ミノムシ二編
ミノムシ
カゴについたミノムシはゆらゆら揺れている。いくら風が吹いたって、いくら自転車を走らせたって、どうも飛んでく気配はない。
いっそとってしまおうか!
なんて意気込んで取ろうとすると、途端に可哀想にもなる。
だから、そのままだ。
そのまま揺られていればいい。
ミノムシと登校するのも悪くない。
ミノムシは飛ばず
おいミノムシよ
お前はいつまでもそこにいるんだな
そこにぶら下がっているのだな
それもいいさ
せいぜい飛ばされないようにしろよ
僕はお前が好きなんだ
そうやって風の中、雨の中もぶら下がっているお前が好きなんだ
急に飛ばされていったら、泣いちまうかもしれねえぜ
ま、冗談だけどよ