言えるだろう。

 それは程よい弾力で俺を魅了している。

 さて、ここまで楽しんでしまっている訳だが本当にどうしたものかと考えていたら、いつの間にか2人が寝ていた。

 ルアは顔が真っ赤になっていたのだが、今日はすごく疲れていたのだろう。しょうがないと思う。不安がない訳ないもんな。寝顔は穏やかで安心しているように見えるから起こす気にはなれない。

 ソウも、涼しそうな顔をしているかと思っていたのだが少し照れていたようだ。頬が若干赤い。ソウもずっと1人で人恋しかったのだろう。人が来て嬉しくてテンションが上がって暴走してたのかもね。

 強がり……とは少し違うのかもだけど察せる部分は察してやりたいな。やはり起こす気にはなれない。

 明日、謝ろう。

俺は、そう覚悟を決めたと同時に、『守りたい』とそう思った。

 この2人は何かから逃げている。称号を見ればわかる。なんであれそれも込めて守りたい。

 あっちの世界で守れなかった母親を思い出す。俺に母親は大丈夫だと言ってくれたが……。俺は納得はできなかった。別に、俺の事情を押し付けてる訳じゃない。

 新しくできた義妹は強い子だったけど、自分の母親はそうじゃないと自分の悔いを思い出しただけ。2度と繰り返さないって思い出しただけだ。

 ただ、純粋に2人を守りたいと思ったのは本当だ。

 まあ、今はここから出られるように頑張るのが1番だな。


「寝るか……」



 この時、2人の口元が少し緩んだのを龍鬼は知る由もなかった。

やっぱり難しいなぁ。

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