表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/24

4 寝坊助の王妃様

「王妃様、王妃様!」


 メイドさんは遠慮がちに声を出して、ベッドで寝ているクイン王妃を起こそうとしていた。彼女、爆睡。起きへん。まったく反応せえへん。勘弁してや。

 まあ、あたしには別に関係ないんだけど、メイドさんがマイ米知らないって言うから。あたしだってそんな詳しくは知らへんから、聞かれたって困る。そういうときは、教わった人に聞くものやん?


「ん~……なぁに? ルサ、そんなに呼ばなくても起きてるわよ」


 起きてるんだったら起きているとわかるような態度をしてほしい。まったく動かへんかったら、そらきづかへんわな。

 というか、このメイドさんルサっていうんだ。これからはルサって呼べばええんやな。


「コノコ様が、マイ米というものを知っているらしいのですが、王妃様は知っておられますか?」


 ルサはそう言って王妃を見つめた。そんなことで起こされた彼女の気持ちは、何となく分かった。顔に出てる。

 明らかに、眠そうで嫌そうで、そして面倒くさそうにしていた。そんな顔せーへんでもええやん。あからさますぎるやろ。


「マイマイ?」

「違います王妃様。マイマイではなくマイ米というお米のことでございます」


 マイマイって、カタツムリのことやんな。知ってる。

 クイン王妃は「ああ」と間延びした声で頷いた。


「知ってるわよ」


 知らないと言われたら困る。あたしが見た光景は何やったんや、と尋問しなければ気が済まない。

 そんなことにならないでよかったと思いながら、あたしは母親である王妃を見つめた。キレーな顔してはんなあ……。

 ま、あたしやお姉さまお兄様みたいな美景が生まれんのやから、そら、美人やろうな。

 ちなみに、あたしのお兄様お姉様は上からアニアネアノココイツという名前である。そのまま、というか、最後の方はとんでもない名前や。

 なんやねん、コイツって。だから、呼ぶときはコイツお兄様やで? 言うのも気が引けるわ!


 そんなアバウトな王家。末っ子。コノコ・トアルです。

 元の世界(地球の日本の大阪)では土田彩絵。異世界ではコノコ・トアル。

 不安なことしかないこの異世界で何とかやってるようなやってないようなやってないような……うん、なんもやってへんな。


「そうだ。コノコ、あなたに仕事を与えるわ」

「仕事?」


 そう、この異世界ではいわゆる『働かざるもの食うべからず』が一般常識となっている。口分田が6歳以上の男女に配られたように、仕事も配られるのである。

 あたしはまだ5歳だけど、王家の人は将来この国を背負わないとあかんから、働かなあかんらしい。でも、あたし3女やし、多分王家継がへんで?


「コノコの仕事は、バナナの皮拾いよ」

「バナナ?」


 の、皮……拾い?

 ようわからんけど、仕事らしいです。なんやねん、それ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ