2 5歳やで!
「ハッピバースデートゥーユー♪
ハッピバースデートゥーユー♪」
どうも皆さん。異世界に転生した土田彩絵といいまーす。
ちなみにここでの名前はコノコ! 超ウケる。
このたび5歳になりました~! おめでとうやで、あたし!
なんか、人間的本能というのがあるのかな? ぼけっとしてたら勝手に赤ちゃんらしくしてくれてんねん、この子。なんと言えばいいのか……。
とりあえず、あたしは寝てても勝手にコノコが起きて赤ちゃんとして生きててくれるってこと! だから、それで勝手に寝たり遊んだりしてくれるってこと。え、これてもしや二重人格……?
ま、そんなわけであっという間に5歳になったってゆーわけやねん!
「コノコ、誕生日おめでとう!」
「ありがとう!」
5歳やから、もう喋れるで。でも、大阪弁を出すとめんどくさいから、標準語でしゃべるように心掛けてる。でも、そんなすぐ慣れへんねんな~。
だって、つい大阪弁とか出ちゃうし。そういうもんちゃう?
「コノコは、なにもらったの?」
「ドリームメーカー!」
ドリームメーカーとは、名前そのものの機械である。
頭に冷えピタみたいなんを貼って寝ると、見たいと思った夢が見られるねん! さすが異世界、作ってるもんが違うわ。
その夜、あたしはさっそくそれを貼って寝た。ちなみに、見たいと思った夢は無難に空を飛ぶ夢である。これで、元の世界の人に会いたいとか思ったら会えるんかな? それってめっちゃ便利やん。
ま、あたしあんまり元の世界に未練ないけどな。友だちもうわべだけやし。せめてお母さんに異世界行ってくるー、ってくらいは言っておきたかった。お母さん、悲しんでへんかな? だって、あたしお母さんに(フライパンで)殺されたし。
それって、お母さんからしたら実の娘を殺したってことになるってことやろ? そんなん、つらすぎやん。お母さん、ドンマイやで。あたしは元気にやってるから、気にせんと残りの人生満喫してほしい。
というわけで、夢の中。
夢だっていう認識はあるけど、なんか普通に生きてるみたい。
つか、あたしめちゃめちゃ空飛んでるわ! 顔がパンのヒーローみたいにマントつけてるわけでもないけど、そのまんまのカッコで飛んでる!
普通に、ビューンって。やばい、楽しい。夢やけど楽しい。
ちなみに、下の方はよく見えへん。ま、夢やし落ちても大丈夫やろうけど。でも、やっぱなんも見えへんのは怖いな。雲っぽいので全部隠れちゃってて、見えへんねん。
ちょっと怖いけど、なんとなく異世界やし夢やし、安心感ある。とりあえず飛んだ。
……え? それでどうなったかって? 別に?
飛んだだけやで。そのあと目覚めて、普通に朝やった。
いやーそれにしても、異世界すげえ。見たい夢見れる道具とか、猫型ロボットの道具並みにすごいやん。名前がそのままなのはちょっとアレやけど。
「おはようございます、コノコ様」
メイドさんにそう言われて、あたしは「おはよー」と言っておいた。様付けはやめてほしい。なんであたし、姫になっちゃったんやろう。一般庶民がよかったな。
ご飯も高級品ばっかやし、納豆とか食べられへんし。
まず、米がない! パンばっかり!
タイ米みたいなんはあるらしいけど、やっぱり日本の米が一番やわ。もっちりしてるし。
姫の権力使って、どうにか日本の米っぽいの入手できへんかなあ……。